昔はアクションカメラ選びも簡単だった。GoProの製品を選べば間違いなかったからだ。そして、それはいまでも正しい。GoProは『WIRED』US版のおすすめリストで上位にランクしているし、ほとんどの人にとって最適なカメラである。しかし、紹介する価値のある競合製品もようやく出てきた。

「いま買うならどのアクションカメラ? 冒険の相棒にしたいおすすめの製品8選」の写真・リンク付きの記事はこちら

どのアクションカメラがいちばんなのか判断するために、今回はあらゆるアクションカメラを試してみた。それらを装着してクルマを走らせ、山に登り、自転車に乗り、無鉄砲な9歳児に渡して自転車に乗ってもらったりまでしたのである。その結果、これからの冒険をしっかり記録でき、しかも壊れない素晴らしい製品を見つけた。

総合第1位

GoPro「HERO10 Black」

GoProの「HERO10 Black」は、旧モデルである「HERO9 Black」と外見上はよく似ているが、中身が大きく違う。ベースは旧モデルと同じだが、新しいプロセッサーを搭載したのだ。おかげで撮影速度は向上し、23.6メガピクセルのイメージセンサーの解像度は上がり、手ぶれ補正機能も大幅に改善した。

アクションカメラにおいて、手ぶれ補正は最も重要な機能と言っていい。そして「HERO」シリーズは手ぶれ補正に関して、常にどの競合製品よりも高い性能を備えてきた。HERO10 Blackの手ぶれ補正機能「Hypersmooth 4.0」は、5.3K動画を60フレーム/秒で撮影できるほどに改善されている。5.3K動画をジンバルのような滑らかさで撮影できるだけでなく、トリミングして4Kに書き出す余裕さえあるのだ。

また、HERO10 Blackには細部の色を引き出すローカルトーンマッピング機能や、5.3K動画から19.6メガピクセルの静止画をJPEGで生成する機能も搭載された。さらに、ノイズ低減と画像解像度も向上し、水をはじくレンズカヴァーも搭載している。

関連記事:GoProの「HERO10 Black」は、高性能チップのおかげで大きな進化を遂げている:製品レヴュー

欲張りな人にとって最適

Insta360「Insta360 ONE R ツイン版」

アクションカメラも360度カメラも欲しい人にぴったりのカメラがある。「Insta360 ONE R ツイン版」は交換可能なレンズをアクションカメラに搭載したことで、どちらの機能も使えるようにしたのだ。

「ONE R」シリーズには3種類のレンズ(モジュール)がある。Insta360 ONE R ツイン版に付属するカメラは、この記事で紹介しているほかのカメラと同様の映像を撮影できる「4K広角モジュール」と、デュアルレンズの「360度モジュール」だ。また、Insta360とライカが共同開発した「Insta360 ONE R - 1インチ版」には、5.3K動画を撮影できる「1インチ広角モジュール」がついてくる。

金額を考えたら、4K広角モジュールと360度モジュールを組み合わせた「Insta360 ONE R ツイン版」が最適だが、余裕があるなら付属品としてライカの1インチ広角モジュールも入手してほしい。このレンズを使って撮影した画像や動画は、これまで目にしてきたアクションカメラの映像のなかで間違いなく最高だ。

Insta360はONE Rに関して、ファームウェアをアップデートしている。これにより低照度での性能が大幅に向上し、新機能も多数追加された。ONE Rをウェブカメラに変えられる機能もそのひとつだ。ただし、素晴らしいのは新しい撮影機能を得られることだけではない。一部の企業が毎年新しいモデルを出すこの業界で、このレヴェルの継続的なサポートを得られることも称賛に値する。

PHOTOGRAPH BY INSTA360

いちばんお買い得

GoPro「HERO9 Black」

以前のイチオシだったGoProの「HERO9 Black」は、HEROカメラシリーズの性能を大幅に向上させた。例えば、GoProはこのモデルから新たに23.6メガピクセルのイメージセンサーを導入している。これはHERO10でも使用されているセンサーだ。

もし5.3K動画での手ぶれ補正や高解像度のJPEG静止画撮影、高いフレームレートが必要ないなら、HERO9がいちばんのお買い得モデルだろう。十分に優れた手ぶれ補正機能を備えており、5.3Kの動画(手ぶれ補正なし)と20メガピクセルの静止画も撮影できる。さらに、5K動画から14.7メガピクセルの画像を生成することも可能だ。HERO9はHERO10で可能なことの8割をこなせて、たいてい100ドル(約11,000円)は安い。これは大きな価値である。

PHOTOGRAPH BY GOPRO

軽量なモデルでベスト

DJI「DJI Action 2」

「DJI Action 2」はDJIの最初のアクションカメラとは大きく異なっている。Action 2はInsta360のONE Rシリーズにならい、モジュール式のカメラシステムを採用しているのだ。ただし、Action 2はInsta360のONE Rのように余分なモジュールを持ち歩く必要がなく、小さなレンズとディスプレイからなるカメラユニットだけで撮影できる。

ただし、残念ながらカメラユニットのみを購入することはできない。カメラユニットに電源モジュールが付属する「Powerコンボ」か、フロントタッチ画面モジュールが付属する「Dual Screenコンボ」のいずれかを選ぶ必要があるのだ。DJI Action 2の難点は、カメラユニットのみではストレージが32GBしかないことと、4K撮影では15分から20分しかバッテリーが持続しないことだろう。ただし、サイズが購入の決め手になるなら、Action 2は無敵だ。なお、コンボの状態だと防水仕様になっていないので、水中で使用する場合には別売りの防水ケースを手に入れよう。

PHOTOGRAPH BY DJI

水中での撮影にベスト

オリンパス「Tough TG-6」

オリンパスの「Tough TG-6」は、ヘッドストラップを使って迫力ある映像を撮影するためのカメラではない。しかし、水中での撮影には最も適している。Tough TG-6のセンサーは同種のカメラのなかで最大であり、その大きさに値する高画質の静止画と動画を撮影できるのだ。

その丈夫さは本物で、-10℃までの耐低温と100kgfの耐荷重、防塵、21mの高さから落としても壊れない耐衝撃を実現した。さらに、ほかの類似製品には見られないようなカメラ機能もある。被写体の手前から奥までピントが合ったマクロ写真を撮影できる「深度合成モード」があるほか、豊富なアクセサリーや追加のレンズも購入できる。さらに、耐圧水深を伸ばせる水中ケースまで用意されているのだ。

PHOTOGRAPH BY OLYMPUS

いちばんのお値打ち

DJI「Osmo Action」

「Osmo Action」はこの分野では比較的に新参者と言えるだろう。しかし、DJIのドローンカメラの血統はすべて引き継がれている。

タッチ式のデュアルディスプレイは発売当時は画期的だったものの、その後GoProのHEROシリーズに真似されてしまった。とはいえ、Osmoは最近かなり安く販売されている。

Osmo Actionの手ぶれ補正機能は優秀であり、HDR動画モードでは難しい逆光での撮影でも暗い部分を明るくしてくれる。マウントやアクセサリーも豊富だ。残念な点と言えば、GPSに対応していないことと、GoProにあるようなSNSでのシェア機能がないことだろう。

関連記事:DJIのアクションカメラ「Osmo Action」は、GoProの強力なライヴァルになる:製品レヴュー

PHOTOGRAPH BY DJI

セール中に買うならベスト

GoPro「HERO8 Black」

GoProの「HERO8 Black」はいまでも優秀なカメラだが、セール中には250ドル(約27,500円)ほどの安値で売られていることが多い。だが、この製品は後継モデルを『WIRED』US版がおすすめに選んでいる理由のほとんどを備えている。カスタマイズ可能なメニューもフレームレスなデザインも、改良されたソフトウェアも搭載しているのだ。いまでは手ぶれ補正ソフトウェアの「HyperSmooth」がすべての動画モードで使えるようになり、タイムラプスでもRAW形式で撮影できるようになった。

不満があるとすれば、レンズカヴァーは本体と一体化していて交換できない点だろう。この点はHERO9で修正されている。HERO8 Blackが堅実な買い物であることは間違いないが、購入はセール時にしたい。

関連記事:GoProの「HERO8 Black」は、ユーザーにとって“必然”ともいえる進化を遂げている:製品レヴュー

PHOTOGRAPH BY GOPRO

用途によってはベスト

「Dragon Touch」

おすすめするカメラと同様の機能や品質を備えていない安価なアクションカメラはたくさんある。こうした製品も見た目はアクションカメラだが、品質は低く、レンズは安物で、防水機能もなく、チップセットも仕様もお粗末だ。

しかし、用途によっては「Dragon Touch」のような低価格な製品でもこと足りるかもしれない。撮影できる映像はGoProレヴェルではないだろうが、手ごろな価格なので“お試し用”のアクションカメラとしては悪くない買い物だ。

PHOTOGRAPH BY DRAGON TOUCH

4K動画を撮影できるカメラを100ドル(約11,000円)で買えるにもかかわらず、わざわざGoProに400ドル(約44,000円)をつぎ込む理由は何かとよく読者から尋ねられる。もっともな質問だ。答えはソフトウェア、主に手ぶれ補正機能ということになる。

アクションカメラはヘルメットや胸部に取り付けた状態でスカイダイヴィングやロッククライミングをしたり、高速なスクーターで街中を走り抜けたりするためにつくられている。一方、手ぶれ補正機能なしで撮影された映像は、最も親しい友人でさえ最後まで観てくれないような出来になってしまうのだ。それゆえ、もう100ドル出してDJIのOsmoかGoProのHERO8を手に入れることを、読者にはおすすめする。