長谷川博己さんが主演を務める日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系 毎週日曜 午後9時〜9時54分)で、白木凛役を演じる大島優子さんにインタビュー。白木というキャラクターについてや印象的なシーン、本作の魅力などを聞いた。

『アンチヒーロー』白木凛役の大島優子©TBS

 

長谷川さんが演じるのは、「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹。「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける、前代未聞の逆転パラドックスエンターテイメントだ。

 

大島さんが演じるのは明墨法律事務所でパラリーガルとして働く白木。しかし、なぜか伊達原(野村萬斎)サイドに寝返り、明墨に危機が迫る。

 

◆11年ぶりの日曜劇場出演、そして連続ドラマには久しぶりの出演となりましたが、 現場に入る前はいかがでしたか?

「大丈夫かな」「できるかな」「日曜劇場だしな」というような漠然とした不安がありました。ですが、本読みや顔合わせをやらせてもらったときに皆さんの気合の入り方だったり、それぞれの思いを聞いたときに、「よし、やるぞ。やるしかないな」と私も背中を押されたというか、尻を叩かれたような気持ちになって。そこからは、緊張や不安という気持ちよりも、きちんと白木凛という役を担えたらなと思いました。

 

◆パラリーガル役を演じるに当たって、何か意識されたことはありますか?

パラリーガルとしてというのはそこまではなくて…。実際に捜査へ関与するというよりは、わりと事務手続き的なことがパラリーガルの役割だと思ったので、「きっとこの調査資料を作ったんだろうな」と勝手にいろいろ思ったり(笑)。そして、たまに潜入調査に参加するロケのときは、「役に立っているな」と思いながら楽しんで撮影しています。

 

◆白木というキャラクターをどのようにとらえていますか?

明墨法律事務所の皆さんが個性の強い人ばかりなので、その中で一番、中和剤のようにバランスを取っている存在が白木凛なのかなと思っています。明るく陽気に見えますが、きちんと一つずつの事件を分かりやすく、視聴者の方に一番近い感覚、感想を発しているような立場かなと思って演じています。

 

◆白木に共感できる部分はありますか。

勝手な想像なんですけど、たぶんいろんな経験をしてきて、明墨弁護士事務所に入る前にも何社か受けていたと思うんです。それで、何社か断られたり、弁護士を目指していく中で挫折を経験して、パラリーガルをやっているんじゃないかなと思うので、そういうところで彼女の明るさや陽気さというのは、自身の過去の経験から培って生まれたものだなと思って、そこはすごく共感できます。

 

◆白木が意味深な表情を見せることもありますが、何か意識されていることはありますか?

視聴者の人をどう惑わせようかなとか考えてはいないんですけど、でもずっとテンションが下がらない人って異様ですよね。だから「あれ?実はそうなんじゃないの」といろいろ考えてもらっていると思います。

 

◆大島さんとしては、白木は自分に近い?

本読みの時点から飯田(和孝)プロデューサーから「そのままでやってもらって構わないです」と言われたので、たぶん私そのままだと思います(笑)。

 

◆どんな反響が届いていますか?

友人たちから「見てるよ」と連絡が来ましたし、他の現場へ行ったり、プライベートで美容室に行ったときなど、会う人みんなに「ちょっと待ってね。自分なりの考察を言ってみるから」と考察を言われるんです(笑)。それぐらいちゃんと考察して楽しんで見てくれているんだなと思いました。

 

◆主演の長谷川さんの印象を教えてください。

長谷川さんは役者さんとして、初めて見るタイプの方ですごく面白いです。皆さん、自分の役柄を作ってから現場に入るという方が多い中、その場で明墨というキャラクターをどんどん作っていって、ドライ、テスト、段取り、テスト、本番という間に出来上がっていく過程を目の前で見せてくれるので、現場にいるだけで楽しいです。あとは、長ぜりふって、場を持たせることが難しいのですが、その場で作っていくからこそ発する言葉や動きに新鮮味があるので、きちんとそれを保ったまま放送されているなとすごく感じます。

 

◆堀田真由さんのインタビューで、北村匠海さんと大島さんと林泰文さんがいる「事務所に早く帰りたいね」とお話しているというエピソードが出たのですが、事務所シーンの裏話や堀田さんの印象を教えてください。

私と林さんもロケの後に事務所に戻ると居心地がいいなと感じるぐらい、ミルも入れたこの6人のメンバーがすごく心地がいいんだろうなというのは、撮影の当初からすごく感じていました。私と林さんは空き時間にずっとプライベートの話をしているのですが、それが余計に和むんじゃないかなと(笑)。真由ちゃんはたぶん自身のキャラクターや性格と真逆の役をやられていると思うんです。真由ちゃんはいつもニコニコしていて、常にいろんな言葉に反応してくれるけれど、紫ノ宮はクールだし、笑わないし、反応しないというような役だから、きっと難しかったと思うんです。でも紫ノ宮としてちゃんと存在しているなと、私は現場に入ってからすごく感じたので、クールでポーカーフェースなんですけども、繊細な気持ちの表情というものが、芝居を見ていて目と眉毛で表現されているなと思って。そこが彼女の芝居の魅力的な部分なんだろうなと思いました。

 

◆これまでの放送で印象的だったシーンはありますか?

9話の最後に伊達原さんと対面するんです。そのシーンがこの作品に入って一番緊張したところです。私、誰かと対峙して話すというシーンがそんなになくて、最後の最後、9話になって、伊達原さんと面と向かってせりふを交わすシーンが出てきて。だからそれもあって緊張したというのもあるし、それが伊達原さんで、野村萬斎さんだから緊張したというのもあります。でも、その緊張が役としても、そのまま緊張していていい役、緊張していていいシーンだと思ったので、すごくそれが功を奏しているんじゃないかなとは思いながら、その感情を受け入れつつやっていました。

 

◆視聴者の皆さんも白木は悪い人なのか、いい人なのかと考察が展開されていくと思いますが、考察のヒントになるものを教えていただきたいです。

今まで私も毎話見ていて、「うわ、緋山…」「伊達原…」と最後の10分ぐらいでそういう思いになって、役名を叫んでいたのですが、ようやく「白木…!」みたいになれるというのがうれしいです。だから、皆さんがどういうふうに感情を動かされるか、9話と10話で展開が変わっていくので、楽しみにしていただきたいです。

 

◆考察する上で、これまでのシーンで振り返っておいた方がいいシーンはありますか?

1話から全部振り返った方がいいと思います(笑)。 1話冒頭の明墨先生が接見室にいるシーンから伏線は全部ちりばめられていますし、白木に関しては7話ぐらいから「ちょっとあれ?」みたいなことがあるかなと思います。

 

◆この作品の魅力はどこでしょうか?

正義と悪は表裏一体で、どう転ぶか分からないなということを身近に感じました。私も実際の裁判を傍聴しに行ったときに、同じ空間に、同じ人間でも法を犯した人がいて、しかも、裁判は1日中ずっとやっていて、「あれ、こんなに犯罪をした人っているんだ」「これが毎日あるとなると、どれだけ犯罪ってそこら中にあるんだろう」と思って。いつの間にか魔が差して法を犯してしまうことって誰にでもあることなんだなと、“アンチヒーロー”という言葉にすごく納得したんです。アンチなんだけどヒーローにもなれるし、ヒーローだけどアンチにもなり得る。そこが誰にも判断できない難しいラインで「あなたにはなんの正義がありますか」ということを突きつけられていることが、この作品の魅力だなって思いました。

 

◆本作に参加して得たものは?

スタッフさんや、共演者の皆さんの気合の入り方がすごいんです。プロデューサーが4年間も温めて考えて、大切に作ってきた企画というだけあって、そこに対する思いが一致団結していて、本当にいいものを作ろうとみんながみんな思っているなと、毎回撮影していて思うので、質の高い現場だなと感じています。

 

◆特に撮影で気合の入り方がすごいなと感じたところはありますか?

みんなが意見を出し合ってすごく細かい設定までちゃんと作っているところ。疑問や腑に落ちないことはみんなで一緒に解決して納得するということができるんです。口に出して言えるのはいい環境でしかないと思いますし、空気感が良くないとできないことだと思うので、それぞれがプロフェッショナルだから成り立っているんだなと。

 

◆本作の出演がご自身の役者人生においてどんな経験になっていますか?

まだ撮影真っただ中なので、今すぐにはちょっと分からないです。普段も作品をやってから2、3年たって「ああ、あの時のこれが生かされているな」「あの人こうやってたから、私もこうしてみよう」と気づくので、きっと2、3年後に気づくんだと思います。

 

◆どういうふうになっていきそうという予想はありますか?

今一番吸収させてもらっているのは、長谷川さんの座長というか、主演としての立ち振る舞い。そして、長せりふをどう言うか、自分がせりふをしゃべっていないときにどうやってそこにいるかというものを見て学んでいます。

 

◆最後に視聴者に向けてメッセージをお願いします。

間もなく10話が放送されますが、見ていただけたら分かります(笑)。最後の最後も、「まさか!」と皆さんがびっくりするような展開がどんどん繰り広げられていくので、最後まで気が抜けないですし、ギアが上がりっ放しで終わるので準備しておいてほしいです。

 

PROFILE

大島優子

●おおしま・ゆうこ…1988年10月17日生まれ。栃木県出身。B型。

 

番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』

TBS系

毎週日曜 午後9時〜9時54分

 

<配信>

◆Netflix 世界配信

日本国内配信中

その後、海外にて順次配信を予定

 

◆U-NEXT Paraviコーナー

各話初回放送直後配信

 

◆TVer・TBS FREE

各話初回放送終了直後から最新話を無料配信

 

<キャスト>

長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか

 

<スタッフ>

プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵

演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野

脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平

音楽:梶浦由記、寺田志保

主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

 

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/

番組公式X(旧Twitter)&Instagram:@antihero_tbs

 

©TBS