山本さほさんインタビュー

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『岡崎に捧ぐ』が人気の漫画家・山本さほさんは週2ペースでお取り寄せグルメを楽しむお取り寄せマスター。

「本当に美味しいお取り寄せグルメを何点か知っているので、誰かどこかに書かせて」とつぶやいたことをきっかけに、5月31日(金)からオレンジページnetで、連載「くいしんぼう漫画家 山本さほの『お取り寄せ最強手札』」を始めることに!

これを記念し、お取り寄せをテーマにインタビュー。お取り寄せ失敗談や送料無料のわな、なぜかハウス食品への愛も語っていただきました。

えびフライ詐欺を告発したら……

――前半ではお取り寄せの極意について語っていただきましたが、お取り寄せで失敗したなということはありますか?

以前、漫画にも描いたんですけど、えびフライのお取り寄せは詐欺が横行していまして……。

――詐欺が……!?

私、えびフライには思い入れがあって。うちの父が甲殻アレルギーだったので、幼いころ、家でえびフライが出てくることはなかったんです。でも、祖母の家に行くと、私を気の毒に思った祖母がいつもえびフライを揚げてくれました。

大人になって家を出て、思うさまえびフライを食べられるようになって、前のめりでお取り寄せしたわけです。ところが、ころもで隠せることをいいことに、ちっちゃなえびが3本つながっていたり、ころもばっかり分厚かったり、すり身が入っててもはやえびですらなかったり。思い出のえびフライが……(泣)。

X(Twitter)で嘆いたら、その漫画を読んだ「EBI研究所」というえびフライ専門店のかたが「うちのえびフライを食べてみてください!」とDMをくれたんです。

後日、届いたのを食べて感動しました。ころもが薄くて大きなぷりぷりのえびがでーんと入ってる。

でも、おいしいものって隠せないものなんですね。その後、芸人さんがYouTubeで紹介されたりして、今では入荷待ちの人気商品になってしまいました。

ラーメン1杯2500円でもお得なワケ

――お取り寄せって送料がかかりますよね。いつもそこでちゅうちょしちゃうんですが……。

 送料については私も踊らされましたね。「5000円以上買うと送料無料」とあったら、目当ての商品以外も買ってなんとか5000円以上にしようとしてしまう。届いてみたら、あんまりおいしくなくて、それなのに大量に届いちゃって困ったことも。

ただ、考えてみてください。全国各地のおいしいものが、交通費もなしに家で食べられるって、むしろお得なんですよ。

〈宅麺で注文したお取り寄せの数々〉
「宅麺」ってご存じですか? 有名ラーメン店のスープを濃縮せずにそのまま凍らせて、麺や具材といっしょに送ってくれる通販サイト。

この間そこで、「むぎとオリーブ」という人気ラーメン店の宅麺を注文したんです。3年連続ミシュランガイドのビブグルマンに認定されたお店で、1人前1404円(税込み)、送料を合わせたら2537円でした。高いと思いますよね。

でもあの味をお店で食べようと思ったら、往復の交通費がかかるうえ、1時間くらい並んで、行き帰りの時間も合わせると半日くらいつぶれることになる。それがお取り寄せなら、家で好きなときにちゃちゃっと作って食べられるんですよ。みんな、もっと送料の正当さに気づいて!

――なるほど、そう考えるとお得ですね。お店の味を再現するコツはありますか?

同封されている説明書に忠実に作ることですね。

そのためにIHの揚げ鍋を買ったんですよ。以前は料理用の温度計で油の温度を測っていたんですが、その揚げ鍋はプラグを差して「180℃」と設定すればその温度にしてくれるんで、揚げもの系のお取り寄せのときはとっても便利です。

止まらぬ「ハウス食品愛」


――ふだんのお料理の話も聞きたいのですが、得意料理は何ですか。
 カレーは夫(小説家の小川哲さん)にほめられます。ルウで作るときはバーモントカレー、スパイスで作るときも絶対ハウス食品のスパイスって決めてます。私、ハウスのファンなんです。ポテトチップスもオー・ザック派だし、シャービックも好きだし。しょうがもわさびも全部ハウスでそろえてます。

あ、ハウスといえば、ハンバーグヘルパーについても言わせてほしい!

――ハウスの話、出てきますね〜。なんですか、ハンバーグヘルパーって?

玉ねぎ、パン粉、乾燥卵白、調味料が全部入っていて、ひき肉と牛乳とそれを混ぜるだけでハンバーグのたねができるんです。それ入れてハンバーグ作ると、超おいしくなるんです。今までいろいろ自分で味つけしてたのがばからしくなるくらい。絶対試してほしい〜!

「だまされし山本」だからこその最強手札

――知らなかった! 人においしいもの教えてもらうっていいですね。

罪がないですよね。私も自分がおいしかったものをあれこれまわりにすすめてたら、まわりからもおいしいものの情報が集まってくるようになって。そういうのもお取り寄せの楽しみ方のひとつです。

この間も、前編にも話した夫の美食家の友人から、お取り寄せできる鴨肉専門店を教えてもらって。河内鴨ツムラ本店っていうところなんですけど。鴨しゃぶとか鴨のコンフィとかあって(と、ホームページを見せる)

――このホームページ、前編でおっしゃってた阿部寛さん系のホームページですね。

そうなんです! シンプルなフォントで白黒のページで。商品画像もいい意味で素朴で。やっぱり当たりでした。おいしかったですよ。

――説が立証されましたね。では最後に、「食いしんぼう漫画家・山本さほの〈お取り寄せ最強手札〉」への意気込みを。

 私はこれまでXに流れてくる数々のおいしいお取り寄せ情報にだまされてきたので(笑)、自分は絶対、本当においしいと思ったものを紹介しようと思ってます。1個でも「山本の紹介するやつ、そうでもなくない?」って思われたらイヤなんです。責任を持っておいしいラインナップをそろえるので、ぜひご期待ください!

山本さほ(やまもと・さほ)
漫画家。岩手県盛岡市生まれ。会社員をしながらnoteに掲載した、幼馴染の岡崎さんとの思い出を描いた漫画『岡崎に捧ぐ』(のちに小学館で単行本化)が話題となり、漫画家デビュー。『きょうも厄日です』(文藝春秋)『てつおとよしえ』(新潮社)など著書多数。2024年5月よりオレンジページnetにて、『くいしんぼう漫画家山本さほの「お取り寄せ最強手札」』がスタート。