寝室に必要なものは、ベッドを置ける最低限の広さとクローゼットのみ。そう考えて、家づくり際には寝室について細かい検討しなかった日刊住まいライター。ところが、暮らし始めて使ってみると、思いのほか使いづらい点がちらほら。ニッチ、勝手口、照明…。もっと考えればよかったと後悔していることについてレポートします。

ほとんどこだわりのなかった寝室

9年前、ハウスメーカーで1階が親世帯、2階が子世帯(筆者の世帯)という二世帯住宅を建てました。

LDKは広さ、水回りは動線や収納、子ども部屋は将来的な可変性と、それぞれのこだわりを実現するため検討を重ねた家づくり。一方で、唯一こだわりのなかった場所が、夫婦で使う主寝室です。

寝るだけのスペースと割り切り、「ベッド2台を置けて、衣類を収納できるクローゼットがあれば十分」と考え、検討にもあまり時間を割きませんでした。

 

結果、でき上がった寝室は、6.5畳の空間。壁一面がクローゼットになっているという、シンプルな空間です。

 

シングルベッドを2台並べて置き、クローゼットは筆者と夫で半分ずつ使用。広さや収納量に大きな不満はありません。ところが、暮らし始めてみると、思わぬ失敗ポイントが複数潜んでいました。

 

失敗1:動線の悪いベッド位置

寝室の間取りや家具配置を検討した際、入り口と同じ側の壁にベッドのヘッドボードをつける形で置くように考えました。そこで、ヘッドボードをつける壁にちょっとした小物を置けるようなニッチをつくることに。

 

ニッチ内に照明スイッチやコンセントも設置。寝ながら照明のオンオフ、スマホの充電などもできるようにと考えました。このニッチ自体はとても便利ですが…。

ニッチがあることで、結果的にベッドの置き方を固定してしまう事態に! じつは、このベッド配置がとても不便で、筆者としては変えたいのです。

 

というのも、動線に問題があるから。奥側のベッドにたどり着くには、2台分のベッドの周りをほぼ1周分歩く必要があるのです。

夜中にトイレのために起きるとき、一緒に寝ている子どもが水分を欲したとき、毎回ぐるりと回り込まないと部屋から出られず、その動線の長さにイラっとしてしまいます。

ただベッドが2台置ければよいという考えで、配置次第で動線が変わるということまで考えが至りませんでした。

入り口から見て、奥側の壁にヘッドボードをつけておけば…。2台どちらのベッドにも、最短距離で行き来できてストレスがなかったはず(もちろんそのような配置に変更することもできるのですが、ニッチをつくっただけにもったいなくて変更できない筆者です)。

 

失敗2:ベランダへの勝手口は不要だった

布団を干したり、洗った寝具を取り込んだりする際に、寝室から直接ベランダへ出入りできたら便利なはず。そう考え、ベランダに通じる勝手口を設置しました。

ところが、暮らし始めてからの9年間、この勝手口は数えるほどしか使用していません。なぜなら、かさばる布団や寝具を抱えて出入りするには、勝手口の幅が狭すぎるため。

 

ベランダに出ると、勝手口のすぐ横にエアコン室外機が置かれていることも、出入りのしづらさの一因。結局、布団や寝具を干す際は、隣接するリビングの掃き出し窓を使っています。

というわけで、ほとんど使わない勝手口。それなのに、真夏は早朝の日差しが、真冬は冷気の侵入がかなり気になるのです。

 

あとづけでシェードを設置しましたが、下ろしていてもすき間からの冷気は防げません。あまり使わないというだけでなく、勝手口の存在が寝室の快適さを損なっている。この事実が、大きな後悔となってしまいました。

失敗3:照明の調光機能の幅がイマイチ

寝室は布類が多くホコリがたまりやすい場所。掃除の手間をなくしたくて、照明はダウンライトを選びました。

ただ、寝るときには真っ暗ではなく常夜灯をつけておきたい筆者。そこでハウスメーカーの担当者に「ダウンライトは調光式にしてください」と伝えたのです。調光でいちばん暗い状態にすれば、豆電球程度の暗さになるのだろうと考えていました。

 

しかし、実際設置されたダウンライトを調光してみると、照度を最大限下げても結構明るい…。ほんのり暗くなる程度で、とても常夜灯として使える暗さではありませんでした。

そのため、結局寝るときは照明を完全オフにして寝ることに。

筆者のリサーチ不足だったというのもありますが、ハウスメーカーの担当者に「調光式にしたい」という要望だけでなく、その理由である「常夜灯として使いたい」旨も伝えていれば…。おそらく、違う選択肢があったでしょう。

とはいえ、調光機能自体はとても便利。ベッドで読書する際に少し明るさを落としたり、夜中に明かりが必要な際にいちばん暗い状態で点灯したり。有効活用する場面は多くあります。

常夜灯としての使用にこだわらなければ、採用して正解だった設備と言えます。

 

失敗4:上棚が高すぎてクローゼットが使いにくい

幅360cmの壁一面につくったクローゼット。シーズンオフのもの含め、夫婦の衣類はすべてここに収めています。収納量としては十分。

ただ、盲点だったのが、上棚の位置です。

 

床から195cmの高さに設置されています。位置が高すぎて、筆者の身長(157cm)では背伸びをしても、置いてあるものに手が届きません。

出し入れのためには踏み台が必要となるため、本当に使用頻度の低いものの収納にしか活用できない場所となってしまいました。

ちなみに、この上棚の位置決めは、とくに指定せず、ハウスメーカーにお任せでした。今までに住んだ賃貸住宅や分譲マンションでも、クローゼットには上棚がありました。しかし、いずれも少し手を伸ばせば届く高さに設置されていたのです。そのため、その高さが一般的だと思い込んでおり、上棚の高さを指定するという発想がなかったのです。

「注文住宅は。ここまで確認しないといけないのか!」と驚いたポイントでもあります。

こうして振り返ってみると…。寝室は本当にシンプルな空間なのに、いくつも失敗ポイントが潜んでいたこと驚きます。きちんと確認すれば防げたことも、暮らしてみないとわからなかったことも。筆者の体験が、家づくりの参考になりましたら幸いです。