注目を集める50代以上のひとり旅。でも、未経験の人にとっては、なかなか一歩を踏み出せないもの。ひとり旅に関する著書をもつ、シニアブロガーの中道あんさんは、「ひとり旅は、ひとりだけについ手を抜きがち。とびきり楽しむためには事前に準備も大切」と語ります。そんな中道さんが考える、ちょっとしたコツで旅の楽しさを深める10の秘けつを紹介します。

事前に旅の目的とテーマを決めておく

私は、あまり計画性がない方で、SNSで絶景が目の前に飛び込んできたり、ご当地グルメを見てしまったときに、猛烈に「旅に行きたい!」となります。一度旅のスイッチが入ってしまうと、そこからどこへ行こうかと探しはじめるのですが、なんとなくではどこに行っていいのやら分からないものです。

自分は今、どんな気分で旅をしたいのか心の声をしかり聞いてあげることが大事です。私の場合、以下のような基準で旅のテーマを決めています。

 

・ほんのひとときリフレッシュしたいのなら、近場温泉宿かちょっと豪華なホテルステイ旅

・食いしん坊さんには、その土地でしか食べられないグルメを堪能する旅

・新しいことがしたいのなら、日本の手仕事や工芸、アクティビティで“初めて”を体験する旅

・歴史や文化に触れたいのなら、世界遺産巡りや古い町並みを散策する旅

・静かな場所で自分と向き合いたいのなら、自然に包まれながらリトリート(非日常的な場所で自分と向き合い、にゆったりと時間を過ごすこと)に滞在する旅

 

このように、テーマを決めると、計画が立てやすくなりますし、旅がグッと楽しくなります。コツはたくさん予定を詰め込みすぎないことです。メインの目的地を決めたら、そこから何をしようかと考えて、コースや時間配分を決めます。つい、あれもこれも楽しそうとまとめるより、余裕をもたせるのがより深く旅を楽しむコツです。

いちばん元気な朝こそ「アクティビティ」に参加する

最近のお宿では、朝ヨガ、朝座禅、朝ハイキングなど。ちょっと早起きして朝食前にアクティビティメニューを楽しめるホテルが増えました。ホテルを選ぶときには、そういったサービスがあるかどうかも基準にしています。

また、のんびりホテルのお庭を散策したり、周辺を散歩するのも楽しいものです。日頃できない朝寝坊をするのもいいですが、なにかちょっとした活動をするだけで気分が上がっていきますし、なにより朝ごはんがとってもおいしく感じられます。

朝食に力を入れているホテルを狙う

朝食はなんたって一日の始まりですから、大注目です。わざわざ、朝食のためだけに泊まったホテルもありますし、朝食を食べに出かけたこともあります。一日のごきげんを決めるのは朝食だといっても過言ではありません。優雅なひとときを迎えられる、朝ごはんに力を入れているお宿に泊まるのも満足度アップの秘けつです。

ランチは少しぜいたくしてみる

50代だからこそ、ランチでぜいたくしてみるのもおすすめです。敷居が高すぎて来店しづらい高級店でも、昼ならお手頃価格になる場合が結構あります。例えば、お寿司や会席料理なんかがそう。

カウンター席などでランチをのんびり楽しんで、夜は軽くすませてホテルでくつろぐのもおすすめです。ランチタイムを旅のピークにする過ごし方もユニークだと思います。

バスタイムをワンランクアップするものを持っていく

みなさんは、大浴場でのびのびと湯船に浸かりたい? それとも部屋のバスタブでひとりの空間に浸りたい? どちらにせよ、バスタイムをちょっぴりぜいたくな時間にするために、マッサージクリームや、フェイスマスクを家から持っていき、普段よりも念入りにお肌のお手入れをして優雅な気分に浸ってみてはいかがでしょう。

お部屋のお風呂に入るときのために、バスソルトや入浴剤も忘れずにしたいもの。バスタイムで満たされると、旅の満足度も上がると思っています。

旅先の地元スーパーでお宝さがししてみる

ホテルや空港、駅などのお土産もの売り場もいいけれど、地元のスーパーでここでしか買えないものを探すのも、ディープで楽しいものです。以前、長野県に旅したとき、ご当地スーパーに行ったときはテンションが上がりっぱなしでした。

なんといっても、ここでしか買えないもが目白押しで、大阪人の私にとっては、あたらしい発見があちこちに散りばめられていて、まるで宝探しのようで、その土地のことがとても好きになりました。

タクシーの運転手さんと仲よくなってみる

旅先で、気の向くまま歩いて自分でなにかを発見すると、とっておきのものは手柄をとったかのように得意げな気持ちになります。旅というのは一期一会を探すことでもあります。自分で探すのもいいですが、タクシーに乗って運転手さんとの会話から教えてもらうこともあります。

「運転手さんのおススメの紅葉スポットに連れってください」とか「運転手さんがこれまで食べておいしかったラーメン屋さんはどこですか?」なんて聞いて、乗せていってもらったこともありますし、観光ガイドのように名所の情報を教えてくれたこともあります。

とにかく荷物を最小限にしてみる

旅には使いやすいカバンを持つのがおすすめです。ちなみに私はスーツケース派。転がすだけでいいので、移動がしやすいからです。たくさん荷物も詰められるし上から押し込んだら、思った以上に収納できるのも利点です。

ただし、スーツケースは転がすだけじゃなくて持ち上げることもあります。腕力が衰えてくる50代以降は、自分が持ち上げられる以上の重さの荷物を持つのは危険です。

10kgの米袋を下げてどれくらいの時間耐えられますか? たくさん荷物を持って行きたい人は、「もしも」のときを考えて、あれこれに詰め込みたくなるもの。それは「不安」が引き金になっているのかもしれません。

そういう人は、まずカバンを小さくして、必要最小限のものだけ準備してみてはいかがでしょうか? もし、必要にせまられたら現地で調達すればいい! というくらいの心意気で身軽に旅する方が、余計な労力を使わなくてすみますよ。

旅先にスカーフを1枚持っていく

夏でも、冬でも旅の荷物に「スカーフ」を1枚必ず持っていきます。夏は冷房の風よけになるので、肩からかけたり、冬は首元がスースーと寒かったりするので首に巻いたり、50代以上にとってはとても役に立つものです。

ファッションだけではなく、風呂敷代わりにもなって衣類を包んでバッグに収納したり、両方の角と角をきつく結べば、あっという間に布バックに早変わり。大浴場にいくときはそこにタオルや着替えを入れて移動すれば、ちょっと便利なうえにオシャレなので、重宝しています。

水分をしっかり携帯する

夏は、みなさん意識して水分を取るようにするかもしれませんが、冬の水分補給も重要です。だれかと一緒だと「ちょっと休まない?」なんていってカフェにも入りやすいのですが、ひとりだと休むことをあと回しにしがちです。

「お茶タイム」をプランに入れるのも大事ですが、お水などの水分を必ず携帯することも忘れずにいましょう。「喉がかわいたな」と感じていたら、すでに水が足りてない証拠です。定期的な水分補給が50代ひとり旅の健康を守ってくれます。

スマホの電源をオフする時間を意識的につくる

私は、ブログを書いていることもあり、いいことがあったり、発見したりすると、人に教えたくなる性分です。おいしいもの、すてきな風景をみると、味わうよりも先にスマートフォンのカメラを向けてしまう。それは、それで貴重な記録ではあるのですが、なんだかもったいない気もします。

今この瞬間を味わうには、スマホはやや邪魔になることもあるのではないでしょうか。スマホの通知をオフにするとか、電源を切ってバッグの中で大人しくしてもらう。そんな時間をつくるように心がけています。すると、移動中の電車の窓からだって目に焼きつけておきたい風景に出会えることも多いです。

 

ちょっとだけひとり旅の楽しさを深める10個の秘訣をお届けしました。ひとり旅同志が旅先で出会って親しくなる。そんな世界が広がるといいなぁ、と思っています。