突然5億円の請求も!? 「あくまで任意」 車の“任意保険”加入しないとどうなる? 加入の必要性は

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突然5億円の請求も!? 任意保険の必要性とは

 自動車保険には大きく分けて、自賠責保険と任意保険の2種類があります。
 
 自賠責保険は加入していないと罰則もありますが、任意保険に加入しないとどうなるのでしょうか。

加入しないとどうなる? クルマの「任意保険」(画像はイメージ)

 自賠責保険は「強制保険」ともいわれる保険で、法律により加入が義務付けられています。

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 自賠責保険に加入しないと車検が通らず、未加入のまま公道を走行すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、交通違反として違反点数6点が加算され即座に免許停止処分となります。

 一方で、任意保険への加入はあくまで「任意」のため、加入せずに公道を走行しても罰則などは特にありません。

 損害保険料率算出機構の発行している「自動車保険の概況」によると、2021年度の自動車保険加入状況は、全国平均で約75%となっており、JA共済などの自動車共済に加入しているクルマを含めると約88%のクルマが任意の自動車保険・共済に加入していることになります。

 では法律で義務付けられている自賠責保険に加入した上で、なぜ任意保険にも加入する必要があるのでしょうか。

 自賠責保険は、交通事故により相手を死傷させてしまうなど、法律上の損害賠償責任を負った場合に、治療費や逸失利益が補償される保険です。

 自賠責保険から支払われる保険金には上限があり、傷害による治療費などは120万円、死亡の場合は3000万円、後遺障害の場合は4000万円と、限度額が決まっています。

 このため事故の内容や相手の年齢・職業などによっては、損害額が高額となり、自賠責保険の補償では対応しきれない可能性も十分に考えられます。

 過去には、40代の開業医の男性を死亡させてしまった事故で5億2800万円にも上る損害賠償額が認定されたほか、20代の大学生の男性に後遺障害を負わせてしまった事故でも、4億円近い損害賠償額が認められています。

 このように、任意保険に加入せずに交通事故を起こすと、数千万から数億円の損害賠償責任を負ってしまう可能性があります。

 ほかにも、自賠責保険には相手のケガや死亡などに対する補償しかないため、相手や自分のクルマを壊してしまった物損事故や、自分自身がケガをしてしまった事故には保険金が支払われません。

 物損事故はクルマ同士の衝突事故以外にも、信号機やガードレールにぶつかって倒してしまった、コンビニやスーパーなどの店舗に突っ込んでしまい建物や商品を壊してしまったなどの事故があります。

 これらの事故でも損害賠償の額が高額になる可能性がありますが、任意保険に加入していれば、対物賠償保険で補償されます。

 また見落としがちな自分自身の補償について、保険会社に勤めるAさんは以下のように話します。

「例えば自損事故や、相手のいる事故であっても自分に過失がある場合の事故では、相手から支払われる保険金がないか、あっても一部のみとなってしまう可能性があります。

 クルマを運転している以上、事故を完全に避けることはできず、大きなケガや後遺障害を負ってしまうリスクもあります。

 なかには『自分は安全運転だから保険はいらない』と考えている人もいるかもしれません。

 しかし、10台に1台は任意保険に入っていないことを考えると、自分が完全に被害者であっても相手が無保険で金銭的補償をしてくれない可能性があるため、自分自身への備えを用意しておく必要があるともいえます」

※ ※ ※

 任意保険には自賠責保険の上乗せ補償としての意味合いがありますが、自賠責保険の補償は最低限しかありません。

 事故の内容によっては、高額の賠償責任を負うことも考えられ、保険に入っていなければ自己負担となってしまいます。

 万が一への備えとして、任意保険に加入しておくことが大切といえるでしょう。