年齢に合わせて暮らしもアップデートしていきたいもの。

キッチン道具や器、生活雑貨など、デザイン・機能ともに優れた商品を見つけ出す名人・石黒智子さんは、キッチンの収納を60代のときから変えたそう。『70歳からの軽やかな暮らし 今ここにある小さな幸せを大事にする31の知恵と工夫』(PHP研究所刊)より、年齢を重ねてからのキッチンの工夫をご紹介します。

【写真】石黒さんのキッチン

こぎれいな台所、こざっぱりした身支度に笑顔

仕舞い忘れがひどい。雑巾が必要になってストックを出しに納戸の引き出しを開けたら、隅から何年も前に手づくりしたキッチンブラシが出てきました。

どうしてここに入れたのかさえ思い出せません。今使っている手づくりより遥かにデザインも仕上がりもいい。とっておきにと、入れておいたのだろうけれど、そのまま忘れてしまったのです。その後にいくつもつくりました。

部屋の引き出しは1年でぐるりと整理するので、何年もしまい忘れたまま、ということはないのだけれど、納戸の引き出しは日用品のストックと息子のものだけなので、点検の必要を感じていなかったのです。これでは、つくった意味がない。つくったものは見えるところに置く。猛省しました。

●70代からの台所は、そこそこにこぎれいならよし

置き場を決めても、しばらく使うことがなかった道具は、いざ使うときに出てきません。

ミルクティーをつくるときに使うデジタルクッキング温度計を挟むクリップは、温度計が壊れて棒状温度計に買い替えたときに、必要がなくなって引き出しに入れておきました。

壊れたと思っていた温度計が動いて、使えるようになったとき、クリップのことをすっかり忘れて、熱いなぁと思いつつ手で持って使ったのです。あるとき、引き出しを整理して思い出しました。「あら、これがあったんだわ」。

持っている道具を忘れるなんて、60代では考えられないことです。キッチンブラシと温度計クリップは台所の見えるところに吊るしました。落としぶたも見えないと使わないから、ガスコンロの近くに吊るしました。鍋敷きも吊るしました。台所に吊るすものがどんどん増えていきます。

これが70代からの台所。スッキリシンプルとは言えないけれど、そこそこにこぎれいならよし、としたい。

『70歳からの軽やかな暮らし 今ここにある小さな幸せを大事にする31の知恵と工夫』(PHP研究所)では、こちらで紹介した以外にも、石黒さんの暮らしを豊かにするアイデアが掲載されています。ぜひチェックしてみてくださいね。