1928年(昭和3年)の2月12日、熊本県を走る南阿蘇鉄道が「国鉄宮地線」として開業しました。

宮地線から南阿蘇鉄道高森線へ 今年夏に全線復旧!

 今から95年前の1928年(昭和3年)2月12日。熊本県の国鉄ローカル線、宮地線の立野〜高森間が開業しました。現在の南阿蘇鉄道です。
 


高森線のトロッコ列車「ゆうすげ号」(画像:写真AC)。

 熊本と大分をむすぶ豊肥本線は大正時代、熊本から「宮地線」、大分からは「犬飼線」として、それぞれ建設が進められました。その宮地線の支線として立野駅から分岐したのがこの路線です。6年後に豊肥本線が全通を果たすとともに、立野〜高森間は「高森線」として独立しました。

 1967年10月時点のダイヤを見ると、列車は1日わずか6往復。うち3往復が熊本へ直通し、三角線からはるばる直通してくる列車もあり、三角〜熊本〜高森をちょうど3時間かけて走っていたようです。

 さて、高森線の当初計画では、そのまま宮崎県へ延び、高千穂経由で延岡までむすぶ予定でした。宮崎県側では「高千穂線」が建設され、その後1989(平成元)年に第三セクター「高千穂鉄道」に転換され、2008(平成20)年に廃止。全通の夢が実現することはありませんでした。

 その後、高森線は国鉄が廃止方針を示したのをうけ、1986(昭和61)年に第三セクターに転換。南阿蘇鉄道高森線となりました。山陰本線の余部鉄橋を思わせる美しい鉄橋「立野橋梁」や深い谷に延びるアーチ鉄橋「第一白川橋梁」をはじめ風光明媚な車窓を楽しめるよう、トロッコ列車「ゆうすげ号」が運行されています。

 線内にある「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」は長らく「日本一長い駅名」の座を保持していましたが、現在は富山地方鉄道の「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)駅」が最長となっています。

 2016年4月の熊本地震で南阿蘇鉄道は全線が被災。被害が比較的軽かった中松〜高森間(7.1キロ)は、同年7月から運転を再開していますが、残りの立野〜中松間(10.6キロ)は土砂の流入やトンネル、鉄橋に甚大な被害を受けたため、不通となっています。
 
 現在は復旧工事が 大詰めを迎え、今年の7月15日にに全線が運転再開となると発表されました。それに伴い、立野で接続するJR豊肥本線への乗り入れが計画されています。昨年11月には、JR直通乗り入れを考慮した保安装置が搭載された新型一般形気動車「MT-4000形」も導入されました。