(左から)350ミリリットル、500ミリリットル、700ミリリットルのコカ・コーラ

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 ロングセラー飲料「コカ・コーラ」の定番だった500ミリリットルの商品が昨年、多くのスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアから姿を消しました。代わって登場したのが、350ミリリットルや700ミリリットルの商品です。売り場を見て、変化に気付いた人も多いのではないでしょうか。ネット上では、「350だと少ない」「700だと炭酸が途中で抜ける」などの声があります。なぜスーパーなどから、500ミリリットルのコカ・コーラが姿を消したのでしょうか。日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)の広報担当者に聞きました。

家庭で飲み切るサイズを想定

Q.2021年から、多くのスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアで、350ミリリットルと700ミリリットルのコカ・コーラを見るようになりました。そもそも、なぜこれらのサイズの商品を開発したのでしょうか。

担当者「単身世帯や2人世帯が増えていることや、購入場所によって、飲み方や飲む量に違いがあることに注目したからです。当社の調査で、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアでコカ・コーラを買った人の約7割は、その場ですぐに飲まずに、自宅に持ち帰ってから飲んでいることが分かりました。また、屋外で飲む人に比べて、自宅で飲む人は、1回当たりの飲む量が若干少ないことも分かりました。

コカ・コーラなどの炭酸飲料は、一度キャップを開けると炭酸が抜けていくので、飲み切れなかったときに冷蔵庫などで保管しておくと、味が落ちます。そこで、一度に飲み切れるサイズの商品を提案することで、新たな需要が生まれるのではないかと思い、スーパーやドラッグストア、ディスカウントストア向けに350ミリリットル、700ミリリットルの商品を開発しました。350ミリリットルは1人で、700ミリリットルは2人で飲むことを想定しています」

Q.一方、コンビニエンスストアや自動販売機では、これまで通り500ミリリットルのコカ・コーラが売られています。なぜなのでしょうか。

担当者「コンビニエンスストアや自動販売機で買った人は、自宅に持ち帰らずに、屋外ですぐに飲むことが多いからです。特に都市部の場合、コンビニエンスストアや自動販売機が多いので、すぐに飲みたい人はこれらの場所で買う傾向にあります」

Q.350ミリリットル、700ミリリットルの商品が売れる見込みはあったのでしょうか。また、これらの商品の売れ行きについて教えてください。

担当者「2020年に一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアを対象にテスト販売を実施したのですが、例えば、500ミリリットルから350ミリリットル、700ミリリットルに切り替えた店では、コカ・コーラの売り上げが前年よりも約2割増加しました。そこで、当社は2021年3月から販売地域を全国に拡大しました。これまでのところ、350ミリリットル、700ミリリットルの販売計画は、ほぼ順調に進んでいます。

また、当社が製造する『ファンタ』(グレープ、オレンジ)、『スプライト』『カナダドライ ジンジャーエール』といった他の炭酸飲料についても、2021年4月から350ミリリットル、700ミリリットルのサイズをスーパーなどで販売しています」

Q.スーパーやドラッグストア、ディスカウントストアから、「500ミリリットルの商品(コカ・コーラや他の炭酸飲料)を売りたい」と申し出があった場合、どのように対応しているのでしょうか。

担当者「350ミリリットルと700ミリリットルに変更いただくように提案しています。お客さまの飲用スタイルや購買目的など、さまざまな消費者調査を行った結果、スーパーマーケットやドラッグストア、ディスカウントストアでは、これらのサイズが最適であると考えているからです。

また、2020年のテスト販売時だけでなく、2021年3月の全国展開後においても、350ミリリットルと700ミリリットルの両方を導入いただいた店は、500ミリリットルのみを取り扱っていたときよりも、売り上げの面でよりよい結果が出ています。当社の戦略として、これからもこの提案を続けていきます」

 各サイズの希望小売価格は、350ミリリットル(税別120円)、500ミリリットル(税別140円)、700ミリリットル(税別195円)です。