コロナ5類移行から、はや1年。あらためて意識したいお鼻周りのエチケット!

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コロナ5類移行から、はや1年。あらためて意識したいお鼻周りのエチケット!

マスクを外すことが当たり前になった日常。鼻毛や鼻くその飛び出しに注意することも多くなりました。でも皆さん、この鼻くそについて意識したことありますか?

何でできているのか? どれくらいの時間で産出されるのか? 素朴な疑問を解決していきましょう。

【画像】鼻の中の鼻中隔は出血しやすいので注意

■鼻くそって何でできてるの?

突然ですが、皆さん。

「この人、鼻くそが鼻から飛び出してるけど、注意しにくいし、気まずいな......」

なんてシーンに出くわしたことありませんか? コロナが5類になって、はや1年。マスクなしが当たり前になり、お鼻周りの身だしなみに気の緩みが見えそうな今こそ、あらためて"鼻くそ"について学んでみましょう。

知識が増えれば、意識も変わる。鼻くそケアもきっと今よりしっかりできるはずですよ!


お鼻周りの身だしなみは、かなり重要

というわけで、鼻くそに関する疑問に答えてくれたのは、東京・西葛西にある、しんでん耳鼻咽喉科医院院長の田部浩生先生。

Q.そもそも鼻くその成分ってなんでしょう?

「基本的に鼻くその原料は鼻水+ホコリ、ゴミ、中にはウイルスや細菌も含まれます。鼻粘膜の毛細血管から染み出た粘液が鼻水で、この主成分は血漿(けっしょう)。血液を試験管に立てておくと20〜30分で下に赤い塊ができて、上に透明の上澄みができる。これが血漿です。

ちなみに血漿は肝臓で作られ、毛細血管から体中を巡ります。そのうち、鼻粘膜の毛細血管から染み出たものが鼻水というわけです」

Q.鼻水が固まって鼻くそになるわけですね?

「はい。呼吸によってキャッチしたホコリ、ゴミ、ウイルスが、時間がたって体温で温められ、タンパク質が固まり、結果、鼻くそになります。外気の湿度が低いと鼻くそは固まりやすく、湿度が高いと鼻くそはできにくい。また、当たり前ですが空気が悪いところだと鼻くそはできやすい。それだけ、鼻が頑張っているんです」

Q.鼻くその役割ってあるんですか?

「鼻くそというより、そもそも、鼻の持っている機能は3つあります。ひとつ目はエアフィルター機能。鼻から空気を吸いますよね。空気中にはホコリやゴミなどがありますが、それらがそのまま肺に入るとまずい。それをキャッチするために、鼻の粘膜から鼻水を出してネバネバを保ちます。鼻毛も鼻水で覆われることでキャッチしやすくなる。

ふたつ目は空気の保温効果。冬の寒い日に外で深呼吸するとせき込みますが、あれは冷たい空気に対して体が拒絶反応を起こしています。いったん鼻を通してゆっくり吸うと保温される。冷たい空気を温かくしてくれるんです。

3つ目は鼻水を通して空気を取り込むことで保湿される。冷たい、乾いた空気は肺にとって良くないので、潤してくれるんです」

Q.数時間前に取ったばかりなのに、気がついたらまた鼻くそができている気がします。

「実は、鼻水は1日に1.5Lも作られるんです。それだけの鼻水で外気からのウイルスなどの侵入を防いでいます。でも、その1.5L全部が鼻の穴から出るわけではなく、ほとんどは飲んでしまう。90%以上は喉に流れ、喉を守っていく。喉は喉でまた粘液を出しており、それも鼻水の役割によく似ています。

このように、体では絶え間なくずっと鼻水が出続けているので、鼻くそが定期的にできるのは当然。ちなみに、固まるまでの時間は早い場合だと数分。長くても1時間はかからないと思います」

Q.人によって鼻くその多い、少ないってあるのでしょうか。

「先ほども述べましたが、空気の悪い所や湿度の低い所にいると多くなります。ゴミ焼却場で働く人や大きな幹線道路沿いに住む人などは鼻くそができやすいです。ただ、生まれつき鼻くそが多い人、少ない人というのはいません。健康体であれば、鼻くその多さに個人差はない。

元気なうちは小学校高学年から60代くらいまでは鼻くそが出る量は一緒で、どの年代が一番よく鼻くそが出るとかもありませんが、年を取ってくると、唾液も鼻水も涙も減るのに伴い、鼻くそも減ります。

あとは、病気になると違ってきます。風邪を引くとたくさん鼻水が出るのは、体が鼻から入りそうな、または入ってしまった異物を外に出そうとする反応です。アレルギー性鼻炎もそうですが、鼻の異物を洗い流すためにたくさんの鼻水が出るんです」


幹線道路沿いに住む人は鼻くそができやすい

Q.緑っぽいものや白いものなど鼻くそに色の違いがあるのはなぜ?

「できたて新鮮で健康的な鼻水からできた鼻くそは白っぽく、透明。病気になったり、喉や鼻の炎症がひどいときは、鼻の中でウイルスや細菌と白血球が戦い、その死骸が混ざると黄緑色っぽくなります」

Q.たまに鼻くそに少し血がついていたりしますが、これはどこの出血が原因なのでしょう?

「鼻に指を入れて、ちょうど指の腹に触るあたりの部分を鼻中隔といいます。鼻中隔は人間の体の中で最も出血しやすい部分といわれています。

なので、ちょっと引っかくとすぐに出血し、鼻血とまではいかなくても、鼻くそにちょっと血がついてしまう。あとアレルギー性鼻炎のある人は鼻の中の粘膜が弱いので、血が出やすく、鼻くそに血が混じりやすいというのもあります」


鼻の中の鼻中隔は出血しやすいので注意

Q.固い鼻くそと柔らかい鼻くそがあるのはなぜ?

「これも先ほどから述べているように、時間がたつと鼻水が固まって鼻くそになるので、単純に鼻の中で経過した時間の違いです。また、湿度が低いと固くなりやすいので、環境にもよります。耳あかの場合はカサカサの人とウエットな人は遺伝性があるといわれますが、鼻くその固さに個人差はありません」

■お酒を飲むと鼻くそが増える?

鼻くその基礎知識を学んだところで、素朴な疑問をどんどん解決してもらおう!

Q.鼻くそはどうやって取るのが最適?

「鏡を斜め下において、見える範囲なら手で取っていいと思います。気をつけてほしいのは爪の向き。先ほど言った鼻中隔に爪が当たるとダメ。血が出やすくなります。指で取るときは、爪を鼻の外側(耳のほう)に向けるようにしてください。

また、あまり奥のほうはまだ鼻くそになっていない、鼻水の状態のことも多いので、無理やり指は入れず、ティッシュでかむなどで対処したほうがいいと思います」

Q.鼻くそを取らずに放置しておくとどうなりますか?

「鼻の穴が完全にふさがることはありません。何かのきっかけで必ず鼻くそは出てきます。粘膜から常に鼻水は産出されているので、鼻くそがたくさん産出されてもどこかで流されてポロっと出る。

私は30年以上耳鼻科医をやっていますが、鼻くそが詰まって中が見えないという人はいませんでした。鼻毛にまとわりついてしまっている人はいますが、鼻くその影響で呼吸ができなくなるとかそういうことはないので、神経質になりすぎないほうがいいでしょう」

Q.お酒を飲んだ次の日の朝は鼻くそが多いって本当?

「お酒を飲むと末梢血管が開きます。体が温かくなり、顔も赤くなって汗が出る。そうなってくると、粘膜から作られる鼻水の量も増えます。お酒を飲むと鼻詰まりを起こす人がいますが、粘膜が腫れているんです。なので、個人差はあると思いますが、お酒を飲むと鼻くそができやすいというのはウソではないと思います」


お酒を飲むと鼻くそが増えることもある

Q.子供が鼻くそを食べる癖があるのですが、害はない?

「塩味で子供が食べてしまうのもわかるのですが、基本は食べないほうがいいでしょう。鼻くそは体に害を及ぼすものを集めた結晶。食べていいことはありません。体調を崩すことはないでしょうが、わざわざ自分の体が排除して出てきたものを食べるのはどうかと思います」


鼻くそは不要物の結晶なので食べないように

Q.片方の穴ばかり鼻くそがたまることがあるのはなぜ?

「人間の鼻って左右対称ではないんです。広がっている粘膜のひだの大きさも違うし、鼻腔の体積も左右で違う。なので、鼻水が多いほう、少ないほう、空気が通りやすいほう、通りにくいほうが出てくるのは自然なことです」

これで、あなたも鼻くそマスター。明日からお鼻周りをキッチリ整えましょう。

取材/渡辺ありさ イラスト/福田嗣朗 写真/PIXTA