中部縦貫道の未成部“天空の自動車道”に 安房峠道路の延伸部「平湯〜日面」整備に方針
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中部縦貫道「平湯〜日面」全線バイパス整備へ
国土交通省中部地方整備局は2023年2月3日、中部縦貫道の未成区間「平湯〜日面(ひよも)」の第3回計画段階評価を実施しました。
安房峠道路の平湯料金所。岐阜県側へ自動車専用道を延伸する方針が示された(乗りものニュース編集部撮影)。
中部縦貫道は長野県松本から福井へ、中部山地を縦貫する計画の高規格道路で、現在は細切れに開通しています。今回の区間は、そのなかでも最も標高が高い長野〜岐阜県境の「安房峠道路」の延伸部にあたる、岐阜県高山市の平湯ICから日面まで。直線にして13kmほどですが、全区間で標高1000mを超えます。
今回、ルート帯案として「全線バイパス案」「現道(国道158号)改良+バイパス案」「現道改良案」の3つが比較検討され、政策目標や意見聴取方針を踏まえて検討した結果、「全線バイパス案」が選択されました。
バイパスは約17km、80km/hで走行できる自動車専用道路とされ、主にトンネル構造となるため積雪の影響を受けにくく、速達性・定時性の向上、救急搬送時の速達性・安定性の確保、走行性の向上、被災時にも機能する信頼性が最も期待できるとされています。
国道158号の北側には銚子の滝や飛騨大鍾乳洞があることから、その集水範囲を回避するため、トンネルは158号の南側に設けられる見込み。また、乗鞍岳など観光地へのアクセスや代替路確保の観点から、飛騨ほおのき平スキー場付近に中間ICを配置するとしています。
今後はこの案に沿って、事業化へと進められる見込みです。意見聴取では、国道158号の線形の悪さ、災害による通行止めの多発などを指摘する声や、天候に左右されない定時制を確保した道路の整備を求める声が見られます。日本の難所のひとつともいえる長野〜岐阜県境部の道路環境が、今後大きく変わる可能性があります。