家づくりでは、地震に強い家を建てることはもちろんですが、被災したときに暮らしを維持するための視点も重要です。地元工務店で注文住宅を建てた日刊住まいライターは、地震に備えて3つのことを実行。テレビは壁掛けを採用、置き家具をやめて造作に。備蓄食料のための収納スペースを確保しています。さらにあとづけで太陽光パネルも搭載。住み始めてから起きた2度の大きな地震でも、その成果を実感しています。

東日本大震災の経験を家づくりに生かす

筆者は妻と子ども2人(10歳と7歳)の4人家族。家づくりの際に、28社のハウスメーカーを見学。3年前に地元工務店で、2階建ての注文住宅を建てました。

じつは筆者の両親と妻は、東日本大震災の被災者。家具が倒れて壁に穴があいたり、食料がなくなり困ったりと、大変な経験をしています。その経験から地震に備えた家づくりを意識しました。

家を建ててからも、2回の大きな地震を経験。改めて、地震に備えた家づくりをしてよかったと実感しました。それは3つ。さっそく詳しく紹介しましょう。

 

テレビを壁掛けに&収納を造作して地震対策

筆者が地震対策を考えて家づくりに反映したのは、壁掛けテレビ、造作家具、そして収納です。東日本大震災ほどではありませんが、家を建ててからも2度の大きな地震に遭遇しました。そのときも効果を実感しました。

その最たるものが壁掛けテレビです。東日本大震災のとき、実家のテレビが倒れて壊れまった経験から行った地震対策です。

筆者が新しい家で経験した2度の大きな地震のときも、実家の置き型のテレビは、ずれて倒れそうになりました。一方で筆者の家では、どちらの地震のときも、倒れる気配はなし。壁の壁掛け金具が外れないかと心配していましたが、その心配も無用でした。

模様替えをするときに制約が出ることや、壁に穴をあけなければならないなどのデメリットはあります。しかし、地震対策としては、壁掛けテレビがとても有効だということを実感しました。

造作家具、収納も大きな地震の際には効果を発揮

食器棚や本棚やタンス、大きな家具があると地震の際に倒れてケガをしたり、壁に穴があいたりします。それを防ぎたかったので、壁にしっかり固定された造作家具を採用しました。

上の写真は、洗面台の横に設けた造作棚。ちなみに洗面台の脇の収納も造作しました。

 

キッチンやパントリーの収納も造作しました。これらの棚はつくりつけなので、地震の際にも倒れることはありませんでした。

 

こちらは壁の厚みを生かしてつくった2階廊下の本棚です。

 

じつは大きな地震が起きたとき、こちらの本は落ちてしまいました。ただ、落ちて割れるようなものではないので、本を戻すだけですみました。この経験から、おさえるバーをつけておけばよかったと思っています。このことは少し後悔しています。

カップ麺などの食料品を床下収納に備蓄

地震のあとは電気やガスが止まったり、断水になったりすることもあります。また、食料の供給が断たれ、店に並ばなくなることも起こりえます。そのために備蓄できる収納を土間や床下に用意しました。

 

床下収納にはカップ麺などの食料品を保管しています。数日しのげるくらいのものは、常においておけるようにしています。

 

また、土間収納には水や調味料を置いておく場所を確保しています。震災時のことを考えると、これだけでかなり安心感があります。

また電気やガスが止まったときのために、ガスコンロと多めのガスボンベも収納。これを使えば、しばらく自炊することが可能に。

わが家ではこれらの備えをしているので、電気やガスが1週間程度止まっても、食事に困ることはなさそうです。

あとづけで太陽光パネルを設置、さらに備えを

この家に住んでから起きた大きな地震で、半日ほど電気が使用できなくなることがありました。その際、困ったのが冷蔵庫でした。電気がしばらく使えないと、冷蔵庫の中のものが傷んでしまいます。肉やアイス、とくに冷凍庫のものがとけると思うとあたふたします。

その経験から停電への備えをもしたいと思い、太陽光パネルを導入しました。写真は、停電時にも発電していれば使用できるコンセントです。太陽が出ている日中であれば、電気を使うことができます(まだ蓄電池は導入していません)。

地震対策での採用でしたが、電気代が高騰するなか、日中の電気代がほぼ無料に。日常の生活を考えても、導入してよかったと思っています。

家族が震災を経験したからこそ、意識した地震に備えた家づくり。実際に住んだあとも2度の大地震を経験し、やっておいてよかったと実感しました。