今、 X への広告出稿をあえて選ぶ理由とは? パフォーマンス重視なら有効、かもしれない

記事のポイント
ブランドセーフティよりもパフォーマンスを優先する広告主にとって、価格の観点からXへの広告出稿は現状、よい選択肢になっているかもしれない。
以前のXのCPMは3〜5ドル前後(400円中盤から700円前半)で推移していたが、マスク氏による買収以降、1〜2ドル(100円中盤から200円後半)程度にとどまっている。
Xへの広告投資は前年比で38%減少しているとの声もあり、大手広告主がXから離れる動きは同社にとって大きな影響を与えている。
ブランドセーフティよりもパフォーマンスを優先する広告主にとって、価格の観点からXへの広告出稿は現状、よい選択肢になっているかもしれない。
以前のXのCPMは3〜5ドル前後(400円中盤から700円前半)で推移していたが、マスク氏による買収以降、1〜2ドル(100円中盤から200円後半)程度にとどまっている。
Xへの広告投資は前年比で38%減少しているとの声もあり、大手広告主がXから離れる動きは同社にとって大きな影響を与えている。
目下、Xは広告商品のワゴンセールといった様相を呈している。しかし安さの代償は原理原則を曲げることにほかならない。
イーロン・マスク氏と大手広告主の争いが激化した結果、企業のX離れが加速している。広告枠をめぐる競争が下火になれば、広告価格は下落する。しかし取引を続ければ、倫理的に問題のあるプラットフォームと関連づけられるリスクは免れない。米DIGIDAYが取材した4社の広告主は、こうした状況を踏まえつつ、少なくとも現時点では、Xとの取引をやめていない。
誰もがXと距離を取っている
匿名で取材に応じたある英国の広告主は、「最近話をしたいくつかのブランドは、広告在庫が値崩れしているところ(要するにX)で、どう立ち回るべきか検討している」と明かした。本記事の執筆にあたって取材した3人の広告バイヤーによると、以前のXのCPMは3〜5ドル前後(400円中盤から700円前半)で推移していたが、マスク氏による買収以降、1〜2ドル(100円中盤から200円後半)程度にとどまっているという。
「誰もがXと距離を取っている。大手のブランドはどこもXと付き合いたがらない。それでも、Xにはオーディエンスがいる」と、取材したマーケターは話し、「競合他社がこぞって敬遠するプラットフォームだというのに、あえて投資することに競争上の優位性はあるのだろうか」と自問する。
ブリルメディア(Brill Media)のロバート・ブリル最高経営責任者(CEO)が前述の意見に、「ある」と考えていることは確かなようだ。同氏も指摘しているが、マスク氏の広告主に対する最近の言動があるにもかかわらず、ブリルメディアのクライアントはXへの広告支出をやめていない。
それはひとえに「パフォーマンスと成長を求めているから」だという。その反面、一度ついた悪評は拭いがたく、悪くすれば連座を問われかねない。このままXを推奨してよいものかどうか、ブリル氏も再考を迫られているようだ。とはいえ、Xはコンバージョンに大きく貢献するプラットフォームではないものの、メディアミックスでは依然、一定の役割を果たしている、とブリル氏は言い添えた。
ブリル氏によると、XのCPMは通常、Webサイトまたはトラフィック広告で6.50ドル(約947円)、動画広告の米国向けブロード配信で0.16ドル(約23円)だという。ただし、ソーシャルメディアミックスに占めるXの割合は一律でないとも指摘している。なかには12%を占めるケースもあるが、ブリルメディアのソーシャル広告の場合、現状では3〜4%を占める程度だという。
パフォーマンス優先の広告主には有効
ウォーレン・バフェット氏のかの有名な「みんなが怖じけているときにこそ貪欲になれ」という言葉が思い浮かぶ。
テクノロジー企業のZ2Cリミテッド(Z2C Limited)でチーフコミュニケーションズオフィサーを務めるババール・カーン氏は、この現象を直接体験している。同社が抱えるクライアントを見る限り、Xはソーシャルメディアミックスの10%から15%を占めるという。「私のクライアントはマーケターで、彼らの仕事は広告費の回収だ。活動家として給料をもらっているわけではない。売上目標を達成できなければ、その責任を問われる立場なのだ」。
カーン氏によると、XのCPMはパキスタンのオーディエンス向けのプロモーテッドポストで1.46ドル(約212円)から3.15ドル(約458円)だが、米国市場や英国市場に配信されるキャンペーンでは料金が4倍から5倍に跳ね上がる傾向があるという。それというのも、パキスタンのオーディエンスは需要が比較的低いため、広告コストやCPMも相対的に低くなるからだ。
こうした企業がブランドセーフティのリスクよりもパフォーマンスを優先していることは明白だ。彼らはXでオーディエンスを見つければ、たとえ連座のリスクがあろうとも、そのオーディエンスを活用する。誹謗中傷、人種差別、陰謀論など、SNS上の不快なコンテンツは、彼らのようなマーケターにとって、取引を中断する理由とは必ずしもならない。そんなものはむしろ、精密なターゲティングとブランドセーフティツールがあれば、避けて通れる不都合程度のものなのだ。
Xは完全に没落してしまうのか?
とはいえ、大手広告主が抜けた穴は、こうしたスポット的な広告主の広告費程度では埋められない。
メディアアナリティクス企業のガイドライン(Guideline)が追跡している広告収入の数字を見る限り、2023年の1月から10月までの広告費を前年同期の数字と比べると、Xの広告収入は64%減少している。メディアレイダー(MediaRadar)のデータによると、上位10社の広告主が今年の広告費を全体で70%から97%削減しているのだから、それも道理だろう。たとえば、AT&Tは97%、コカ・コーラカンパニー(Coca-Cola Company)は96%、バンクオブアメリカコーポレーション(Bank of America Corporation)は70%の広告費を削減している。
Xの広告費減は昨日今日に始まったことではない。1年の長きにわたる「さよならパーティ」の末に、広告主がXに突きつけた引導なのだ。
あるメガエージェンシーによると、Xへの広告投資は前年比でざっと38%減少しており、加えて2023年9月のユーザー数も前年同期比17%減となっているという。なお、Xは米DIGIDAYのコメントの要請に応じなかった。
[原文:Advertising on X right now might not be all bad - for some]
Krystal Scanlon(翻訳:英じゅんこ、編集:島田涼平)
