星野路実氏

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 待ち合わせの場所に立っていると、身長約180センチの大男がぬっと現れた。被害額推計3200億円、日本のメディアを震撼させた「漫画村事件」の首謀者・星野ロミこと星野路実氏(32)である。

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 簡単におさらいしておくと、漫画村とは海賊版の漫画が無料で読めるサイトである。2016年に開設されるとアクセスが殺到し社会問題に。その3年後、星野氏はフィリピンで拘束される。

 著作権法違反などに問われた同氏に下された判決は懲役3年の実刑と罰金・追徴金約7257万円。大分刑務所で服役し、一昨年11月、仮釈放になる。その後、ユーチューバーなどの活動を開始し、昨年暮れにはオンラインでプログラミングスクールを開校した。ところが、その名は、

「漫画村を作ろう!」

星野路実氏

 え、またやるつもり?

「まさか。スクールの名前はあくまで宣伝のために付けました。漫画村事件で有名になってしまったので、知ってもらうにはこれが手っ取り早い。僕は今失うものもありませんし」

授業料は月額2万500円

 そう話す星野氏によると、プログラミングは動画を見ながら学ぶようになっているという。学習が行き詰まったらAIや有人のサポートが受けられる仕組みとなっており、初心者が始めても漫画村レベルのサイトが作れるようになるというのが売りだ。授業料は月額2万500円で現在330人の生徒がいるというから星野氏の月商は約670万円。漫画村の頃には及ばないが、十分すぎる儲けではないか。

 ところで星野氏は、目下、福岡地裁に再審請求を申し立てている。漫画村事件は無罪であるという主張だ。

「漫画村は日本の著作権法に触れないことを調べてからスタートさせたつもりでした。漫画そのものをアップロードする仕組みではなく、誰かが作った海賊版に“飛ぶ”ことができるようにしていただけ。実際には『ワンピース』など数話がサーバーに残っていたのを見つけて検察が起訴してきたのです。でも、それでは実刑にできないので、サイト運営で得た広告収益を隠していたとして組織犯罪処罰法違反を付け加えてきた。要するに僕を厳罰に処して見せしめにしたかったのだと思います」

「強引な法解釈で有罪にされたことに納得できない」

 でも、海賊版を利用して稼いだのは、やっぱり良くないのではないだろうか。

「漫画や小説など創作者の権利は僕も保護されるべきだと思っています。でも、それなら法律を作って漫画村を禁止するべきだった(註・事件後の著作権法改正によって漫画村のような海賊版に誘導するサイトは違法になった)。再審請求したのは、強引な法解釈で有罪にされたことに納得できないからです」

 悪いことをしていたとは、今も考えていないのである。

 すでに刑期を終えている星野氏だが、民事裁判がまだある。KADOKAWAや集英社などから20億円近い賠償を求められているのだ。

「負けてもそんな大金を払えるほど持ってませんから」

 と話す星野氏。それよりも、次の儲かるビジネスを目下思案中なのだという。

「週刊新潮」2024年4月11日号 掲載