初めて人間の血液中からマイクロプラスチックが発見される
直径5mm以下のプラスチックごみを指す「マイクロプラスチック」は海洋を汚染していることがかねてから問題になっており、これを食べた生物を人間が食べることで、人間の体内にマイクロプラスチックが取り込まれるという懸念も生じています。すでにマイクロプラスチックが人間のふん便から検出された事例も確認されていますが、今回新たに、初めて人間の血液中から検出されました。
Discovery and quantification of plastic particle pollution in human blood - ScienceDirect
Microplastics found in human blood for first time | Plastics | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2022/mar/24/microplastics-found-in-human-blood-for-first-time
ジャーナル「Environment International」に掲載された研究によると、科学者らが22人の健康な成人から血液サンプルを採取して分析したところ、うち17人でマイクロプラスチックを発見したとのこと。そのうち半数にペットボトルなどに使われるポリエチレンテレフタラート(PET)が、3分の1にプラモデルなどに使われるポリスチレンが、4分の1に食品包装などに使われるポリエチレンが含まれていたと、科学者らは報告しています。
研究を主導したアムステルダム大学のDick Vethaak氏によると、今回検出したのは0.0007mm以上、注射針の内径である0.514mm以下のマイクロプラスチック。Vethaak氏は「粒子が血液脳関門を通過して特定の臓器に到達することがあるのか、病気を引き起こすことがあるのか、これらを追求するため、この研究にさらなる資金が提供される必要があります」と述べました。
Vethaak氏は見つかったマイクロプラスチックの種類や量がサンプル間で大きく異なっていたことを認め、この原因を「サンプルを採取する前に食べたものなど、短期間の行動が反映されているかもしれない」と考察しました。Vethaak氏は「これは先駆的で画期的な研究です」と述べ、より規模の大きな研究を行う意欲を見せました。