(写真:時事通信)

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「私の家内は、去年の4月に『痛いよ、痛いよ』と言いながら死んでいきました」

5月1日に水俣病の被害者側と伊藤信太郎環境相の懇談の場でマイクのスイッチが切られたのは、被害者側が冒頭のように苦しみながらも水俣病と認められないまま去年、亡くなった妻について話していた際のことだった。

この問題によって伊藤信太郎環境相は7日に熊本県水俣市を再訪し、被害者らに直接謝罪する事態に追い込まれた。8日の会見で伊藤環境相は「環境相として、このことをいかに大切に思っているかをお伝えしたいと思います」などと涙ぐみながら、マイクの前で10分以上謝罪の弁を述べた。

水俣病問題を大切に思っている”と言う伊藤環境相だが、問題となった懇談の席のひと幕を振り返ってみると、どうだろう。

マイクを切られる前、未認定患者団体「水俣病患者連合」の松崎重光副会長(82)が苦しむ妻との最後について言葉に詰まりながら話していると、職員が「申し訳ございません。お話をおまとめください」話を遮る。松崎氏は驚いた顔をするが、“話をまとめよう”と再び話し出す。するとマイクのスイッチが切れていたのだ。

会場から「マイクのスイッチ切れてない?」と指摘する声が上がるも、職員はマイクを持ち去ってしまう。会場からは「あんたら、本当に水俣の被害者のこと考えてるなら喋らせればいいのに」「話を聞けって」「大臣!」と伊環境相に直接呼びかける一幕もあった。

会場に異変が起きた上に名指しされても、表情を変えない伊藤環境相。職員らに確認を促すそぶりも見せなかった。

松崎氏が「自民党の人たちはなんで棄却ばっかりするんですか?」とマイクなしで再び話そうとすると、「マイクあげたらいいじゃん」「話ば聞くっちゅうから来たかね」と会場からは不満の声が上がった。

すると再びマイクのスイッチが入り、マイクを手渡された松崎氏は「苦しんで苦しんで、死んでいったもんの気持ちも汲んでいただけませんか」と真っ直ぐ前を見つめて話し、最後に「お願いします。以上です」と締めくくった。

懇談会の最後に出席者から「さっきマイクが小さくなったけど、音量の調節をされたんですか?」と指摘されると、職員は「事務局の不手際でございました」と謝罪。出席者から「話を聞きに来たんじゃないのかい?」などと指摘されるも、ここでも伊藤環境相はお辞儀をして立ち去ろうとした。

「大臣、マイク切ったことをどう思ってるんだ」と聞かれると、伊藤環境省は「私はマイクを切ったことを認識しておりません」と言い放ち、紛糾する会場の声に応えることなく無言のまま立ち去った。懇談後の記者会見でも伊藤環境省は職員がマイクを切ったことを「認識していない」などと発言していた。

あまりにひどいやりとりの様子にもかかわらず、今回の謝罪が決まったのは7日昼。対応が遅すぎると厳しい声も上がっており、伊藤環境省の“涙の謝罪”も心からの謝罪ではないのではと批判が噴出した。

《泣きながらの謝罪がポーズだけでみっともないんだよな 泣かなくていいから、患者の話を黙って聞けば良かったのに 患者の苦悩には泣かない癖に、自分の保身のために泣くのが馬鹿馬鹿しい》
《現場にいて、オイオイちょっとそのマイクオフはないんじゃないの?ってツッコミも入れられず、問題になってから私は認識していないと言い逃れようとする大臣も同じく胸糞だろ》
《何十年も苦しんでる人たちに与えられた時間が3分て頭おかしいわ 涙ながらの謝罪に10分費やしたらしいな 記者も3分過ぎてますよとツッコんでやれよ》
《伊藤大臣何の涙よ。泣きたいのはマイク切られた水俣被害者の方だよ!》