季節外れのメンバー発表だった。来年1月21日のウズベキスタン戦に臨む日本代表が、12月7日に発表されたのだ。

 今回のチームは、国内組だけで構成される。来年1月27日開催のカタールW杯アジア最終予選の中国戦、同2月1日のサウジアラビア戦に臨むメンバーへ向けて、オフ明けの身体を目覚めさせる試合だ。

 選手は1月16日に集合する。この時点ですでに、ボールを使った実戦的なトレーニングができる状態でなければならない。そのためには、シーズンオフの過ごしかたが重要になる。季節外れのメンバー発表は、選手たちへのメッセージの意味合いが強い。

 国際試合となると、オミクロン株が気になる。

 12月9日から12日に大阪で行なわれるはずだったフィギュアスケートのグランプリファイナルは、オミクロン株による入国制限の影響で中止となった。国内の感染者数は依然として少ない人数で抑えられているものの、オミクロン株の感染者が少数だが確認されている。

 これから年末にかけては、人流が増える。感染が拡大する要因が増えていく。日本サッカー協会の反町康治技術委員長は、コロナ禍の対応について「これまでどおり政府の方針に従う。動向を伺いながら臨機応変に対応することも出てくると思う」と、様々な状況を念頭に置いていることを示唆した。

 ウズベキスタンの感染者数は、8月をピークに減少している。傾向としては日本に近い。日本、ウズベキスタンともにこのまま感染者数が落ち着いていけば、予定どおり試合をすることは十分に可能だろう。

 ウズベキスタンの来日が叶わなかった場合、海外から違う国のチームを迎え入れるのは難しい。国内で対戦相手を探すとしても、Jリーグ各チームは1月10日前後の始動が濃厚だ。21日時点では、試合ができる状態にはないだろう。そうかといって、高校生や大学生では強度が物足りない。

 もっとも、ウズベキスタンが来日できないとなれば、中国もサウジアラビアも入国できないはずだ。最終予選の実施そのものが危ぶまれる。こちらのほうが、むしろ厄介だ。

 昨年来のコロナ禍で、スケジュールは待ったなしだ。これ以上の延期は難しい。それでもスケジュールの再考を迫られた場合は、短期集中のセントラル開催しかないだろう。残り4試合のうち3試合がホームの日本にとっては、アドバンテージを失うことになる。感染拡大が世界的に抑え込まれ、予定どおりに消化できることを願うばかりだ。

 ウズベキスタン戦に臨むメンバーには、初代表の選手が4人含まれている。セレッソ大阪の最終ライン中央に並ぶ瀬古歩夢と西尾隆矢、北海道コンサドーレ札幌のアタッカー小柏剛、鹿島アントラーズのパリ五輪世代で今季10得点の荒木遼太郎だ。彼らのほかにも、19年アジアカップ以来の招集となる武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)、同年コパ・アメリカ以来の選出となったMF渡辺皓太(横浜F・マリノス)らが含まれている。

 セルティックへの移籍が報じられている旗手怜央(川崎フロンターレ)と前田大然(横浜FM)も、22人のリスト入りした。移籍が決まった場合は、メンバーから外れることになる。

 森保一監督は「Jリーグで活躍する国内組にも、まだまだこんなにいい選手がいるんだぞというのを、この試合で見せてほしい」と話す。しかし、国内組のシーズン初戦ということを考えると、レギュラー格のGK権田修一、左SB長友佑都、右SB酒井宏樹(あるいは山根視来)、FW大迫勇也の4人は確実に先発に名を連ねるだろう。最終予選突破について考えると、ウズベキスタン戦は彼らのコンディションを上げるための機会、と言ってもいいぐらいだからだ。

 そのうえで、どれぐらいの選手をテストできるのかが焦点になる。

 3月までのマッチデイは最終予選で占められ、それ以降は5月と9月しかマッチデイが組まれていない。選手をテストする機会は限られている。ウズベキスタン戦では、できるだけ多くの選手を使っておきたい。チームの底上げと可能性を探るためにも、使わなければならない。