ここまで追いつめられるのは、いったいいつ以来だろう。

 カタールW杯アジア最終予選で、日本が2敗目を喫した。10月7日のサウジアラビア戦を、0対1で落としてしまった。3連勝のオーストラリアとサウジアラビアに、勝点6差をつけられている。

 絶体絶命の危機を迎えた例として、1997年のフランスW杯アジア最終予選が取り上げられている。初戦でウズベキスタン相手に大勝し、アウェイのUAE戦で勝点1を持ち帰ったところまでは予定どおりだったのだが、韓国とのホームゲームに逆転負けすると流れが一変する。続くアウェイのカザフスタン戦は終了間際の失点で同点に持ち込まれ、その日の夜に加茂周監督が更迭された。

 カザフスタンからウズベキスタンへ移動してアウェイゲームを戦うため、岡田武史コーチが暫定的に指揮を執ることになった。しかし、ウズベキスタンにギリギリで引分け、ホームへ戻ってきたUAE戦も引分けに終わってしまう。

 残り3試合となったこの時点で、韓国が本大会出場を決め、日本はUAEに次いで3位となった。別グループ2位とのプレーオフへの自力出場の可能性も、消滅してしまった。

 サウジアラビアに敗れたいまの日本は、フランスW杯最終予選でUAE戦を終えた状況に近い。次に控えている試合が、グループ内の強敵だからである。

 岡田コーチが正式に監督となった97年の日本は、UAE戦の直後にアウェイの韓国戦に臨んだ。グループ内でもっとも難しい相手だったが、2対0で勝利をつかむ。韓国はすでに予選突破を決めており、試合に注ぐ熱量が低かった印象もあるが、それでもアウェイでつかんだ勝利は日本を蘇生させた。負の流れを断ち切った日本はグループ2位を確保し、ジョホールバルでイランを打ち破る。

 12日に対戦するオーストラリアも、グループ最大の敵だ。客観的な力の比較では、サウジアラビアを上回ると見る。

 負けたら予選突破から大きく後退する。2位以内でのW杯出場ではなく、3位を確保してプレーオフに希望をつなぐことになりそうだ。

 プレッシャーは大きい。

 だが、勝てば局面は変わる。

 オーストラリアとの勝点差は「3」に縮まる。サウジアラビアとオーストラリアは11月に直接対決があるので、その試合の結果次第ではどちらかのチームに勝点で並ぶことも可能だ。12日の試合に勝つことで、2位以内に滑り込むシナリオを書くことができるのだ。

 W杯は26年大会から出場国が増える。アジア予選でしびれるのは今回が最後だ。

 ここで負けてはいけない。連続出場を途切れさせてはいけない。