まだ間に合う…! スター画家・ホックニー、27年ぶりの展覧会は公式グッズも大人気

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東京・江東区にある東京都現代美術館で、「デイヴィッド・ホックニー展」が開かれています。日本で27年ぶりとなる大型個展は、開幕当初から大人気。世界のファンが欲しがる画家公認グッズも注目されています。本展の見どころや会場の様子など、詳しくご紹介!

86歳の現役アーティスト!

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景、東京都現代美術館、2023年 © David Hockney ※本記事の写真は、プレス内覧会で許可を得て撮影しています。

【女子的アートナビ】vol. 314

デイヴィッド・ホックニーは、1937年イングランド北部のブラッドフォード生まれ。86歳の現役アーティストです。ロンドンの王立美術学校を首席で卒業したあとアメリカに拠点を移し、西海岸の陽光あふれる情景を描いて人気を博します。その後、ロンドンやパリ、ロサンゼルスなどで制作を続け、現在はフランスのノルマンディーに拠点をおいて新作を発表しています。

世界で高い評価を受けているホックニーは、これまで欧米を中心に大規模な個展を開催。ロンドンのロイヤルアカデミーやパリのポンピドゥー・センターで開かれた展覧会では、来場者がそれぞれ60万人を突破。まさに、現代を代表するスター画家のひとりです。

ホックニー作品の特徴について、本展の担当学芸員、楠本愛さんは次のように解説しています。

楠本さん ホックニーは、具象絵画を中心に制作を続けてきた画家です。目の前の世界をどのように見て、それをどのように描くのか。「見る」と「描く」というのは、絵画において根源的な探求です。また、近年の特徴のひとつは、iPadでの制作です。ホックニーは、2010年のiPad発売後すぐに入手して、制作に使っています。もうひとつの特徴は、デジタル写真を使った作品制作です。本展でも、これらの作品を見ることができます。

感動的な花の作品からスタート!

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館、2023年 左:《花瓶と花》1969年 東京都現代美術館所蔵、右:《NO.118、2020年3月16日「春の到来 ノルマンディー2020年」より》2020年 作家蔵 © David Hockney

展覧会は8章構成で、最初の1章は、二つの花の作品からはじまります。ひとつは、東京都現代美術館のコレクション。1969年のエッチング作品で、花瓶に入ったラッパ水仙とその影が描かれています。もうひとつは、2020年にiPadで描かれたラッパ水仙です。この小さな作品を最初に展示した理由について、楠本さんは次のように述べています。

楠本さん これらは、二つの意味において象徴的な作品です。ひとつは、本展のコンセプトとして、ホックニーの60年以上にわたる制作の根底にある一貫性をご紹介したいという思いがありました。彼の作品は、一見するとさまざまな表現、画材、技法を使っていますが、実は描いているモチーフは、目の前にある身近なモノです。ラッパ水仙や親しい友だち、家族や風景など、同じモチーフを異なる表現で描いているのです。そのことをお示しするために、50年前と現在のラッパ水仙の絵を並べて展示しています。

もうひとつの意味は、2020年に制作されているという点です。2020年3月、コロナが始まった時期にノルマンディーでこの絵を描き、そのあとすぐオンライン上に作品が公開されました。そのときのヘッドラインが、本展最初の章タイトル「春が来ることを忘れないで」になっています。これは、ホックニーからのメッセージです。当時、毎日不安なニュースが流れるなかで、これからどうなるのか、世界がどうなるのか、とみなが思っていた時期に、非常に鮮やかな色彩で、すっくと伸びる花の絵を描きました。これを見た方々は、非常に励まされたと思います。小さな作品ですが、強い感動を見る人に与えてくれると思います。

西海岸の作品は必見!

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館、2023年 左:《スプリンクラー》1967年 東京都現代美術館所蔵、右:《ビバリーヒルズのシャワーを浴びる男》1964年 テート所蔵 © David Hockney

続く前半の章は、おもに時系列で作品が並び、最近の作品も数点展示されています。ここでの必見作は、《スプリンクラー》。アメリカ西海岸にいる中産階級の日常を描いた作品のひとつです。鮮やかな緑の芝生の上でスプリンクラーが水しぶきを上げている場面を描写した作品ですが、人物は描かれておらず、少しミステリアスな雰囲気も漂っています。ロンドンからアメリカに移住したホックニーは、開放的な西海岸で明るい色彩の作品を次々と生み出し、脚光を浴びます。

本作品《スプリンクラー》は、東京都現代美術館が所蔵する作品です。実は、同美術館は1995年の開館に合わせてホックニーの作品をまとめて所蔵し、現在150点ものコレクションがあります。これは国内だけでなく、世界の美術館のなかでも特別なことで、コレクションを通じて作家とも良い関係を構築。1996年にホックニーの版画展を開催し、今回の展覧会は2回目の大型個展となっています。(なお、本展のチケットで見られる「MOTコレクション」展の会場にも、現在ホックニーの作品が展示されています)

幅90メートルの絵画も登場!

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館、2023年 <春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年>より © David Hockney

後半の章では、2000年代以降に制作された作品が紹介されています。近年の作品は、すべて日本初公開。見ごたえある作品がそろっています。

後半の必見作、ひとつは<春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年>。2011年冬の終わりから夏のはじめにかけて、移り行く季節を描いたシリーズです。このなかには、iPad作品のほか、油彩で描かれた絵も含まれています。油彩画は、32枚のカンヴァスを組み合わせた大きな絵画で、鮮やかな自然の中に没入できるような迫力ある作品です。

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館、2023年 《ノルマンディーの12か月》(部分)2020-2021年 作家蔵 © David Hockney

もうひとつの見どころは、横幅が90メートルもある風景画《ノルマンディーの12か月》です。長年、東洋の絵巻物に関心を持っていたホックニーは、コロナによるロックダウンが続くなかで身近な自然を見つめ、横長の壮大な絵巻風の作品を完成させました。展覧会のクライマックスを飾るこの大作は、写真撮影もOK。画家が見つめ続けた自然の世界を、ぜひ会場で体感してみてください。

公式グッズも大人気!

「デイヴィッド・ホックニー展」東京都現代美術館、2023年 ホックニー展ショップ © David Hockney

本展では、公式グッズも注目されています。ホックニー公認のグッズは、世界でも手に入れるのが難しいといわれているそうです。また、展覧会の公式カタログも、表紙がかわいいと大評判! サイズも手ごろな大きさで、展示作品のほか、ホックニーの対談なども収録されていて、読みごたえがあります。

© David Hockney

世界のホックニーファンが憧れる各種グッズを、ぜひ特設会場でご覧になってみてください。なお、グッズは品切れになっている場合もありますので、あらかじめご了承ください。

Information

会期:2023年7月15日(土)〜11月5日(日)休館日:月曜日(10/9は開館)、10/10開館時間:10:00−18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F観覧料:一般 \2,300 / 大学生・専門学校生・65歳以上 \1,600 / 中高生 \1,000 / 小学生以下無料