主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。 今回は、いつもご機嫌でいるための日々の工夫について。

40代からは自分の心と体の声を聞いて、疲れない暮らしに

娘たちが20歳をすぎて、私は、自分の心と体の声を、よ〜く聞くようになりました。
これまで、夫や子どもに聞いていたように、今は自分に聞きます。「なにが食べたい?」「どうしたい?」と。

すると、「早めに寝たいで〜す」「今日は深夜まで文章を書きたい気分!」「お料理したくな〜い」「〇〇が食べたい!」。自分の希望をかなえてあげたら、疲れが減ったように感じます。

●家族の期待にすべては応えない

ある日のこと、夜遅くに帰宅した大学生の娘が「おなかすいた〜、なにかたべたいな」と私を見つめています。
視線にキュン! としつつ、答えは冷たい。「えっ、ムリムリ。私、明日は講座をさせていただく日だから、もう寝るの〜。お肌のためにも睡眠が大事だし。適当によろしくね」。彼女のガッカリした顔を見て、少しだけ心が痛みました。日々がんばっているのは知っていますし、大事なかわいい娘ですもの。
でも翌朝、食べ終わった激辛のカップ麺を見て、クスっと。これ好きよね。食べたのならOKでしょ。

家族の期待に応える・してあげるのが、いい母、いい妻ってだれが決めたのでしょう?
あくまでも私は、家族は大事・子どもたちを愛おしいと思っている。それで充分。彼らの期待に沿うことだけが大事ではないと思っています。

●すぎる…をやめてほどほどを心がける

飲み「すぎる」・食べ「すぎる」と胃が疲れます。体にいいと言われる運動も、必要以上にし「すぎ」れば、あちこちに痛みが生まれることも。ゴルフはうまくならなくてもいいので、お散歩だと思って続けています。

考え「すぎる」、心配し「すぎる」と、頭や気持ちが疲れ、眠れなくなる場合も。人の世話を焼き「すぎ」て、迷惑がられたり、トラブルに巻き込まれたり。がんばり「すぎ」て、自滅することもありますよね。だから、ほどほどって案外悪くないのかもしれません。

写真は夫婦二人分の食事。バランスよく、食べすぎないを心がけています。

●料理したくない日のために手のかからないものをストック

結婚して25年、一人暮らしを始めた18歳から、約30年料理をしてきました。ちょっと、料理に飽き気味の自分。ん〜、考えてみると、それも違うかな!? お野菜をいただいて、材料が目の前にあれば、つくる気が起きるんだもの。
…ということは、料理ではなく買い物が面倒なのかもしれません。

買い物へ行って、袋詰めして、詰めたものを袋から出して、冷蔵庫や収納に整理して、料理をして、片づけて。もう、想像しただけで今日はムリ! という日があります。そんな日のために、温めれば、切れば、出せば食べられるものを多めに常備しています。

何種類も食材が入っているから、「袋に入ったおでん」はいつもキープ。お気に入りの缶詰も数種用意。
業務スーパーの肉シリーズは、おいしいもの好きの長女にすすめられました。賞味期限が長いものを選んで、冷蔵庫の中にストック。どれもタレが多めなので、お野菜やお豆腐、卵などをたしていただくこともあります。

写真は豚の角煮を小さくカットして、たっぷりのネギの葉とお豆腐をたしました。

母として妻として、「やらねば」と必死にがんばって、結果不機嫌になったり、八つ当たりするのは避けたいのです。認めてほしい、ほめてほしいも違うかな〜と。
それなら、なにもしないけれど、なんだかいつもご機嫌。楽しげ。疲れ知らずの母の方がずっとマシ。50歳手前でそう思うようになりました。あくまでも私の場合です。