両親が他界して相続することになった「実家」。自分や親族が住まない場合は「売る」か「貸す」ことになりますが、実際はどちらのがおトクなのでしょうか…? マネーの専門家に教えてもらいました。

実家を相続したら(売る)VS(貸す)

両親が他界したあとだれも住まなくなった実家は思い切って売った方がいいのでしょうか? それとも人に貸して家賃収入を得た方がおトクなのでしょうか? 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の永田博宣さんに聞きました。

●売った場合と買った場合の手取りはこうなる!

<貸した場合の手取り>

=賃料−初期費用の回収+税金+修繕維持費+管理業務委託料

リフォーム代などの初期費用のほか、もろもろの税金、修繕維持費、管理会社への業務委託料などがかかる。手取り額は賃料からこれらの費用を引いた金額。

<売った場合の手取り>

= 売却価格−(諸経費+税金)

家の売却価格から、売却にかかる諸経費と税金分を引いた金額が手取りになる。

 

●当座の持ち出し分がなく確実にお金が入るので売った方がおトク

両親が他界して残された実家に自分や親族が住まない場合、実家を売るか貸すことになります。思い出がつまった実家を売却するのが忍びなく、当面はそのままにしておくこともできますが、いずれはどちらかを選択することになるでしょう。

売る場合は、仲介手数料や片づけ費用などの諸経費のほかに税金がかかることもありますが、すぐにまとまったお金を受け取ることができます。

一方、貸す場合は、築年数や状態にもよりますが、リフォーム代を含めた初期費用が100万円以上になることも少なくありません。初期費用は家賃収入から管理会社への業務委託料や固定資産税・都市計画税、収入に応じた所得税・住民税などの税金を差し引いた分で回収するため、利益を出すまでには、ある程度の時間がかかるのが一般的です。

というわけで、実家が安定的に賃貸需要の見込めるエリアにあり、長期的な賃貸経営に取り組める場合を除いては、売って確実にお金を手にする方が、おトクと言えるでしょう。