Pavlo Gonchar / SOAP Images / LightRocket via Getty Images
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Activision Blizzardは長く尾を引く「男子学生の社交クラブ」的な社内文化をめぐるセクハラ不祥事の問題からいまだに抜け出ることができません。Washington Postは、Activision Blizzardが2017年4月に社員研修イベント中に自殺した女性従業員ケリー・モイニハンの遺族から、不当死亡訴訟を起こされていると報じました。遺族は、会社同僚からの「望まない性的嫌がらせ行為」が彼女の死において「重要な要因」になったと主張しています。

この女性の死については、(当時は名前を挙げてはいなかったものの)カリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)が昨年起こした訴訟でも取り上げられていました。その訴訟では遺族が同僚男性が会社のパーティーでモイニハンの「露骨な」写真を回し見したり、男性上司がアダルトトイを宿泊場所に持参してきたことなどが述べられ、会社が職場でも日常的な精神的苦痛に苦しんでいたモイニハンへの嫌がらせ行為を防止しなかったと主張しています。

今回の訴訟では、遺族はロサンゼルス郡高等裁判所に対し、モイニハンの上司グレッグ・レスティトゥイトが、自殺に関するアナハイム警察の調べに対して虚偽の証言をし、被害者に性的関係を強要していた証拠を隠滅しようとしたと主張しています。警察の報告書では、レスティトゥイトがモイニハンが死亡する前夜に、一緒にいた男性従業員に「不審な問い合わせ」をしていたとされており、レスティトゥイトはこの事件の翌月にはActivision Blizzardを離れていました。

警察への協力に消極的だったのは会社側も同様だったとされ、Activision Blizzardは警察に対してモイニハンやレスティトゥイトが使用していた社内PC、支給していた携帯電話の提出を拒否していたと主張されています。しかしLos Angeles Timesが伝えるところでは、レスティトゥイトはモイニハンが自殺する直前に彼女に対して「Please don’t do that. Not tonight. Think about it and make your decision when your mind is clear」と綴ったメールを送っていたとのことです。

Activision Blizzardのスポークスマンは「会社の大切なメンバーだったモイニハンさんの悲劇的な死を深く悲しんでいる」と語りつつ、訴えには法的手続きを通じて対処する予定だとしました。

この不祥事とDFEHからの訴訟以降、Activision Blizzardは半年間で従業員37人を解雇し、44人に懲戒処分を言い渡し、さらにBlizzardのトップであるマイク・イバラも、会社の悪しき風習を一層することの決意を表明しています。しかし、この遺族からの訴訟は、それ以前からActivision Blizzardではセクハラ行為が蔓延していたことを浮き彫りにし、SECなどの機関に対してこの会社(と親会社になったマイクロソフト)にさらなる慣行の是正圧力を高める格好になっていると言えそうです。

Source:Washington Post

Coverage:Los Angeles Times