作るのも落とすのも大変な髪型なのだ

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多様性が叫ばれて久しい現代。だが、周りを見渡せば、何をするにも同調圧力がかかったり、企業の入社式では似たようなリクルートスーツを着た新入社員が並んでいたりするものだ。誰もが自分が好きなように生きられる世の中とは言い難いのが現状である。
息苦しささえ感じる日本の社会において、昭和ヤンキー文化の象徴とも言うべき髪型「リーゼント」に並々ならぬこだわりを持った人物が存在する。その名もリーゼント矢板氏(40歳・以下、矢板氏)だ。

素朴な疑問だが、“リーゼント生活”に不便はないのだろうか……。なぜ彼が数多ある髪型のなかから、一番気合の入ったものを選んだのか、その理由を聞いてみた。

◆日常をリーゼントで過ごすとどうなる?

矢板氏の日常生活は髪型同様、“普通”とは一味違うらしい。

「見知らぬ年配の男性からは『懐かしい髪型してるね!』、外国の方からは『エルビス・プレスリーが好きなの?』と、街中で声をかけられることは結構ありますね。それから、待ち合わせの時、見つけやすくて便利らしいです(笑)」

リーゼントといえば不良文化を象徴するような髪型。突然、ヤンキーに絡まれそうでもある。実際のところ、どうなのか。

「昔だったら『お前、生意気な髪型してんなぁ』と来られることがあったかもしれませんが……。そんな時代は過ぎたみたいで、ケンカを売られたことは一度もないですね」

矢板氏ほど立派なリーゼントをセットするには40分〜1時間を要するという。しかし、時間がかかるのは“作る”ときだけではない。

「落とすのも大変です。1回のシャンプーでは済まず、2回や3回は洗うのは当たり前。でも、それだけやっても、まだ残っていることがあって。乾いた状態で頭を掻いたら、『スプレーが固まった粉』が落ちてくることもあります」

◆「ラーメン」と「夏」には要注意

何かと苦労が絶えないわけだが、普段の生活で気を付けているポイントもいささか突飛だ。

「たとえばラーメンを食べに行ったとき。丼ぶりを持ってスープをすするにも、角度に気をつけないといけません。でないと、リーゼントの先がスープに突き刺さってしまい、髪の毛がドロドロになっちゃうんです(笑)」

四季折々で困りごとがあるようで、特に、これからやってくる夏はリーゼントにとって受難の季節なのだという。

「小さい虫がリーゼントの中に混入するんです。自力では出てこれないみたいで、頭を洗っているとシャンプーの泡とともに流れてくることもあります。それから、僕のリーゼントは前髪がおでこにかかるようなセットなので、日焼け対策をやらないと、V字に日焼けしてしまい、かなり恥ずかしい感じになりますね(笑)」

ヤンキーに憧れていたわけではない

矢板氏がリーゼントに興味を持ったきっかけは『ジョジョの奇妙な冒険』『魁!!男塾』『ろくでなしBLUES』など、漫画のキャラクターに触発されてのことだったという。

ヤンキーに憧れたわけではありません。あくまで守るもののために戦ったり、信念を貫くキャラクターたちへの憧れです。リーゼントは彼らの男らしさの象徴というイメージで、自分もそうなりたくてリーゼントを始めようと思いました」

まさに『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の主人公・東方仗助のようなエピソードである。しかし、インターネットが普及していなかったこともあり、中学生だった矢板氏にリーゼントの作り方を調べる術はほとんど皆無だった。

「漫画を参考に作ることからはじめ、映画『ビー・バップ・ハイスクール』のパンフレットをブックオフで見つけて、その写真を見ながら試行錯誤。それまで整髪料もつけたことがなかったので、何を買っていいかわからなくて。いざ買ったものがいまいちでも、当時は中学生だったので、すぐには買い替えられず……。使い切るまではその整髪料で悪戦苦闘していました」