家事はひとりでがんばらない。TEAM NACS森崎さんが推す「家族家事」って?
演劇ユニット・TEAM NACSのリーダーで、俳優、脚本・演出家としても活躍中の森崎博之さん。最近は北海道の魅力をテレビやSNSでも発信されていますよね。この日も、北海道の酪農のすばらしさを伝えるべく、「北海道地チーズ博 2022」のオープニングセレモニーに登壇。イベント終了後の森崎さんにインタビューさせていただきました。
TEAM NACS・森崎博之さんの「家族家事」のススメ
ホクレンアンバサダーとして北海道の魅力を発信し続ける森崎さんですが、私生活では子ども3人のパパ。今回は、気になる森崎家の家事事情とおいしい野菜の食べ方などお話を伺います。
●「家族家事」で同じ時間を過ごす
人となにかを一緒に楽しむことを大切にされている森崎さん。それは家事でも同じです。5人家族の森崎家の家事分担をお聞きしました。
「家事はひとりでやるのはとても大変ですよね。わが家では子どもたちに『みんなで住んでいるんだから、みんなで協力し合おうね。お母さんひとりでやるのはおかしいんじゃない?』と言っています。ひとりだけに負担をかけるのではなく、うまいことみんなで共有する、『家族家事』ですよね」
家族全員で家事をすることで、小学生のお子さんも家族の一員という責任感が生まれて積極的にお手伝いをされているそう。共同作業を大切にされる森崎さんならではのすてきな考え方。
「自分が家事に飛び込んでみると、すごく夫婦で共有できて、2人で家事をしていたら『一生この人と居れるな』ってことに変わっていくと思ったんです。片一方だけやってるとさ、将来2人に戻ったときにつらいこともあるかもしれませんが、一緒に料理や庭いじりをして、時間を共有することで楽しくなっていきます」
●家での食育は、一言「おいしい」と伝える
森崎さんは俳優としても活躍する傍ら、食の魅力を伝えるべく食育の講演会などを年に数十回行っていますが、「じつは家では食育を一回もしたことがない」と続けます。
「家での食育とはなにか? 明確なことはわかりません。ただ、料理はだいたい妻がつくってくれるのですが、その食事に対してめちゃくちゃ大きな声で『やばい、これはなまらうまい!(※)』と感想を言いながら食べるようにしてます。だれかがつくった食事に対して、ちゃんと『おいしい』といった気持ちは伝えますね。
料理に関しても、素材の味がわからなくなるような料理だけは極力やめてほしい、ブロッコリーはゆでるだけ、ゴボウはキンピラゴボウなど、無理のないものをお願いしています。あとは旬のものを走りから名残まで食べれたらいいな…って話くらい。とにかく子どもの前でおいしいねといって食べるようにしていたら、子どもたちも食べることが大好きになったんです」
「食事というのはうんちくを語る場ではなく、つくってくれた人、農家さんに感謝を言う場である」という森崎さんのお話はとても心が温かくなり、食べることの大切さを伝える食育とはこういうことだと改めて考えさせられました。
なまら…北海道の方言で、非常に、とても
●食べる経験を積んでいくことで、好きにつながる
「ニンジンは昔『子どもが嫌いな野菜』の代表格でしたが、今は好きな野菜に仲間入りしてるんですよ。これは、ニンジンの糖度があがっているということが関係していると思います。それもおいしいのですが、野菜は甘味だけでなく、苦味や酸味、ちょっとしたえぐみとかもひっくるめて野菜の味だと僕は考えています。だから。そこを全部含めて味わうことが“いただくこと”だと思うんです」
とはいえ、苦い物や酸っぱいものは食べさせるのは至難の業。そんなとき小学生のお子さんがいる森崎さんはある方法で食べさせています。
「うちの場合は、『これ、苦いけど食べられるかなー?』と先に言って食べさせています。食べたあとも、『食べれるね〜! どうさ〜苦くない?』って聞くんですけど、すると不思議なもので、『大丈夫…おいしい』って強がって食べるんですよ(笑)。そうやって、食べる経験を積んでいくことでそれが好きにつながってくれるし、もし苦手なものが出てきてもそれは大事な舌の本能だからそのままでいいと思っています」
●野菜の味は切り方や調理方法で「好き」に変わる
森崎さんによると、野菜は「切り方」で、味の味覚の感じ方が大きく変わるそうです。
「ピーマンを苦手とされる方もいらっしゃると思うんですけど、じつは『切り方』ひとつで味が変化するんですよ。輪切りにするといちばん苦味が出るので、ピーマンらしさをほんのちょっとの量で出したいときは輪切りに限ります。また、お子さんに食べさせるなら、おすすめは縦切り。これは細胞がつぶれづらいので、苦味が出ず甘味が生きます。もっとも甘く食べれるのは手でちぎる方法。へたをグッと押し込んで、あとは手で割いていくだけ。包丁もまな板も使わないので時短にもなりますよ」
以前、森崎さんが出演する番組のロケで、ブロッコリーを「悪魔の食べ物」だといったお子さんがいました。しかし、それはおいしい食べ方を知らなかっただけなのだとか。
「ブロッコリーは房部分をひとつずつ切り、皮をむいてざく切り、ぐつぐつ沸騰したお湯にお水の1%程度の塩を入れて1分程度ゆでればOK。水にはさらさなくて大丈夫! これだけで、ブロッコリー本来の味のポテンシャルを高めて、悪魔の食べ物だったものが、おいしいに変わるんですよ」
その子どもは、森崎さんが出したブロッコリーを食べて「おいしい! トウモロコシみたいに甘いんだね」と話し、ブロッコリーが好きな野菜に変わりました。森崎さんが推奨する野菜の食べ方は実にシンプルなものばかり。
●食卓でストーリーを子どもに伝えてほしい
「やりすぎはよくないですし、野菜は難しくないから時短で最高のものが食べれます。ブロッコリーなんかは塩ゆでするだけで最高にぜいたくな一皿! それよりも、すべてのお母さんにはお皿の上の食材1個でいいから、食卓でストーリーを話してほしいなと思うんです。『今日はサバの煮つけも味噌汁も普通だけど、1個だけ特選素材、このニンジン! これは道の駅で買ったニンジンでめちゃめちゃ甘いから!』といった感じで。子どもは『母ちゃんなにか言ってたな〜』と思って、しっかりなにが違う? と味わうんですよ。これが大事!」
日頃食べている野菜でも、まだまだ知らないことがとてもたくさんあります。こうやって本来の可能性を知ることで、より野菜を楽しめて、もっと知りたい! という気持ちになりますよね。
「僕はこうやって継続的に野菜の魅力などを発信して、知ってもらうことが大事だと思っています。野菜界のさかなクンみたいな感じで、野菜おじさんですね。これからもどんどん伝えていきますよ!」