さいたま市の中心駅である大宮駅の西口にある「庚申神社」は、鉄道と深い縁を持っています。どんな歴史やかかわりがあるのでしょうか。

鉄道事故多発で駅構内から移築!?

「鉄道のまち」として知られているさいたま市の大宮。鉄道博物館のほか、「大宮」の地名の由来にもなった氷川神社などが有名ですが、鉄道と縁が深い、知られざる神社が駅西口にあります。
 


大宮駅西口にある庚申神社(乗りものニュース編集部撮影)。

 大宮駅西口から南西に約600mの場所にある庚申神社。境内に掲げられた由来によると、明治時代初期に大宮駅構内に建てられた祠にルーツを持ちます。駅の拡張工事のたびに構内各所を移転していましたが、もともと祠があった場所で鉄道事故が多発するようになったため、国鉄職員と地元有志により、駅西口に移築されたそうです。

 大正時代には老朽化のため、国鉄の各業務機関の職員らによって本殿、拝殿、神楽殿を持つ神社に改築。地域の信仰を集めてきましたが、神社がある街区に大宮ソニックシティが建設されることになり、再度移転。以来現在地で、大宮駅西口(桜木町)の氏神となった歴史を持ちます。

 境内に入ってみると、一見普通の神社に見えますが、鉄道事故の殉職者供養塔があり、鉄道との縁を感じることができます。また、悩みごとを吸い取り地中へ閉じ込めることができるという「パワースポット」も設置されていました。

 鉄道との縁は現在も続いています。庚申神社が保存していた神輿が担ぎ手不足により、神社外に持ち出されることが無くなっていたところ、JR東日本大宮支社が神輿の担ぎ手を名乗り出て、地域の夏祭りである「大宮夏祭りスパークカーニバル」にも参加するようになったそうです。
 
 現在は神社の目の前で、ダイワロイネットホテルなどが入居する大型複合施設の建設が進められており、周囲の景観は激変しつつあります。
 
 鉄道をご神体として祀っている神社というわけではないですが、鉄道と縁が深い大宮の知られざるパワースポットとして、機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか。