「海に近い絶景駅」は列車本数が少ないことが多いですが、愛媛県には電車が15分間隔で走っている路線に、このような絶景駅があります。

列車本数が多く、気軽に「海駅」の旅情に浸れる

 海が近い絶景駅と言えば、「青春18きっぷ」のポスターにも使用された予讃線の下灘駅や、信越本線の青海川駅などが有名です。ただ、こうした絶景駅は山間部の路線ならではの悩みとして、列車本数が少なく、下車したら長時間次の列車が来ない……というケースが珍しくありません。
 
 首都圏にある鶴見線の海芝浦駅も、日中は1時間に1本も列車の運転がない「閑散路線」状態。訪れる際は要注意と言えます。


伊予鉄道高浜線の梅津寺駅(画像:写真AC)。

 いっぽう、海が近い絶景駅の中で、地方にも関わらず15分間隔で列車が発着する利便性の高い駅があります。それが、愛媛県松山市にある伊予鉄道高浜線の梅津寺駅です。松山中心部にある松山市駅から高浜線で約20分、松山観光港への連絡バスが発着している終点・高浜駅へはさらに1駅の位置です。
 
 梅津寺駅に降り立つと、ホームのすぐ向こうが砂浜となっており、伊予灘を行き交う船を見ることができます。崖上から見下ろすのではなく、手を伸ばせば海面に触れそうな近さなのが特徴です。この景色を活かし、1991年に放映されたドラマ「東京ラブストーリー」のロケ地としても使用されたことがあります。

 このような「海辺の駅」の姿になったのは戦前から。もともとは海水浴場のための季節駅でしたが、1935(昭和10)年に伊予鉄道が「梅津寺遊園地」を開業するのに先駆けて、正式な駅に昇格しています。松山市民にとっては数世代にもわたる憩いの場でしたが、2009年に遊園地としては営業終了。現在は「梅津寺公園」となっています。園内には「坊っちゃん列車」の愛称がある蒸気機関車が展示されています。
 
 改札を出ると駅前には、愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」と県産の柑橘類をPRする「みきゃんパーク」があります。この施設では、よく愛媛県の“あるあるネタ”で披露されそうな「蛇口をひねるとミカンジュースが出てくる」体験ができるほか、瀬戸内海や行き交う列車を眺めながら休憩することもできます。

 また、「坂の上の雲」ゆかりの地として、駅近くの見晴山には、松山出身の秋山兄弟の銅像も設置されています。