高速なインターネットの普及により、画像や動画、テキストなどさまざまなデータを世界中に届けることが可能になりましたが、超大容量のデータをやり取りする際はHDDなどを直接運んだ方が短時間で済む場合もあります。YouTuberのジェフ・ギアリング氏は、「インターネット」と「伝書鳩」のどちらが高速にデータを運べるかを確かめる実験を行いました。

Testing one of the oldest Internet myths - YouTube

「高速な光回線を使ったとしても動画をオンラインにバックアップすると何時間もかかります」と不満を漏らすギアリング氏。



ギアリング氏は大容量データを転送する場合はデータを保存したストレージを伝書鳩に運ばせる方がインターネットよりも早く済むと考え、3TB分のデータを用意して伝書鳩による転送とインターネットによる転送の時間を比較することにしました。



実験を行うためにギアリング氏はSandisk製の1TBSSDを3枚用意。ギアリング氏によると各SSDは1枚約5gとのこと。



3枚のSSDを束ね、静電気防止用の袋で包み、テープで頑丈に固定します。



SSDの束を「グレイ」と名付けられた伝書鳩にくくり付けます。



ギアリング氏らは拠点から約1マイル(約1.6km)離れた地点でグレイを放しました。



しばらくしてグレイは小屋の中に戻り、無事3枚のSSDの運搬と回収に成功しました。



その後ギアリング氏は受け取ったSSDのデータを自身のデバイスにコピーしてバックアップを作成。



伝書鳩による運搬とデータのコピーを合わせた時間は約150分でした。一方で、インターネットによる転送はギアリング氏の環境の場合、理論上最速で約450分(約7時間30分)です。



実験結果をもとに、PC同士の距離とデータ転送にかかる時間をグラフにまとめたグラフが以下。3TBのデータを転送する場合、400マイル(約640km)までは伝書鳩を使った方が短時間でデータを転送できることが分かります。



次にギアリング氏は国境をまたぐ長距離のデータ転送に挑戦。今回はギアリング氏自身が鳩のかぶり物をして伝書鳩の役割を務めます。



ギアリング氏はアメリカ・セントルイスから約3000km離れたカナダ・ノバスコシア州まで空路で3枚のSSDを運びます。ただし、ギアリング氏は飛べないので飛行機を使います。



家を出ると同時にインターネット経由でのコピーも開始し、インターネットと空路どちらが早くデータ転送を完了できるのか実験を行います。



ファイルのコピー状況を確認したギアリング氏は「飛行機の離陸と着陸の時間を考慮するとかなりギリギリの戦いになる」と漏らします。



カナダ・ノバスコシア州にあるデータのコピー先「45 Drives」に到着したギアリング氏。



持参したSSDからすべてのデータのコピーを行い、データ転送が完了したのはスタートから6時間53分後でした。



一方でインターネット経由でのコピーが完了したのはスタートから10時間54分後のことで、空路での輸送がインターネット経由でのコピー速度を上回りました。



以下のグラフは「伝書鳩」「人間による輸送」「インターネットの理論値」「実際のインターネット」の転送速度を比較した図です。3TB分のデータ転送にかかる時間は、インターネットの理論値で約450分(約7時間30分)、実際には約660分(約11時間)を要します。一方で伝書鳩による運搬は約600マイル(約1000km)以内の場合インターネットよりも高速です。また、人間による運搬は約5000マイル(約8000km)以内の場合、インターネットの速度を上回っています。しかし、いくら伝書鳩を使ったデータ転送が高速といえども、伝書鳩の利用にはリスクがあるとのこと。



ギアリング氏によると、伝書鳩には肉食動物に襲われるリスクや、道中で他の鳩と恋に落ちる可能性があります。また、鳩が戻ってこない可能性や、鳩への休息、食事、水を与える必要があることが指摘されています。



一方でインターネットを利用すれば、確実にデータを転送することが可能です。