ウルグアイ海軍が沿岸や内海の警備用に、ノルウェーから3隻のノールカップ級哨戒艦を購入します。当初中国から購入するという話もあったなか、一体どうしてこうなったのでしょうか。

中国から購入先を変更した背後にはアメリカの影も

 ウルグアイ海軍は現地時間の2023年1月31日、沿岸や内海の警備用に、ノルウェーから3隻のノールカップ級哨戒艦を3000万ドルで中古購入すると発表しました。


ウルグアイ海軍が訓練している様子(画像:ウルグアイ海軍)。

 この、ノールカップ級の購入に至るまで、現地メディアによると、紆余曲折があったようです。

 最初ウルグアイ海軍は、中国の中国造船貿易有限公司(CSTC)に新しい哨戒艦を提供してもらう予定でした。近年、同国は中国との関係を強めており、貿易額、援助国の上位に中国が位置しています。

 一度は中国の造船会社に決まりかけていたものが、なぜ、最終的にはノルウェー製の中古艦購入という流れに至ったのか。その背景にはアメリカの存在がある、とも報じられています。

 南米は長らく「アメリカの裏庭」と呼ばれていましたが、ここ数年、貿易相手国として中国の存在感が増し、これが防衛産業にまで及ぶことにアメリカは懸念を抱いています。そのため、度々アメリカの圧力に関する話題が報じられており、今回もその影響で、中古艦という選択になったのでは、といわれています。

 しかしながら、中国で建造された艦を購入した場合、 7500万から1億ドルという高額になるということで、経済面の理由もあるようです。

 ノルウェーでノールカップ級は現在、ヤンマイエン級に置き換えられている最中で、ネームシップの「ノールカップ」 と「センジャ」 は退役、3番艦「アンデネス」だけが現役の状態です。船体は砕氷構造を採用しており、また着氷を防ぐため、ヘリコプター甲板、砲甲板、上甲板は加熱されているのが特徴です。なお「アンデネス」は、反捕鯨団体「シー・シェパード」の船に妨害に対し、警告射撃を行った船でもあります。