ニュースでもたびたび報道され、社会問題ともなっている「ゴミ屋敷」。今回は、ESSEonlineで大反響だった『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』の著者・西園フミコさんの経験をもとに、その実態を紹介します。

疎遠になっていた父方の祖父母の家が「ゴミ屋敷」に!

今後の介護相談をすべく、久しぶりに90代の父方の祖父母の家を母と2人で訪ねた西園さん。そこで初めて、「ゴミ屋敷化」の現状を目の当たりにしたそうです。

「2階建てで、玄関先から見える1階部分は1人分の移動スペースがぎりぎりあるくらい。だから、おもな生活スペースである2階に踏み入れるまでは、『汚れてる家』という認識でした。でも実際に上がると、想像を超えた“魔境”が広がっていました…」(西園さん、以下同)

当時の様子をそう西園さんは語ります。また、とくに汚れがひどかったのはユニットバス。

「トイレの便器横で”ぬか床”を発見したことがとにかく衝撃。そこに保存容器があるのはもちろん、開封するのもイヤでしたね…」

炎天下で行われた2日間の片づけから学んだこと

「ゴミ屋敷」の片づけは、そのゴミの量の多さから2日間にわたって行われました。敷地内は、一面に生ゴミ臭が広がり、いくら捨ててもものが減らない状況についにストレスも限界を突破!

「でも、家主の祖父はなぜか捨てたゴミを無言で戻していました(苦笑)。片づけの承諾は得ましたが、やっぱりイヤだったんでしょうね。でも、清掃業者の方が上手に対応してくれて、なんとか事なきを得ました」

その後順調に作業は進み、2日かけて人が住める状態にまで回復!

「自分の力だけでやってたら、精神的にもやられていたと思います。困ってるときに世間体を気にしすぎても仕方がないし、正直に話してプロの助けを借りることが大切だと学びました」

このゴミ屋敷の片づけの経験から西園酸が学んだことは2つ。まずは、「プロに頼る」ということ。ゴミ屋敷の片づけは第三者の介入が必須です。無理はせずに、プロにお願いするのが解決への近道ともなります。また、2つ目は「悩みすぎない」こと。1人で抱え込まずに、助けてもらうことで気持ちの面にも余裕ができます。

「ゴミ屋敷」で実際に体験した4つのこと

ぱっと見はただの「一軒家」。しかし、玄関をあけると、恐ろしいゴミの量で、足の踏み場もなし…。部屋はもちろん、風呂やキッチンもゴミで埋まり、どうやって生活しているのか謎ばかり。

ゴミ屋敷に手をつけられない理由の1つが、当事者たちの“片づけ”に対する拒否。「キレイにしている」「ゴミではない」といった持論を展開し、ここを説得するのが片づけの第一関門だった。

換気もろくにせずにいたため、部屋には生ゴミ臭が充満。換気をしようとすると、悪臭が一気に外へ噴き出してしまうアクシデントもあったそうで、そのニオイは、通りすがりの小学生が驚いて逃げ出すほど…。

皿やゴミで埋まったシンク、衣類・食べ物・衣類…で形成された謎の層など、想像を絶する光景は“地獄”のよう。あまりの散らかり具合に、想定外のところから意外なものが発掘されるといったことも。

 

ESSE4月号では、このほかに「ゴミ屋敷」になったときにどうすればいいのか、メンタルと片づけのプロに教えてもらっています。また、西園さんの体験をまとめた漫画『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』は好評発売中! ゴミ屋敷の片づけのリアルな話に加え、介護の話も収録。また、描き下ろしもあるのでぜひ併せてご覧ください。