ダンバイン、エルガイム…続々放送! 80年代リアルロボットアニメの「レトロフューチャー感」に注目
いま80年代のポップカルチャーを再評価する気運が高まっている。大瀧詠一や山下達郎に代表されるシティ・ポップしかり、ストリート・ファッションしかり、レンズ付きフィルムしかり。いずれもリアルタイム世代のノスタルジーではなく、当時を知らない若者から支持されているのが、このブームの特徴といえるだろう。

アニメの分野に目を移すと、80年代のリアルロボット路線は、当時としては斬新で先鋭的なメカデザインやテクノロジー描写を追求した。これらの作品群が描いた「かつて夢想した未来」には、どこかアナログ感があり、リアル(現実)とは異なった「レトロフューチャー」な魅力を感じさせてくれる。

現在、BS12 トゥエルビの「アニメ26(アニロク)」では、毎週金曜日の26時台にサンライズ制作の80年代リアルロボットアニメシリーズが放映中だ。10月までに8タイトルの放映が予定されている。「レトロフューチャー」視点で各作品の注目ポイントをチェックしておこう。(文:加山竜司)


「装甲騎兵ボトムズ」

主人公キリコが搭乗する「スコープドッグ」は彼のために用意されたオンリーワンの機体ではなく、ありふれた量産機。ロボットをヒロイックな存在ではなく、戦車や戦闘機のような兵器として扱ったミリタリーテイストが特徴的だ。誰もが操れる機体で、誰にも真似できない白兵戦を展開するところが見せ場で、足裏のホイールで地面を滑走する「ローラーダッシュ」など、のちのロボットアニメに影響を与えたギミックも満載である。


スコープドッグ



「聖戦士ダンバイン」

異世界「バイストン・ウェル」に引き込まれた現代の若者ショウは、オーラバトラー「ダンバイン」を与えられ聖戦士として戦う。「バイストン・ウェル」は妖精が存在し、オーラの力が奇跡を呼ぶ中世ヨーロッパ風世界で、いま流行の「異世界転生(転移)」を先取りしたような世界観といえる。

登場兵器は昆虫をイメージした曲線のフォルムが印象的で、直線を用いることが多かったロボットアニメ業界に革新をもたらした。なお「聖戦士ダンバイン New Story of Aura Battler DUNBINE」は「聖戦士ダンバイン」の700年後の世界を描いた続編にあたる。


オーラバトラー「ダンバイン」



「DEAD HEAT」

バイクにロボットの要素を取り入れた2足走行のロードマシン「FX」のレースが舞台。レース中は他のFXに攻撃できる。1987年に発売された当時はVHDプレイヤー対応の3D作品だったせいか、コースにはジャンプ台が用意され、FXは縦にも横にも移動して、30分という短い尺ながらアクションを存分に見せてくれる。レースマシンとして洗練されたフォルムは、他のロボットアニメとはデザインの方向性が異なっていて興味深い。


FX(エフェックス)



「リーンの翼」

小説「リーンの翼」(富野由悠季)が書かれたのは1983年だが、映像化されたのは2005年で、小説版の70年後の世界が描かれる。「聖戦士ダンバイン」と同様に異世界「バイストン・ウェル」が舞台となるが、両作品に物語上の直接的なつながりはない。富野監督のライフワークともいえる「バイストン・ウェル」を掘り下げた内容なので、80年代に流行したSFとファンタジーの融合した世界観のエッセンスが楽しめる。


オーラバトラー「ナナジン」



「重戦機エルガイム」

メカデザインを担当したのは、のちに「ファイブスター物語」を手がける永野護。ロボット(ヘビーメタル)の骨格フレームに装甲をかぶせるメカデザイン「ムーバブル・フレーム」という概念を発明し、動きのリアルさとスタイリッシュなプロポーションを両立した。コクピットから360°が見渡せる全天周囲モニターなどアイデアも豊富で、リアルロボットアニメのニュー・スタンダードを生み出した記念碑的な作品といえる。


右が「エルガイム(L-GAIM)」。左は敵機「アローン(Alone)」



「機甲界ガリアン」

舞台となるボーダー王国は中世ヨーロッパ風の世界で、弓や槍、投石機で武装しているが、対するマーダル軍はロボット(機甲兵)で侵攻してくる。ファンタジーとSFが直接対決する面白さもさることながら、王国の後継者ジョジョが鉄巨神「ガリアン」で中世の騎士よろしく敵と一騎討ちするところも見所のひとつ。刀身が分裂して鞭のようになる「ガリアンソード」は、後世のアニメやマンガ、ゲームなどに多大な影響を与えた。


右が「鉄巨神」、左が敵の「邪神兵」



「蒼き流星SPTレイズナー」

米ソが火星で宇宙開発競争を繰り広げている設定、火星表面や宇宙シャトルの描写の正確性、地球が異星人に征服されるディストピア世界など、本作が放映された当時(1985年)の時代精神を如実に反映している。「レイズナー」にはコンピュータが搭載されており、主人公に音声で戦況を伝えてくる様は現代のAIのようで、「未来の先取り感」も心憎い。機体、コスチューム、OPなど、随所に80年代らしいビビッドな配色が施されている。


「SPT-LZ-00X レイズナー」



今回の「アニメ26(アニロク)」枠で放映されるのは、かつてOVAでリリースされた総集編のデジタルリマスターが多い。より凝縮したかたちで、決して色あせることない80年代リアルロボットアニメの魅力を感じられるはずだ。昭和世代に懐かしく、令和世代に新しい「レトロフューチャー」を、その肌で感じてもらいたい。

・番組HP「アニメ26(アニロク)」
・BS12アニメ公式Twitter

■放送情報
【全国無料放送】 BS12 トゥエルビ
アニメ26(アニロク)
毎週月〜金曜 深夜2時00分〜

「聖戦士ダンバイン」(HDリマスター版)
鳳麟の章 6月25日(金)
天魔の章 7月2日(金)
羇愁の章 7月9日(金)

「聖戦士ダンバイン New Story of AuraBattler DUNBINE」(HDリマスター版)
#1 復活 / #2 七百年の野望 7月16日(金)
#3 地上に近き者 7月23日(金)

「DEAD HEAT」(HDリマスター版) 7月23日(金)

「リーンの翼 」「重戦機エルガイム」「機甲界ガリアン(HDリマスター版)」「蒼き流星SPTレイズナー(HDリマスター版)」の放送日程は、番組HP・公式Twitterにて随時公開。

■BS12 トゥエルビ とは
三井物産(株)100%出資の24時間全国無料のBS放送局。スポーツ中継や大人向けの趣味教養など、エンタテインメント番組を総合編成で放送中。
視聴方法:BS+12ボタン、または3桁番号222チャンネル。

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