5月13日、ラ・リーガ第35節、久保建英擁するレアル・ソシエダは敵地でのバルセロナ戦に臨んだ。

 2023−24シーズンのリーガ優勝はすでにレアル・マドリードが勝ち取っている。最終盤に入ったリーグ戦では、残留争い並びに来季のUEFAカップ戦の出場権争いに注目が集まる。

 バルサはシーズン半ば、成績不振から一度は監督シャビ・エルナンデスの退任を発表した。しかし、調子が上向いてきたことから、一転して続投が決定された。

 ただチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝パリ・サンジェルマン戦、そしてクラシコでの敗戦と、大一番での勝負弱さが見られた。また前節には今季躍進のジローナに逆転負けを喫し、3位へ後退している。CL出場権獲得をほぼ確実なものとしているとはいえ、来季に向けて監督続投の正当性を認めさせるためにも、ホームサポーターの前で勝利が必要な試合だった。

 一方のソシエダは6位で今節を迎えており、来季の欧州カップ戦出場権争いの真っ只中に置かれるなかで、格上バルサとの対戦となった。

 また久保にとっては、幼少期をバルサのカンテラで過ごしており、個人としても思い入れの強い試合だったはずだが......。


2戦連続でベンチスタートとなった久保建英 photo by Nakashima Daisuke

 ソシエダ先発メンバーのなかに久保の姿はなかった。指揮官イマノル・アルグアシルが選択した守備的な5−4−1のシステムのなかで、久保は2試合連続となるベンチからのスタートとなった。

"果敢に勝利を目指すのではなく、なんとか勝ち点1以上を持ち帰る"という指揮官の決断が垣間見える采配だった。

 試合は序盤、バルサがソシエダの前線からの果敢なプレスに苦しんだが、徐々にバルサがポゼッションを高め、拮抗したものに。そのなかで、ソシエダはワントップに入るシェラルド・ベッカーのスピードを活かした攻撃を試みるが、前半40分、バルサの16歳、ラミン・ヤマルに先制点を奪われてハーフタイムを迎えた。

 ソシエダは1点を追う展開ながら、選手交代のないまま迎えた後半25分、久保、アンデル・バレネチェア、キーラン・ティアニーの3枚を同時投入すると同時に、システムを通常の4−3−3へ変更。久保は右ウイングへポジションを取った。

 その久保は投入直後、ボールを受けると小刻みなステップでボックス内へ侵入。相対するバルセロナのSBジョアン・カンセロを半歩分ずらすようにかわすと、そのまま左足を一閃した。鋭いシュートは枠をとらえていたが、GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンにキャッチされてしまった。

 その後も久保は積極的にパスを呼び込み、カットインからクロスを送り込むなど攻撃の起点となろうとしたが、得点に結びつけることはできなかった。同点を目指したソシエダだったが、アディショナルタイムにハンドでPKを与えると、ハフィーニャにゴールを決められ、2−0で試合終了を迎えた。

 試合後の会見で、ソシエダのアルグアシル監督は、久保、バレネチェアのベンチスタートに関し、「理由は、すべてが少しずつ。バルセロナに打撃を与えるには今日のスタメンがベストだったし、実際、相手を驚かすことができた」と答えている。

 ソシエダはこの敗戦で順位を7位に落とし、またバルサは勝利によって2位となり来季CL出場権を確実なものとした。

 ソシエダはこの後、中2日で8位のバレンシア、さらに中2日で6位ベティスと、連戦が待っている。