久本雅美&田中裕二が感じるテレビの急変化 「コンプライアンス」「引退」への考え方とは
●普遍的に愛される『ケンミンSHOW』のテーマ
読売テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『秘密のケンミンSHOW 極』(毎週木曜21:00〜、14日は19:56〜3時間SP)が、前身から数えてこの10月で15年目に突入した。この間、テレビの世界は大きく変わったが、MCの久本雅美と田中裕二(爆笑問題)は、コロナ禍になって特にこの1年で大きな変化を感じているという。
それぞれ芸歴40年、33年という長きにわたって第一線で活躍し続けてきた2人は、昨今叫ばれる「コンプライアンス」に、どう向き合っているのか。一方で変わらない『ケンミンSHOW』の普遍的な魅力、そして自身の「引退」の考え方などについても、話を聞いてみた――。
○■時代の流れに逆行するギャグも“古典芸能”は無敵
最近のテレビ界について、「『えー、これも!?』と思うような番組がどんどん終わっていってるじゃないですか。それは、役目を果たしたということもあるだろうし、世代交代ということもあるだろうし、予算的な問題もあるだろうし、ロケに行けない問題もあると思うんですけど、この1年で番組がずいぶん変わったと思います。テレビを見ている方も、出てる人がだいぶ変わってるというのが如実に分かるんじゃないですかね。その変わっていく大きな波というのは、出ている私たちも実感しています」と語る久本。
田中も同意しながら、「それにプラスしてお笑いが直面しているのが、コンプライアンスの厳しさですよね」と補足。爆笑問題でMCを務めた次世代芸人の賞レース『ツギクル芸人グランプリ2021』(フジテレビ)でも、容姿イジりや人を暴力的に叩くいうネタがなかったことが印象的だったという。
この点について、久本は「何を基準にやっていけばいいのかという感じもありますよね。女芸人の顔イジりがダメになったけど、男性のハゲイジりはいいのかとか、線引きが微妙で分からない。だから、私もしゃべりながら『あれ? これ言ったらパワハラになっちゃうのかな?』とか、一瞬思っちゃうようになりました」と打ち明け、田中も「もうそことの戦いですよ」と同調した。
久本の代表的なギャグ「よろちくびー!」は、こうした時代の流れに逆行するようなワード&動作だが、「これは何だか許してくれるんですよね。バンバンやってますね(笑)」と無敵なのだそう。
「もう古典なんでしょうね。私が今もこうして『よろちくびー!』をずっとやり続けられたのは、ブレイクしなかったからなんですよ。あれが流行語大賞とかになってたら『まだやってるの?』とか『ちょっと古くない?』って言われるんだろうけど、『よろちくびー!』って一般の方でもやる勇気がそんなないじゃないですか(笑)。だから、本当に“古典芸能”になっていったことがラッキーだと思います」(久本)
田中が「『だっちゅーの』と『よろちくびー!』の違いはそこですね」と納得すると、久本は「あれは、本当に胸を寄せてるから生々しいでしょ? 『よろちくびー!』は乳首出してないから。しかも残念ながら、私からフェロモンが出てないの(笑)」と解説してくれた。
○■ネット社会になって「未来のケンミンSHOW」は
テレビ界が大きく変わる中で、15年目に突入する『秘密のケンミンSHOW 極』のテーマは、時代が変わっても愛される普遍的なものだ。
久本は「1人1人が県を背負って、『うちの県はこうなんですよ!』っていう誇りと自信をアピールしていくという気持ちは、絶対に変わっちゃいけないし、変わらないと思いますよね。東京出身、大阪出身でも、同じ日本のことで『そんなことあったんだ!』『考えられない! でも面白いね』という発見があるのは素晴らしいですよね」と語る。
田中も「自分な好きな地元の食べ物やお店がテレビで紹介されて、芸能人が食べて『うまい!』と言ってくれたり共感してくれたりする喜びみたいなことは、変わらないでしょうね」とうなずきつつ、「『こんな言葉使うんだ!』っていう驚きは、どんどんなくなっていく方向ではあるかもしれないですね」と推測。
さらに、「これだけネット社会になってお取り寄せができたりすると、その地方の食べ物もそんなに珍しくないものになっていくでしょうね」と憂いたが、「そうなったらそこでまた新たにうまいことを考える商売人が出てきて、『実はこの県で今まで考えられなかったこんな食べ物が流行してるんです』みたいなことがあるかもしれない。だから、未来の『ケンミンSHOW』がどうなってるのか、それも面白そうですね」と期待を膨らませた。
●テレビの世界に固執しなくたっていい
様々な長寿番組を経験してきた2人だが、どこまで続けていきたいかという目標を聞いてみると、「ざっくりあと100年くらいはやったほうがいいんじゃないですか? 田中さん」(久本)、「156歳なんてできないでしょ(笑)」(田中)と冗談を飛ばしながら、「1年でも2年でも、皆さんに愛され続けていきたいというのは、本当に思います」(久本)と謙虚に語る。
最近は、自分の引退時期を予告する芸人も出てきたが、2人そろって「考えたことはないです」とのこと。久本は「自分の気力がなくなったら楽しくないので、それでフェードアウトして引退するというのはありだと思います。だって、世の中面白いこといっぱいあるわけだから、テレビの世界に固執しなくたっていいわけで。でも、私はオファーが続く限り、お仕事を頂く限りはやりたいなと、今は思ってます」との考えを明かした。
『ケンミンSHOW』では、人生の大先輩のケンミンたちの元気な姿がよく見られる。「70歳、80歳になっても元気な方がたくさんいらっしゃいますし、芸能界でも大御所でまだまだ元気にバリバリやってる方がいっぱいいらっしゃいますからね」と久本が話すと、田中は「(ビート)たけしさんなんて74歳になって襲われて、それをネタにしてるんですから(笑)」と感心。
久本が「タモリさん(76)なんて理想的ですよね。趣味と同じ番組を持って、自分の好きな時間を過ごされながらお仕事もレギュラー番組でずっと続けられて…」とうらやましがると、田中は「でも、そこに至るまでに『笑っていいとも!』を30何年もずっと毎日やってたんですから」と強調し、久本は「ご褒美ですよね。じゃあ私らも『ケンミンSHOW』でご褒美もらえるくらい、これからも頑張ってやっていきたいと思います!」と、気を引き締めていた。
読売テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『秘密のケンミンSHOW 極』(毎週木曜21:00〜、14日は19:56〜3時間SP)が、前身から数えてこの10月で15年目に突入した。この間、テレビの世界は大きく変わったが、MCの久本雅美と田中裕二(爆笑問題)は、コロナ禍になって特にこの1年で大きな変化を感じているという。
それぞれ芸歴40年、33年という長きにわたって第一線で活躍し続けてきた2人は、昨今叫ばれる「コンプライアンス」に、どう向き合っているのか。一方で変わらない『ケンミンSHOW』の普遍的な魅力、そして自身の「引退」の考え方などについても、話を聞いてみた――。
○■時代の流れに逆行するギャグも“古典芸能”は無敵
最近のテレビ界について、「『えー、これも!?』と思うような番組がどんどん終わっていってるじゃないですか。それは、役目を果たしたということもあるだろうし、世代交代ということもあるだろうし、予算的な問題もあるだろうし、ロケに行けない問題もあると思うんですけど、この1年で番組がずいぶん変わったと思います。テレビを見ている方も、出てる人がだいぶ変わってるというのが如実に分かるんじゃないですかね。その変わっていく大きな波というのは、出ている私たちも実感しています」と語る久本。
田中も同意しながら、「それにプラスしてお笑いが直面しているのが、コンプライアンスの厳しさですよね」と補足。爆笑問題でMCを務めた次世代芸人の賞レース『ツギクル芸人グランプリ2021』(フジテレビ)でも、容姿イジりや人を暴力的に叩くいうネタがなかったことが印象的だったという。
この点について、久本は「何を基準にやっていけばいいのかという感じもありますよね。女芸人の顔イジりがダメになったけど、男性のハゲイジりはいいのかとか、線引きが微妙で分からない。だから、私もしゃべりながら『あれ? これ言ったらパワハラになっちゃうのかな?』とか、一瞬思っちゃうようになりました」と打ち明け、田中も「もうそことの戦いですよ」と同調した。
久本の代表的なギャグ「よろちくびー!」は、こうした時代の流れに逆行するようなワード&動作だが、「これは何だか許してくれるんですよね。バンバンやってますね(笑)」と無敵なのだそう。
「もう古典なんでしょうね。私が今もこうして『よろちくびー!』をずっとやり続けられたのは、ブレイクしなかったからなんですよ。あれが流行語大賞とかになってたら『まだやってるの?』とか『ちょっと古くない?』って言われるんだろうけど、『よろちくびー!』って一般の方でもやる勇気がそんなないじゃないですか(笑)。だから、本当に“古典芸能”になっていったことがラッキーだと思います」(久本)
田中が「『だっちゅーの』と『よろちくびー!』の違いはそこですね」と納得すると、久本は「あれは、本当に胸を寄せてるから生々しいでしょ? 『よろちくびー!』は乳首出してないから。しかも残念ながら、私からフェロモンが出てないの(笑)」と解説してくれた。
○■ネット社会になって「未来のケンミンSHOW」は
テレビ界が大きく変わる中で、15年目に突入する『秘密のケンミンSHOW 極』のテーマは、時代が変わっても愛される普遍的なものだ。
久本は「1人1人が県を背負って、『うちの県はこうなんですよ!』っていう誇りと自信をアピールしていくという気持ちは、絶対に変わっちゃいけないし、変わらないと思いますよね。東京出身、大阪出身でも、同じ日本のことで『そんなことあったんだ!』『考えられない! でも面白いね』という発見があるのは素晴らしいですよね」と語る。
田中も「自分な好きな地元の食べ物やお店がテレビで紹介されて、芸能人が食べて『うまい!』と言ってくれたり共感してくれたりする喜びみたいなことは、変わらないでしょうね」とうなずきつつ、「『こんな言葉使うんだ!』っていう驚きは、どんどんなくなっていく方向ではあるかもしれないですね」と推測。
さらに、「これだけネット社会になってお取り寄せができたりすると、その地方の食べ物もそんなに珍しくないものになっていくでしょうね」と憂いたが、「そうなったらそこでまた新たにうまいことを考える商売人が出てきて、『実はこの県で今まで考えられなかったこんな食べ物が流行してるんです』みたいなことがあるかもしれない。だから、未来の『ケンミンSHOW』がどうなってるのか、それも面白そうですね」と期待を膨らませた。
●テレビの世界に固執しなくたっていい
様々な長寿番組を経験してきた2人だが、どこまで続けていきたいかという目標を聞いてみると、「ざっくりあと100年くらいはやったほうがいいんじゃないですか? 田中さん」(久本)、「156歳なんてできないでしょ(笑)」(田中)と冗談を飛ばしながら、「1年でも2年でも、皆さんに愛され続けていきたいというのは、本当に思います」(久本)と謙虚に語る。
最近は、自分の引退時期を予告する芸人も出てきたが、2人そろって「考えたことはないです」とのこと。久本は「自分の気力がなくなったら楽しくないので、それでフェードアウトして引退するというのはありだと思います。だって、世の中面白いこといっぱいあるわけだから、テレビの世界に固執しなくたっていいわけで。でも、私はオファーが続く限り、お仕事を頂く限りはやりたいなと、今は思ってます」との考えを明かした。
『ケンミンSHOW』では、人生の大先輩のケンミンたちの元気な姿がよく見られる。「70歳、80歳になっても元気な方がたくさんいらっしゃいますし、芸能界でも大御所でまだまだ元気にバリバリやってる方がいっぱいいらっしゃいますからね」と久本が話すと、田中は「(ビート)たけしさんなんて74歳になって襲われて、それをネタにしてるんですから(笑)」と感心。
久本が「タモリさん(76)なんて理想的ですよね。趣味と同じ番組を持って、自分の好きな時間を過ごされながらお仕事もレギュラー番組でずっと続けられて…」とうらやましがると、田中は「でも、そこに至るまでに『笑っていいとも!』を30何年もずっと毎日やってたんですから」と強調し、久本は「ご褒美ですよね。じゃあ私らも『ケンミンSHOW』でご褒美もらえるくらい、これからも頑張ってやっていきたいと思います!」と、気を引き締めていた。