爆増する「訪日外国人観光客」は何を求めている? 「Visaの決済データ」から、インバウンド需要が見えてきた
日本政府観光局の発表によると、2024年の4月までの累計訪日外客数は11,601,200人となり、1,000万人を超えたそう。特に4月は前年同月比56.1%増で、コロナ前の2019年をも上回る水準だとか。

普段生活している肌感覚でも、日本への外国人旅行者は増えていると感じる方も多いでしょう。ただ、彼らがいったいどのような事に関心があり、何にお金を使っているのかはあまり知られていないかもしれません。

国際決済ネットワークブランド「Visa」は、「Visa Destination Insights」を通じて、VisaNetの取引データから旅行者のプロファイルや支出パターンを提供することで、地方自治体や加盟店のマーケティングプランの検討に役立てていただけると考えています。

今回、一例として、日本の「桜」の経済効果についてのレポートを紐解いてみましょう。2024年3〜4月の桜シーズンに日本を訪れた外国人観光客の消費動向を分析したものです。

●桜前線を追いかける訪日観光客…支払い額増加が顕著な都道府県は?

「Visa Destination Insights」には、ユーザーの国や地域、使った金額などのビッグデータが匿名で集積されています。

「旅行者の行動と消費パターンを分析でき、例えばインバウンド需要を取り込むためのマーケティング施策の立案にデータを利活用し、ビジネス戦略の最適化やさらなる顧客サービスの向上に役立てられる可能性があります」(Visa担当者)

桜の開花期間中(開花予想日〜満開予想日後1週間)には、東京や大阪など主要17都市のうち13都市で支出や訪日観光客が顕著に増えていて、日本の桜が外国人を引き寄せている様子がわかります。


特に大人気だったのは、三重県、奈良県、京都府、石川県、山梨県の5府県。週間訪日観光客数が通常時の2倍になり、支出額も大きく増えています。京都、奈良はもとより、三重県には伊勢神宮、山梨県には富士山があり、日本の文化や自然を感じられる点がポイントだったのかもしれません。

一方、東京や大阪などの大都市は交通のハブになっているため、見た目の支払い額は多くなっているものの、旅行者や支出などの「増加率」で見ると相対的に低くなっています。

こうしたデータを、加盟店の経営者や地方自治体はどう役立てられるでしょうか。Visaの担当者は次のように話します。

「下記のグラフの『観光客ピーク』『支出ピーク』をみていただくと、桜の開花期間の中で最初の1/3、あるいは中間地点までにそのピークがあるものも多くあることが見て取れます。
たとえば、加盟店や地方自治体がこのピーク期間のプロモーションを強化することで、より多くの観光客を誘客でき、さらに一県だけでなく隣県など複数県を訪れるといったことも考えられます」(Visa担当者)


●旅行客のお金の使いかた、都市部かどうかで違い

旅行者のお金の使い方は、どこを旅するかでも変わるようです。

東京や大阪など都市部への旅行者は、消費の50%以上が「ショッピング」と「飲食体験」。


それに対し、他の地域への旅行者は「初日」から「最終日」にかけて継続的に「宿泊」に費やす割合が高くなっています。


理由の一つには店舗の多寡があると考えられます。都市部では街中にさまざまなお店がありますが、その他の地域では必ずしもそうではなく、ホテルや旅館の食事・サービスが重視されているのかもしれません。

「大都市部以外の地域では、宿泊施設でのアクティビティやおもてなしをより充実させることで、さらなるステイが期待できる可能性があります。反対に、宿泊施設外で飲食関係のプロモーションをするというアプローチもあり得るでしょう」(Visa担当者)

●人数で目立つアジア圏、支出額が増える欧米

カードが発行された国ごとに分析すると、こんなこともわかります。

桜シーズン中、人数で目立つのは韓国や台湾などアジアの旅行客です。東南アジアからの観光客も増えており、フィリピンは前年比85%増。以下、タイ(50%)、インドネシア(40%)、マレーシア(40%)と続きます。

カード1枚あたりの支出額でみると、アジアでは特にシンガポール、インドネシアからの旅行客が多く、約1000ドル(15万円超)も使われているようです。

「地方自治体などの観光ガイド、レストランやホテルの人員配置などで、訪日の多い国の言語やメニュー(嗜好)に対応することで、より満足度を高めたり、再来訪を促したりといったことが考えられます」(Visa担当者)

アジア以外に目を向けると、欧米からの旅行者も増加中。円安も背景に使う金額も増えており、特にドイツやイギリスからの旅行者の支出額は全体で前年の2倍以上となっています。

ただ、ひとえに支出額といっても、何にお金を使うかは国ごとに傾向が違います。


たとえば、欧米など「アジア外」からの旅行者は初日の支出の大部分が宿泊費です。長距離移動が終わり、よりクオリティの高い宿を選んでいるのかもしれません。宿泊費にお金をかける傾向はその後も続きます。

「滞在日数も東南アジアからの旅行者に比べて2倍ほど長く、日本観光を楽しむためにより快適な宿泊をすることに高い価値を見出していると考えられます」(Visa担当者)


一方、「アジア」から、特に東南アジアからの旅行者は、ショッピングを楽しむ傾向があります。

「旅行日程の後半に近づくにつれてディスカウントストアや小売店、そしておそらく免税品やお土産を購入していると考えられます」(Visa担当者)

特に最終日には支出の60%をショッピング関連に費やしているとのこと。アジアからの観光客を意識したお土産を揃えれば、売上につながりそうです。


●タッチ決済対応で支出額が増える?

Visaの加盟店向けの情報としては、2024年の桜シーズンではそれ以外の期間と比べて、「タッチ決済」の利用率が10ポイントほど高くなっているというデータもあります。

下記のグラフは「非桜シーズン」のタッチ決済普及率が折れ線であらわされていますが、初日から最終日まで「33%〜43%」のレンジで推移しているのに対して、


2024年の「桜シーズン」では、「旅の前半」と「最終日」でタッチ決済普及率が半数を超えるなど「43%〜55%」のレンジで推移しています。


便利な決済方法は、より気軽にお金を使う行動につながるといえます。実際、タッチ決済対応の加盟店における決済金額も、前年比で53%、決済件数は同58%も増えているそう。

「Visaの対面決済におけるタッチ決済の利用比率は、米国を除く全世界で79%(*)と、タッチ決済が主流となっており、桜のシーズンは、タッチ決済を使い慣れた国からの観光客が多く訪れていると考えられます」(Visa担当者)

(*)2024年3月末現在

●決済データの活用で「ビジネス機会の創出」を

このようにクレジットカード等の決済データを活用すれば、現金支払いだと見えない消費行動やカスタマージャーニーが見えてきます。Visaは今後も「Visa Destination Insights」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信していくとのこと。

「自治体や加盟店などによる観光施策やマーケティングプランの策定に役立てていただき、ビジネス機会の創出につなげてほしいと考えています」(Visa担当者)

・Visaデータから見える観光とタッチ決済の影響について

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