72歳、ひとり暮らしの「リアルな食事」。余りがちな調味料の使いきりアイデアも
テレビや雑誌、料理教室の講師として、「簡単でおいしい」レシピを多数提案している料理家の足立洋子さん(72歳)。昨年発売した著書『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社刊)は、夫の急逝と子どもの独立でひとり暮らしとなった今も、日々の食事づくりや家事を楽しむ工夫が満載と話題を集めています。そんな足立さんの日々の食卓から、最近のリアルな食事を披露。ひとり暮らしでは敬遠しがちなかたまり肉の料理や、余りがちな調味料の使い方について紹介していただきます。
おもてなしの主役「ローストポーク」はストックが便利
薄切り肉は使い勝手がいいですが、肉本来の味わいを楽しみたいならやっぱりかたまり肉。子どもたちが小さい頃からわが家のごちそうの定番はローストポークでした。
肩ロースに数か所穴をあけてニンニクを1片ずつ埋め込み、塩コショウやローズマリーとともに漬け込んで2晩おいてからオーブンで焼くのがわが家流。オーブンに入れる前にフライパンで全面に焼き色をつけておくと、肉が固くなりません。
人が集まるときなどに、500gや1kg分を一気に焼いて、すぐに食べない分は半分に切ったり、食べやすい暑さにスライスして冷凍。刻んでピラフやチャーハンの具にするなど、冷凍しておくとなにかと重宝します。
もちろん、解凍してそのままいただいても。この日(上・写真)は、ワサビ菜、フルーツトマトを添えて、ソースは市販のスイートチリソースにしました。
じつは万能な「スイートチリソース」
スイートチリソースは、料理の講習会でも、使いきれなくて死蔵している方が非常に多いと聞きますが、うま味と酸味があって、じつはとても使い勝手がいいものなんです。そのまま肉に合わせてもいいし、ぽん酢しょうゆ、ラー油を加えたら中華風ドレッシングにも。
野菜との相性も抜群です。冷凍ストックと簡単卵焼きでつくる、時間がない朝の「10分弁当」でもスイートチリソースが活躍。ゆでたブロッコリーとカリフラワーにサッとかけると、色味と味わいのアクセントになりますよ。ゆでたモヤシなどに合わせるのもおすすめです。
食欲がないときの「コストコ」のお助けフード
大好物の牛タンは、コストコの「タン厚切り 焼肉用」を定期的に買って冷凍しています。年齢とともに、ご飯や野菜のおかずだけでおなかいっぱいになってしまうことが増え、タンパク質不足が心配になってきました。そこで、「お肉不足だな」と感じたときには牛タンの出番。
塩・コショウで味つけして焼き、サラダホウレンソウとミックスナッツのサラダを添えています。温かいご飯に、もみのりをかけ、おしょうゆをたらして、焼いた牛タンをのせる「牛タンどんぶり」もお気に入り。食欲の落ちているときこそ、好物をいただくようにしています。
食べたいものがないときの「シンプル卵チャーハン」
自他ともに認める「食いしん坊」でも、ときには食べたいものが思いつかないということも起こります。冷蔵庫いっぱいのおかずのストックにもどれも食指が動かない…そんなときに必ずつくるのが、シンプルな卵チャーハン。
フライパンに多めの油を熱し、まずは卵2個をふわふわ半熟の炒り卵にして取り出します。同じフライパンで、ご飯、鶏ガラスープの素を炒め合わせて、卵を戻し入れ、刻んだ長ネギ(青いところ)を加えてサッと炒めたら完成。
もちろん、ここに焼き豚などを入れてもおいしいのですが、「なにも食べたいものがないな」という日には、昔からくり返しつくっている、この2素材のシンプルなチャーハンがしみじみおいしく感じられるんです。
インスタグラムなどでおいしそうな料理を見かけると、すぐにつくってみたくなる私ですが、ひとりになった今、気ままな食卓を支えてくれるのは、結局、家族がいた頃と変わらない定番の食材や料理なのかもしれません。