小売店は、店舗内の商品の配置も変えている。ホーガン氏は、現在も多くの小売店は特定のカテゴリーで過剰在庫を抱えているため、優先的に商品のディスプレイを再考しているという。「在庫量の多寡を基に固定的な売り場を作ることが難しくなり、より柔軟で一時的な構造が取り入れられるようになった」一方でアルタは今年、40を超える店舗での美容品の展示方法を根本的に変えようとしている。WWDによれば、これらの店舗では製品をテーマ別、すなわち、バス・ボディケア用品、「クリーンな」ブランド、旅行用、トライアルサイズなどに分類する。店頭には新ブランドをプロモーションする「キューザニュー(Cue the New)」セクションを設け、「ビューティーバー(Beauty Bar)」ではイベントやアクティビティを開催。店舗の左側には広いスキンケアのエリアがあり、メイクアップは右側に展開される。アルタのチーフマーチャンダイジングオフィサーであるモニカ・アルナウド氏は、WWDに「私たちは常に、お客様が私たちと何を共有しようとしているかに注視し、修正を繰り返したいと考えている」と述べている。また、「私たちが『直感的に隣り合っている』と呼んでいるものだが、類似したカテゴリーをまとめ、お客様が入店したときに引き込まれるようにしたかった」という。カッツ氏は、店舗内の商品の分類を変えることは特段新しくはないが、企業がそうしようとする意欲は変わったかもしれないという。「小売店は常に商品のディスプレイや組み合わせ、分類を進化させ続けている。そして、消費者も進化している。数年前は価格で購入を決めていたかもしれないが、現在は、用途・カテゴリー・友人とのソーシャル環境を重視している」。アルタの新しい店舗レイアウトは「お客様が実際に美容品を購入する方法をより反映している」とホーガン氏。また、店舗内フルフィルメントと同様に、売上の増大にも貢献すると考えられている。「カテゴリー全体をまとめることで、アルタが『一括移行』と呼んでいる上位製品への買い換えを促しやすくなる」と同氏は述べている。
さまざまな規模の店舗を持つことが重要。店舗内店舗の実験も
コロナウイルスのパンデミックが商用不動産部門に大きな損害を与えたことは明らかだ。全米リアルター協会(National Association of Realtors)によれば、米国内における2500万ドル(約34億円)以上の小売店用不動産の販売額は、2019年5月から2020年5月までで83%も急落した。フォーチューン誌(Fortune)は2021年はじめに、米国内で1万2200という記録的な数の店舗が2020年に閉店したとしている。金融サービス企業のS&Pグローバルマーケットインテリジェンス(S&P Global Market Intelligence)の分析によれば、2020年に、大手小売店のニーマンマーカス(Neiman Marcus)、JCペニー(JC Penney)、Jクルー(J. Crew)、ブルックスブラザーズ(Brooks Brothers)を含む630の企業が破産を宣言した。現在、買い物客は実店舗の店頭に戻りつつあり、企業は拡大モードに入っている。「今、振り子は逆方向に振れている。つまり、店舗の拡大と新規開店に向かっている」とカッツ氏はいう。また、「これまでは特定の規模の店舗を持つことが小売店にとって重要だった。そうすることでビジネスはうまくいっていた」と述べている。しかし今は、「多くの小売店が、適切に混在させることができるのであれば、さまざまな場所にさまざまな規模の店舗を持つほうが競争で優位に立てると気づいた」という。これは、多くの大規模店舗にとっては、小規模な店舗を試すことを意味する。7月にベストバイは、同社で初めてとなるデジタル指向の小規模店舗をオープンすると発表した。7月26日に開店したノースカロライナ州モンローにあるこの店舗は、面積が5000平方フィート(約465平方メートル)で、一般的なベストバイの店舗の約7分の1である。プレスリリースによれば、この店舗では厳選された製品を販売し、修理などを扱う子会社のギークスクワッド(Geek Squad)のサービスを提供する。また、「顧客は実物を見てから選び、デジタルでアドバイスを受けるなど、あらゆることが店舗内でできる」という。店舗の外には「24時間ピックアップオプション用」ピックアップロッカーも併設している。一部の小売店、とくに百貨店では売上増大と集客を目指して店舗内店舗を使った実験を行っている。たとえば、化粧品専門店のセフォラ(Sephora)は、2023年までに小売チェーン店コールズ(Kohl’s)の850以上の店舗に出店することをめざしている。一方、住宅リフォームチェーンのロウズ(Lowe’s)は、一部店舗でペットショップのペトコ(Petco)を店舗内店舗として開店させた。化粧品ブランドのグロシエ(Glossier)などは、実店舗にコミュニティベースの戦略を持ち込んでいる。ハイヴィ(Hy-Vee)やホールフーズ(Whole Foods)などの食品スーパーは、バーや広場のような第3のスペースに投資している。小売店の種類がどうであれ「今起きていることは、買い物体験の進化に過ぎない」と、カッツ氏は語る。「答えがあるわけではない。そこが小売業の楽しいところで、商品とディスプレイの両方で常に実験と改革を繰り返し、最終的には人と人との交流を作り出す」。[原文:How big-box retailers are revamping their store formats] JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:島田涼平)