ビフォーアフターの差が激しいメイク動画には多くの反響。2児の母でもあるSACHIさん(画像提供:本人)

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 「スッピンが悲しいおばさんが激変」「くすんだ疲れ顔の40代が大変身」とメイクで整形級の変化を見せるYouTuberのSACHIさん(@sachi.47.song)。シミ、シワ、たるみなど年齢を重ねるにつれて抱く”肌悩み”を豪快に笑い飛ばし、コンプレックスを強みに変えていく姿に「おばちゃんでも頑張ろうって、元気をもらえる」「すごいとしか言いようがない」と反響が集まる。”年相応ではない”と言われることがあっても、自分の好きなメイクを貫いてきた彼女の考え方に迫った。

【写真】寝ぼけた40代の素顔が激変、目元、肌質、すべてが整形級に変化したSACHIさんのメイクビフォーアフター

■「自分のコンプレックスと向き合っている日常を伝えたかった」

 広島で歌手・タレントとして事務所に所属しながら活動していたSACHI沙智さん。事務所から独立し、自分でも何かを発信してみようと思い立った。YouTubeデビューは2021年1月。踏み出したきっかけは、コロナで収入の主軸となっていたパフォーマンスやMCの仕事がパタリと入ってこなくなったからだという。

「テレビに出ている売れっ子以外は、皆さん困ったと思います。そんななか事務所を退所して、どうやって活動していこうかという時に、自分が表現してみたいことを思いっきりやってみたいと思ったんです」

 自分の素を見せられるコンテンツとは何か。様々な企画に挑戦したなかで、「圧倒的に面白いと思っていたのがメイク動画でした」と当時を振り返る。美容系のYouTuberといえば、おしゃれなライフスタイルで、すっぴんもきれい…作り込まれたイメージがあったというが、SACHIさんのリアルな現実は「正反対」だった。

 朝の読書、散歩、朝活、野菜のスムージー、こんな言葉とは無縁という44歳、シングルマザー。万年、寝不足の不摂生で、寝癖もそのままに、子どもを起こして学校へ送り出し、メイクをする。

「コンプレックスと向き合っている日常や、毎日のメイクでこんな工夫をして気分を上げているということを伝えられたら面白いと思いました。メイク動画をきっかけに登録者数も伸びましたし、『やりたいようにメイクしていいんだと、SACHIさんのメイクを見て気づけた』という感想もいただいて、すごく嬉しかったんです。私が発信するメイクは、海外の女性たちを参考にしている派手なメイク。年相応のメイクではありません(笑)。でも、大切なのは自分の気持ちをメイクでいかに上げられるかですから」

■なぜ年齢で区切られなければならない? 「浮かないこと」が重要視される風潮

 30代なのにカラコンを付けるのか、キラキラのラメはママ友の前ではNG…ときに年齢や立場によって制限をかけるような情報を見かけることがある。

「30代からはNGなメイク…とか、40代でこのメイクをしていたらイタいですとか、よくありますよね。でも私は、みんな顔も違うし、肌のコンディションも違うのに、なぜ年齢だけでそんなことが言い切れるんだろうとすごく思っていて。

 確かにTPOをわきまえることはとても大事です。マナーとして違反することがないようにすることは大切。ですがプライベートの部分まで、それを意識しなきゃいけないのはナンセンスすぎる。周囲の目って何だろう?と、私には理解ができませんでした」

 ”無難”であることが求められ、浮かないようにすることがその日のコンセプトであるかのように、ファッションやメイクを選択しなければならない瞬間も確かにある。「私も黒目が大きく見えるカラコンはやめるとか、つけまつ毛をせずにナチュラルメイクをしようとか、工夫していた時期はありました。でも自分の顔が大嫌いになっちゃったんですよね。私は誰のためにメイクをしているのかなって。そこから、もうなんと言われてもいいから自分の好きにやってみようという気持ちに行きつきました」。

 「コンプレックスを隠したい」がメイクの始まりだったが、今となっては、いかに自分のテンションをあげられるか。「自分のためにするメイクに変わってきている」とSACHIさん。

「このキラキラのラメをつけると気分があがるとか、この下地を付けるとお肌がプルプルになってメイクのノリが良くなるからテンション上がるとか。自分のためにするメイクであってほしいと、YouTubeでは発信をしています。

 私のなかで、ファッションやメイクにNGはないと思っています。マナーはあるけれど、自分がハッピーになるのが一番大切です。自分にとってプラスなものは取り入れて、みんなが楽しいと思うメイクをしてほしいです」

 SACHIさんのYouTubeは、登録者の規模が13万人ほどに。現在はメイク動画だけではなく、YouTubeの枠組みを超えて、様々なコンテンツづくりにチャレンジしている。

「私らしく、ドタバタコメディの映画を作っています。『平安女子!恋のM★R(モーニングルーティン)』として、平安貴族の女性のモーニングルーティーンはどんなだったのか、どんな生活をしていたのかを映画にしました! 自主配給作品のため、広島県、大阪府、東京都、福岡県、4都市での上映会の開催を目指してクラウドファンディングをしています。YouTuberとしては、ずっと楽しんでもらえるコンテンツづくりを考えていきたいです。色々な楽しいメイクをみなさんにお届けできたらって思っています」