低温や霜から果樹を守るには なしの霜害防止セミナー
栃木県の重要な産業のひとつ農業で、2年連続で低温・霜の影響で打撃を受けたものがあります。それが果物のナシです。
全国有数の生産量を誇るナシですが、収量の低下は農家の経営に大きな影響を与えるため、栃木県は3日、生産者を集めてのセミナーを開き対策を呼びかけました。
県内では芳賀町や宇都宮市を中心にナシが生産されていて、2年前の2019年は1万8100トンを生産し全国3位でした。ところが2年連続で春先に低温・霜の被害を受け、去年は平成以降、2番目に大きい被害額13億9000万円、今年も4番目の規模の被害を受けました。
この影響で去年の生産量全国順位は5位に後退し3年連続の被害となると農家に与える影響は計り知れないものになるため、県は3日に行った果樹の研究セミナーで霜の害を防ぐ対策を集中的に紹介しました。
対策には灯油を燃やして暖をとる「燃焼法」。霜を防ぐヒーターを使う方法、それに水をまいて氷になる時に出る熱を利用して霜を防ぐ方法などがあり、それぞれ実演して効果や問題点を確かめました。
農家にとって死活問題であるため集まったおよそ80人の関係者は熱心にメモを取っていました。
霜を防ぐ対策には上空の温かい空気を送り込む防霜(ぼうそう)ファンもありますが県内の設置率は45%にとどまっているということです。
ナシが受ける被害は病気など様々ありますが、低温、霜の害となると地球温暖化も影響しているといわれています。
関係者によりますと3月の気温が上昇して、ナシの花の開花時期が早くなっているということです。50年前と比較すると幸水で9日、豊水で10日、開花時期が早くなっていて30年前と比べても平均で7日早くなっています。
花が咲く時期はこれまでは4月下旬で、霜の被害を比較的受けにくかったんですが、咲く時期が早くなったために霜の害を受ける確率が高くなり、実際に低温、霜によって、めしべが被害を受けて受粉できず実がつかないということです。
3年連続の被害となると大変深刻だということで、全国有数の特産品を守るために対策が欠かせなくなっています。