【がけっぷちの男たち】楽天・オコエ〜勝負の7年目 甲子園のスターも野球人生の岐路に〜
「目標とする選手? 走攻守で分けています。走塁は巨人の鈴木(尚広)選手。バッティングは山田哲人選手で、守備は新庄選手、イチロー選手です。遅くてもFA取得までにはメジャーにいける選手に」
2015年秋のドラフト会議。カメラマンの無数のフラッシュに照らされながら、楽天にドラフト1位指名された関東第一高校の超高校級外野手・オコエ瑠偉はプロでの意気込みをこう語りました。
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あれから6年−。
歳月は無情です。今秋の契約更改交渉を終えたオコエは、現状維持の年俸1000万円でサインしました。出場42試合、打率は2割2分3厘、0本塁打、6打点。2月に左手を手術した影響はありましたが、レギュラー奪取はならず、不完全燃焼のシーズンになりました。
「あの頃のオコエを思えば、今は本領発揮しているとは言い難いですよね」
そう語るのは当時、スポーツ紙のアマチュア野球担当として、甲子園での活躍を追った記者です。こう言葉を続けました。
「当時から守備と走塁は1軍レベルの即戦力。プレーに華やかさがあり、打撃面で順調に経験を積めば、トリプルスリーも狙える逸材と期待されていました。あの年、チーム事情から巨人は単独で立命館大のエース・桜井俊貴投手を1位指名しましたが、直前まで『オコエ1位』を検討していたほどです」
各球団とも「ドライチ」は下位指名の選手よりも、長い目で開花を待ってもらえる傾向があります。球団としても高い契約金で「投資」をした案件だけに、「回収」しないことには企業として失敗事案に終わってしまうからです。
ここまでパッとした成績を残せていないオコエが、定位置をつかめる可能性はどれほどあるのでしょうか。
一般紙の楽天担当記者はこう分析します。
「96打点とチャンスに強く、打点王に輝いた島内に加え、ゴールデン・グラブ賞を獲得した名手・辰己、さらには経験豊富な岡島ら、超えなければいけない壁は高いと言わざるを得ません。それに加えて、日本ハムを自由契約になった西川が加わった。職人気質のバットマンはプロ意識が高く、年俸は2億4000万円から1億5500万減の8500万円まで減り、巻き返しに燃えている。ここに割って入るのは容易ではありません」
さらにその記者は、下からの「突き上げ」も大きいと証言するのです。
「ドラフト1位の昌平高校・吉野創士選手はGMも兼務する石井一久監督自らが獲得を望み、単独で一本釣りした逸材。まずは2軍で鍛えると思いますが、とにかく練習熱心だけに、近未来の中軸候補として期待されています。オコエとは『右打ちの外野手』で丸かぶりしますからね」
オコエにとってはプロ7年目のシーズン。逆境からはい上がる姿を、杜の都のファンは楽しみに待っていることでしょう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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