鈴木康友氏(写真・時事通信)

 相次ぐ選挙で自民党の連戦連敗が止まらない。

「2月4日の群馬県前橋市長選、4月28日の衆院補選島根1区、5月19日の神奈川県小田原市長に続いて、5月26日の静岡県知事選と東京都議会目黒区補選でも自民党が支援した議員が惨敗しました。

 各選挙で裏金問題に対する有権者の批判は収まるどころか炎上する一方でした。

 とりわけ立憲民主党と国民民主党が推薦した元浜松市長の鈴木康友氏に70000票もの差をつけられて敗北した静岡県知事選は、自民党陣営にとって相当なショックになっています。小渕優子選対委員長は記者団の前に姿を見せず『県民の審判を真摯に受けとめ、今後も県政の発展に力を尽くしたい』との談話を文書で発表するのが精一杯でした」(政治担当記者)

 さらにベテラン政治ジャーナリストは、「自民党にとって静岡県知事選の敗北は、『一地方選挙の敗北』では済まないトラウマがあるからなんです」と打ち明け、2009年の静岡県知事選挙を振り返った。

「その年の7月5日に行われた静岡県知事選は、当時の民主党、社民党、国民新党が推薦した川勝平太氏が、自民党、公明党が推薦した候補を僅差で破り『保守王国』を崩したのです。当時の首相は麻生太郎氏。不人気だった福田康夫首相に代わって『選挙の顔』として選ばれたと言われましたが、リーマンショックに端を発した経済混乱で解散を先送りしたため支持率は低迷。

 そうしたなかで静岡県知事選を『起死回生の選挙』と位置づけ、幹部クラスを続々投入して企業、団体への働きかけを強めました。しかし及ばず、悪い流れは続き、7月12日の東京都議選でも与党系候補が相次いで落選。

 そして8月30日の衆院総選挙ーー当初から大苦戦が予想されていましたが、多くの現職大臣が落選するなど大惨敗を喫して、民主党政権が誕生することになりました。今回の静岡県知事選の敗北は、当時を想起させます。岸田文雄首相も当然、2009年のことは鮮明に覚えているはずですから平穏でいられるはずがありません」

 7月7日には都知事選が投開票される。自民党は独自候補を立てず3選を目指す小池百合子都知事を応援する戦略と言われているが、立憲民主党の蓮舫参院議員が無所属での立候補を表明して、事実上の「野党相乗り」になる可能性があり選挙戦は予断を許さない。

 自民党議員の胸中には、再び下野する“最悪の結末”がよぎっているのかもしれない。