Intelは2022年9月に「RTX 3060Tiと同等以上の性能を持つ」とアピールするデスクトップPC向けGPU「Arc A770」を発表しました。そんな「Arc A770」のベンチマーク結果や使い心地を海外メディアが多数公開していたので、まとめてみました。

Intel A770, A750 review: We are this close to recommending these GPUs | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2022/10/intel-a770-a750-review-strong-gpu-alternatives-that-we-very-nearly-recommend/

Intel's Arc A770 Limited Edition is the start of something great

https://www.xda-developers.com/intel-arc-a770-review/

Intel Arc A770 And A750 Limited Edition Review: Putting Alchemist To The Test | HotHardware

https://hothardware.com/reviews/intel-arc-a750-and-a770-limited-edition-reviews

Arc A770 Loses Up To 24 Percent Performance Without Resizable Bar | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/arc-a770-loses-25-percent-performance-without-resizable-bar

今回海外メディアに配布されたレビューキットにはArc A770のVRAM16GBモデルと下位モデルの「Arc A750」が含まれていたようです。両者のスペックは以下の通り。どちらのGPUもレイトレーシングに対応しており、アップサンプリング機能「XeSS」も利用可能です。

モデルArc A770Arc A750GPUアーキテクチャAlchemistAlchemistレンダースライス8基7基レイトレーシングユニット数3228グラフィック周波数2100MHz2050MHzVRAM16GB8GBメモリインターフェイス256-bit256-bitメモリ帯域幅560GB/s512GB/sシステムインターフェイスPCIe Gen4.0 ×16PCIe Gen4.0 ×16消費電力225W225W電源端子1×8ピン 1×6ピン1×8ピン 1×6ピンハードウェアアクセラレータAVI, HEVC, H.264, VP9AVI, HEVC, H.264, VP9出力DisplayPort2.0×3, HDMI2.1×1DisplayPort2.0×3, HDMI2.1×1対応APIDirectX12 Ultimate, OpenGL 4.6,
OpenCL 3.0, Vulkan 13DirectX12 Ultimate, OpenGL 4.6,
OpenCL 3.0, Vulkan 13対応OSWindows 10/11, UbuntuWindows 10/11, UbuntuIntel Deep Link対応対応保証期間3年3年

Ars TechnicaがArc A770とArc A750を含む複数のGPUでベンチマークを実施した結果が以下。Arc A770はFire Strike Ultraを除く3つのベンチマークでRTX 3060Tiのスコアを上回っており、Arc A750もTime SpyとTime Spy ExtremeでRTX 3060Tiのスコアを上回っています。



オープンワールドゲーム「レッド・デッド・リデンプション2」を4K・最高設定で動作させた際の秒間フレーム数(fps)が以下。Arc A770とArc A750は平均fps(オレンジ)と下位1%の平均fps(青)の両方でRTX 3060やRX 6600XTを上回っています。



一方で、「グランド・セフト・オートV」を4K・最高設定で動作させると、Arc A770とArc A750のfpsはRTX 3060の半分ほどとなりました。



以下の表は、XDA Developersがスーパーサンプリング機能「XeSS」の効果を検証結果をまとめたものです。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」ではXeSSをオンにするとfpsが向上していますが、「DEATH STRANDING」ではfpsが低下しています。XDA Developersはこの結果について「XeSSはまだ開発途上にあるようです」とコメントしています。



また、IntelのArcシリーズにはAV1エンコーダーが含まれているのですが、XDA DevelopersによるとArc A770のAV1エンコーダーを用いて約4分30秒の4K60fpsムービーを出力した結果、H.264エンコーダーで出力したムービーと同等の画質で200MBの軽量化に成功したとのことです。

HotHardwareが3DCGソフト「Blender」でCG画像をレンダリングした際の1分ごとの処理フレーム数をまとめた表が以下。Arc A770とArc A750はRX 6600XTより多くのフレームを処理できるものの、RTX 3060よりは処理フレーム数が少なくなるようです。



上記のように、Arc A770とArc A750は用途によってはRTX 3060と同等以上の性能を発揮します。しかし、PCIeの通信を効率化する「Resizable BAR」が無効になっている場合、性能が低下する現象も確認されています。例えば、Ars TechnicaはResizable BARを無効化した環境で「ウェブブラウザの表示が乱れて使用不能になる」という現象に遭遇したとのことです。