多くの人々が新たな投資対象として仮想通貨やNFTに注目する中で、流行に便乗した詐欺も活発化しています。ウイルス対策ソフトを開発するAvast Softwareが、公式ブログで「Amazonが新しい仮想通貨を発行するとかたる詐欺」の手口について解説しています。

Beware of a New Amazon Token Crypto Scam

https://blog.avast.com/beware-of-a-new-amazon-token-crypto-scam

2021年7月、Amazonの採用情報ページに「デジタル通貨とブロックチェーンのプロダクトリーダー」を求める情報が掲載されたことから、「Amazonが仮想通貨市場に参入するのではないか」とのうわさが浮上しました。記事作成時点では、Amazonは新しい仮想通貨やトークンなどを発行していませんが、詐欺師はこのうわさに便乗して被害者から仮想通貨を巻き上げているとAvastは警告しています。

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Avastによると、詐欺師は著名なニュースサイトを装って「Amazonは新たに『Amazonトークン』を販売する予定」と訴える詐欺広告を掲載し、だまされたユーザーを詐欺サイトに誘導するとのこと。Avastが発見した悪意ある広告の例が以下の通りで、一見しただけでは正規の広告と見分けるのは困難です。Avastの調べでは、こうした詐欺広告が南北アメリカ大陸やヨーロッパ、北アフリカ、東南アジアやオセアニアなど世界各地で横行していることが分かっています。





詐欺師はユーザーのAmazonブランドに対する信頼と、有望な仮想通貨のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に乗り遅れたくないという気持ちを利用しています。ICOは仮想通貨の新規発行による資金調達であり、早期に参加できれば安値で新たな仮想通貨を購入し、ICO直後の急速な値上がりに便乗して売りさばくことが可能です。

ユーザーが悪意のある広告をクリックすると、Amazonトークンを宣伝する以下のようなウェブサイトにリダイレクトされます。詐欺師はウェブサイトを精巧に作り込んで、詐欺だと見抜かれないようにしているとのこと。



Amazonトークンと無料のAmazon Primeメンバーシップを紐付けたサービスや……



Prime Gamingと紐付けたサービスなどをアピールすることで、実際には存在しないAmazonトークンを本物らしく見せかけています。



ユーザーがAmazonトークンの購入を決めると、以下のように購入を急がせるカウントダウンがスタートします。購入までの時間制限を設けることで、被害者が慎重に検討する時間を奪う古典的な詐欺の手口が、ここでも生かされています。



ユーザーが電子メールやパスワードを使って専用アカウントを作成すると、Amazonトークンの購入や管理ができそうな見た目のダッシュボードが開設されます。もちろんAmazonトークンは存在しないため、このダッシュボードは実際のところ何も管理できませんが……



Amazonトークン購入のために仮想通貨を送金することだけは可能です。被害者がAmazonトークンを購入するためにビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を送金しても、実際にAmazonトークンが渡されることはなく、詐欺師は仮想通貨を持ち逃げします。また、アカウント開設時に使った電子メールとパスワードの組み合わせが、その他の犯罪に利用される可能性もあるとAvastは指摘しています。



Avastはこのような詐欺から身を守るために、「仮想通貨に関連する広告やSNS投稿に懐疑的になる」「情報を入力して仮想通貨を購入する前に、URLやウェブサイトをしっかり確認する」「『タイムセール』『残りわずか』『今すぐ購入』といった判断を急がせる戦術に負けない」「購入しようとしているものの詳細を調べ、公式の情報源を探す」「ウェブやSNSで見かけた詐欺広告を通報する」といった注意点を挙げています。

なお、Avastによると2021年12月前半の1週間だけで、約300人ものAvastユーザーがAmazonトークンをかたる詐欺から保護されたとのことです。