最終日には、約250人のコスプレイヤーが参加し、場内をパレードした

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特に目立った「葬送のフリーレン」コスプレ

 4年ぶりの本格開催となった、AnimeJapan 2024。東京ビッグサイトを舞台に3月23日、24日の2日間で13万人を超える来場者が集まり、大盛況となった。

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 アニメのイベントといえば、コスプレがつきものだが、コロナ前に数多く見られた外国人コスプレイヤーは今回、少なめ。日本人コスプレイヤーが多く参加したせいか、ここ最近のヒットアニメのコスプレが目につく。その中で一番人気だったのは、今季最大の話題作となった「葬送のフリーレン」だ。

 フリーレンに扮した透城(とうしろ)セリカさんの前には、プロ、アマ交えカメラマンの長蛇の列。“エルフなので年齢は1000歳以上”という透城さんは「お気に入りのキャラに思いっきりなりきった」そうで、ノリノリの様子だった。コスプレエリアには、主人公のフリーレンだけでなく、ヒンメルやフェルン、はては敵役の魔族などのサブキャラも登場。派手なアクション場面だけでなく、巧みなセリフで“人間”を描くこの作品が、多くのファンを魅了したことがうかがえる。

最終日には、約250人のコスプレイヤーが参加し、場内をパレードした

“私小説が主流”は過去の話

 かつて作家の司馬遼太郎は「日本人は、うそを伽藍(がらん)のようにくみ上げて大きな物語を作り出すのが苦手だ。だから日本の小説は自分のことを書く“私小説”が主流となっている」と自嘲気味に語っていた。

 だが、それはもう昔の話かもしれない。小説はともかく、こと、アニメやコミックに限れば、日本人が紡ぎだす、“人を食う巨人”や、“鬼と闘う少年剣士”、あるいは“魔法が飛び交う異世界”の壮大なフィクションは、日本のみならず、全世界に多くのファンを得ている。日本のアニメ産業の市場規模は2010年代初めまで1兆3000億円前後にとどまっていたが、気付けばこの10年で、2倍以上に。潜在市場規模は34兆円に上るとみられている。AnimeJapan 2024の活気を見るに、日本アニメの進撃は止まりそうにない。

撮影・福田正紀

「週刊新潮」2024年4月4日号 掲載