2018年にYouTubeチャンネル『UUUM GOLF』のMCとしてゴルフデビューした、ゴルフタレントのなみきさん。ゴルフ未経験ながらも、ひたむきにゴルフと向き合う姿が共感を呼び、人気プロの解説動画も相まって『UUUM GOLF』は人気チャンネルへと成長した。現在は、自身のYouTubeチャンネル『なみきゴルフ』などを通じて、ゴルフの楽しさを伝え続けている。
インタビュー前編では、『UUUM GOLF』時代の話や、スコア100切りまでの苦悩などを聞いた。

【就活アイドルだったのに(笑)】

── 国内最大のYouTuber事務所「UUUM」の社員だったなみきさんが、ゴルフチャンネルの立ち上げに携わったのが6年前の2018年2月。2020年12月に独立して『なみきゴルフチャンネル』を開設してからも、3年になります。

なみき あっという間でしたね。ただ、ゴルフを始めて、スコアが100を切るまでに3年かかっているんですけど、その時間は本当に長かったように思います。

── 上智大学フランス文学科を卒業され、そもそもなぜ「UUUM」に就職することになったのでしょうか。

なみき 兵庫から東京という街に出て来て、大学時代は細々と「就活アイドル」というのをやっていました。ところが、いざ自分が就活するとなったとき、まったく内定をもらえなかったんです。就活アイドルだったのに(笑)。そんな時、アイドル時代の知り合いからYouTubeチャンネル『UUUM GOLF』が立ち上がることを聞いて、番組のMCをやってみないかと誘われたんです。演者としてMCをしながら、正社員として安定したお給料もいただけるということで、入社することになりました。

── それまではゴルフとは無縁だったんですよね。

なみき 私はもともと音楽が大好きで、小さいころからピアノやバイオリンを習っていて、スポーツをそれまでまったくやってこなかったんです。ゴルフに対する興味どころか、ゴルフというスポーツもよく知りませんでした。クラブは握ったことがないし、知識もないし、もちろん技術もないので、球を打つことも、体を動かすことも最初はぜんぜんできなくて、まったくのゼロからのスタートでした。ゴルフクラブの名前もなかなか覚えられなくて、「ユーティリティ(UT)」を「リアリティ」と呼んでいたり、とんちんかんなことばかり言っていました(笑)。

【「もう辞めたいです」と伝えたことも】

── 『UUUM GOLF』には、当初から芹澤信雄プロ(※1)をはじめ、古閑美保プロ(※2)などもゲストで出演されていました。ゴルフに縁がないと、すごい環境にいるということも最初は理解できませんよね。

なみき そうなんです。事前の情報収集ですごい方々というのは分かっているんですけど......、そういった有名プロの皆さんにレッスンしていただいているのに、おっしゃっていることが理解できず、いっこうに上手くならないものだから、当時は厳しい意見やコメントもありました。

※1:芹澤信雄(せりざわ・のぶお/1996年に日本プロゴルフマッチプレー選手権優勝ほか日本ツアー通算5勝、シニアツアー1勝。)
※2:古閑美保(こが・みほ/2007年、2008年のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ連覇のほか、JLPGA通算12勝。2008年には賞金女王に。)

── メンタルは強い方ですか。

なみき めちゃくちゃ弱いです。すぐに泣いてしまいますから。動画で涙を見せたらまた「泣いたらいいと思っているんだろ」みたいなお叱りのコメントもあったりして。

── ゴルフを辞めたいと思ったことは。

なみき もちろん、ありました。『UUUM GOLF』では年に一度、「100切りチャレンジ」があって、2度目の挑戦でも100を切れなかった時は、「もう辞めたいです」とチームに伝えました。ゴルフって、目標を定めてその日に向けて練習しても、狙ったスコアが出せるものではないじゃないですか。コメント欄に「下手くそ」とか書かれちゃうと、辛辣な言葉を直に受け止めてしまう私がいて......。

── ゴルフが面白い、と思い始めたることができたのはいつごろからですか。

なみき やっぱり、3度目の挑戦で100を切ってからですね。その段階からようやくゴルフが楽しいと思えるようになりました。遅いですよね(笑)。

── なみきさんが苦しみながらも挑戦し続ける姿に、自身を投影していたゴルファーも多いように思います。

なみき そう言っていただけるのはとても嬉しいですね。もともと一打一打に一喜一憂してしまうタイプですが、100を切ってからは、ゴルフをやるにしても、動画を撮影するにしても、前よりはポジティブに向き合える自分になった気がします。


ラウンド中のなみきさん(写真は本人提供)

【カメラが回っていようがいまいが古閑美保プロは厳しかった(笑)】

── ゴルフチャンネルを運営していくうえで、手応えを感じた企画は。

なみき UUUM時代に、チャンネルが広く認知されるきっかけとなった企画が「ゴルフ場の池の水を抜いてみた」でした。チーム全員の会議で生まれた企画でしたが、今まであまり他のゴルフ系YouTuberもやってこなかった企画でしたので、多くの方にチャンネルに興味を持っていただける動画になったんだと思います。

── 古閑美保プロに厳しく指導される企画も人気でした。

なみき 古閑プロは女子ゴルフ界のトップ中のトップで、毒舌もキャラクターとしてしっかりと確立されていて、古閑プロ自身のパワーも強くて。はじめに私を「100切りさせる」と宣言された動画があるんですが、そのインパクトが強かった。他のプロはカメラが回っている時も回っていない時も、優しく教えてくださるんですが、古閑プロは回っていようが回っていまいが、ビシバシ厳しかったです(笑)。それがむしろ視聴者の皆さんには新鮮で、私が叱咤激励されている姿が印象に残ったんじゃないかと思います。

── 優しいといえば、中井学プロ(※3)とのコンビも印象的でした。

なみき 学さんは、動画での印象そのままの、本当に優しい方です。私がゴルフをやりたくない心境の時も、学さんも本心としては「練習しろ」と言いたいはずなのに、むしろ言わない。「1年ぐらい休んでもいいんじゃない?」と。私のメンタルケア的な役割も担ってくださっていました。独立後、コラボさせていただく機会に恵まれたのは本当に奇跡でした。

※3:中井学(なかい・がく/プロゴルファー、プロゴルフコーチ。YouTube「中井学ゴルフチャンネル」は登録者数27万人超の人気チャンネル。)

── 100切りを達成し、ちょうどチャンネルスタート3年が経過したタイミングで独立され、現在はゴルフタレントとして番組やゴルフイベントなどでも活躍されていますね。

なみき もちろんこんな未来が待っているなんて思ってもいなかったです。世の中がコロナ禍になって、密を回避して、開放的な場所で仲間が集まれるゴルフを始める人が増えましたよね。ゴルフの裾野が広がったタイミングと、ゴルフチャンネルを立ち上げて、チャンネル登録者を増やしていく時期が重なったことは、私にとって幸運でした。

>>インタビュー後編につづく

【Profile】
なみき
1995年4月6日、兵庫県生まれ。ゴルフタレント。上智大学フランス文学科卒業後、「UUUM」に入社。ゴルフ未経験ながらMCとしてYouTubeチャンネル『UUUM GOLF』に出演。2020年に「UUUM」を退社し独立。自身のYouTubeチャンネル『なみきゴルフ』をスタートさせ、登録者数15万人を超える人気チャンネルに。YouTubeの他、イベントやゴルフ番組にも活躍の場を広げている。