昏睡状態の母親から生まれた女児(画像は『The Daily Star 2022年11月2日付「Woman in seven-month coma gives birth and has never seen the child」(Image: Newslions Media/SWNS)』のスクリーンショット)

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先月22日、インドで昏睡状態の妊婦が女児を出産した。今年3月、妊娠6週目だった女性は走行中のバイクから転落する事故に遭い頭部に重傷を負った。これまで5回の手術を受け一時は人工呼吸器を装着していた女性だが、超音波検査で胎児に異常がないと確認された結果、家族は妊娠を継続することにしたという。『The Daily Star』などが伝えている。

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インド北部ウッタル・プラデーシュ州出身のシャフィーヤさん(Shafiya、23)は今年3月、妊娠して6週に入った時にパートナーが運転するバイクの後部座席から転落した。

地元メディアによると、彼女のブルカ(イスラム教徒の女性が着用するヴェール)が走行中のバイクの後輪に挟まったことで転倒し、当時ヘルメットを着用していなかったシャフィーヤさんは頭部に重傷を負い昏睡状態に陥ったという。

これまで同州ブランドシャールにある「全インド医科大学(All India Institute of Medical Sciences、AIIMS)」で5つの神経系の手術を受けてきた彼女は、人工呼吸器を装着していた時期もあり、怪我による脳への圧迫を解消するために頭蓋骨の一部を切除することもあったそうだ。

そんなシャフィーヤさんの病状から医師たちは妊娠を中断するかどうか難しい決断を迫られていたが、超音波検査で胎児に異常がないことを確認し家族と相談した結果、妊娠を継続することにしたという。

ちなみに昏睡状態に陥ると脳の活動が最小限になり、咳をしたり飲み込んだりといった基本的な反射神経が低下するという。また音や痛みに反応することや意思の疎通、自発的な動きなどもなくなるが、臓器は正常に機能しているため胎児の成長に影響を与えることはないそうだ。

そして事故から7か月が経った10月22日、シャフィーヤさんは元気な女の子を出産した。

彼女の担当医であるディーパック・グプタ医師(Deepak Gupta)はシャフィーヤさんの現在の様子について、このように述べている。

「私の22年間のキャリアにおいて、このようなケースに遭遇したことはありません。これまで昏睡状態の女性の出産について医学的に報告されているのはほんの一握りだけです。シャフィーヤさんは現在、人工呼吸器によるサポートは受けておらず安定した状態にあります。イスラム教やシーク教の女性たちはヘルメットを被ることに抵抗があるようですが、このような事故を防ぐためにもバイクに乗る人は全員ヘルメットを着用すべきです。」

意識が戻る可能性は10〜15%と言われているシャフィーヤさん。そんな彼女は時折、頭や脚を動かすことがあるそうで、医師や家族らはいつかシャフィーヤさんが意識を取り戻して娘に会えるという希望を捨てていないそうだ。

画像は『The Daily Star 2022年11月2日付「Woman in seven-month coma gives birth and has never seen the child」(Image: Newslions Media/SWNS)』『The Mirror 2022年11月1日付「Woman in coma for seven months gives birth to healthy baby and is still unconscious」(Image: Newslions Media / SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)