「リーゼント」を貫く40歳男性の知られざる日常生活。「ケンカを売られたことは一度もない」
![作るのも落とすのも大変な髪型なのだ](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/d/b/db77e_963_69ac1644_8b786e91-m.jpg)
息苦しささえ感じる日本の社会において、昭和ヤンキー文化の象徴とも言うべき髪型「リーゼント」に並々ならぬこだわりを持った人物が存在する。その名もリーゼント矢板氏(40歳・以下、矢板氏)だ。
◆日常をリーゼントで過ごすとどうなる?
矢板氏の日常生活は髪型同様、“普通”とは一味違うらしい。
「見知らぬ年配の男性からは『懐かしい髪型してるね!』、外国の方からは『エルビス・プレスリーが好きなの?』と、街中で声をかけられることは結構ありますね。それから、待ち合わせの時、見つけやすくて便利らしいです(笑)」
リーゼントといえば不良文化を象徴するような髪型。突然、ヤンキーに絡まれそうでもある。実際のところ、どうなのか。
「昔だったら『お前、生意気な髪型してんなぁ』と来られることがあったかもしれませんが……。そんな時代は過ぎたみたいで、ケンカを売られたことは一度もないですね」
矢板氏ほど立派なリーゼントをセットするには40分〜1時間を要するという。しかし、時間がかかるのは“作る”ときだけではない。
「落とすのも大変です。1回のシャンプーでは済まず、2回や3回は洗うのは当たり前。でも、それだけやっても、まだ残っていることがあって。乾いた状態で頭を掻いたら、『スプレーが固まった粉』が落ちてくることもあります」
◆「ラーメン」と「夏」には要注意
何かと苦労が絶えないわけだが、普段の生活で気を付けているポイントもいささか突飛だ。
「たとえばラーメンを食べに行ったとき。丼ぶりを持ってスープをすするにも、角度に気をつけないといけません。でないと、リーゼントの先がスープに突き刺さってしまい、髪の毛がドロドロになっちゃうんです(笑)」
四季折々で困りごとがあるようで、特に、これからやってくる夏はリーゼントにとって受難の季節なのだという。
「小さい虫がリーゼントの中に混入するんです。自力では出てこれないみたいで、頭を洗っているとシャンプーの泡とともに流れてくることもあります。それから、僕のリーゼントは前髪がおでこにかかるようなセットなので、日焼け対策をやらないと、V字に日焼けしてしまい、かなり恥ずかしい感じになりますね(笑)」
◆ヤンキーに憧れていたわけではない
矢板氏がリーゼントに興味を持ったきっかけは『ジョジョの奇妙な冒険』『魁!!男塾』『ろくでなしBLUES』など、漫画のキャラクターに触発されてのことだったという。
「ヤンキーに憧れたわけではありません。あくまで守るもののために戦ったり、信念を貫くキャラクターたちへの憧れです。リーゼントは彼らの男らしさの象徴というイメージで、自分もそうなりたくてリーゼントを始めようと思いました」
まさに『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の主人公・東方仗助のようなエピソードである。しかし、インターネットが普及していなかったこともあり、中学生だった矢板氏にリーゼントの作り方を調べる術はほとんど皆無だった。
「漫画を参考に作ることからはじめ、映画『ビー・バップ・ハイスクール』のパンフレットをブックオフで見つけて、その写真を見ながら試行錯誤。それまで整髪料もつけたことがなかったので、何を買っていいかわからなくて。いざ買ったものがいまいちでも、当時は中学生だったので、すぐには買い替えられず……。使い切るまではその整髪料で悪戦苦闘していました」