元祖カツカレーは丼だった!? 浅草「河金」で聞いた魅力と、おいしく作る3つのコツ|愛されグルメのふるさと #3
元祖カツカレー!浅草・とんかつ河金の「河金丼」
とんかつとカレー、日本独自の料理が掛け合わされた「カツカレー」。この原型となったのが、浅草「とんかつ河金(かわきん)」の「河金丼」というメニューなんです!
カツカレーの発祥店、浅草「とんかつ河金」
カツカレーの原型を生み出したのは、浅草にある「とんかつ河金」。1918年(大正7年)に屋台から始まり、代々のれん分けをしながら、昔ながらの味を守り続けています。
創業当時、本店の近くには劇場があり、関係者をはじめ歌手や役者たちも多く訪れていました。
常連客のなかには、美空ひばりさんや渥美清さんといった昭和のスターもいたのだとか。
素朴なおいしさで愛される「河金丼」
―河金丼の魅力は、どんなところにありますか?
河野さん(以下、河野):奇をてらわない素朴さですかね。誰が食べてもおいしい、昔ながらの「日本のカレー」がベース。日本人の舌に慣れ親しんだ料理だと思います。
―作り方のこだわりや、ポイントを教えてください。
河野:カレーの具材は、とんかつを作る際に出るスジ肉やくず肉とタマネギのみ。そこに、小麦粉をラードで炒めてカレー粉を加えたルーを合わせ、醤油、ソース、砂糖のみでシンプルに味付けしています。
また、とんかつの衣にかなり細かい生パン粉を使っているので、さっぱりと召し上がっていただけますね。
元祖カツカレー「河金丼」を実食!
こちらが、カツカレーの原型となった「河金丼」。たっぷりとかけられたカレーが食欲をそそります。
具材がタマネギだけとは思えないほど、深みのある味わい。お肉から取ったダシを使ったカレーというのが、とんかつのお店らしいですね。
とはいえ、家庭で食べているような安心感もある、まさに日本のスタンダードなカレーです。
少し重めでとろみのあるカレーが、とんかつをしっかりと包み込んでおり、素晴らしい一体感。十分に叩いてやわらかくなったお肉は厚みもほどよく、意外にペロっと食べられます。
さらに、とんかつの下に敷かれたキャベツが全体を引き締め、食感のアクセントにもなっています。
「河金丼」は、なぜ生まれた?
―「河金丼」は、どのように生まれたのですか?
河野:三大洋食であるカレーライス、コロッケ、カツレツを屋台で提供したのが「河金」の始まりでした。
あるとき、常連のお客さんから「カツレツとカレーを一緒にしてほしい」とリクエストがあって、カツにカレーをかけて出したのが、河金丼の始まりだと聞いています。
―河金丼のスタイルが、のちにカツカレーとして親しまれていったのですね。
河野:いまでも河金丼というメニュー名で、カツカレーとは呼んでいないのですが、現存する記録でもっとも古いとされています。そのため、発祥店として知っていただけるようになりましたね。
―ご主人にとって、カツカレーはどのような料理ですか?
河野:昔からの思い出の味ですかね。幼い頃お店が忙しいときは、よくお店のカレーを家で食べていました。
なのでカレー単品は、“手っ取り早く出される料理” という印象もあり(笑)、今もカレー単品よりカツカレーのほうが好きですね!
家でカツカレーをおいしく作る「3つのコツ」
1. なるべく大量の油でとんかつを揚げる
河野:お店では大量のラードで揚げているので、よりコクが出るんです。ご家庭でラードを使うのはむずかしいと思いますが、できるだけ大量の油で揚げるのがポイントですね。
2. 目の細かいパン粉を使う
河野:できるだけ細かくサラサラしている生パン粉を使うと、比較的あっさり揚がります。大きなとんかつでも、さっぱりと食べられますよ。
3. カツとカレーの下にキャベツを敷く
ご飯の上にキャベツをのせ、ご家庭のカレーをたっぷりかけましょう。食感のアクセントになりますし、野菜も同時に摂れますよ。
元祖カツカレー「河金丼」は、日本人が求める味
日本らしさあふれる「河金丼」。流行りの最新フードもいいけれど、やっぱり最後は落ち着く味に……そんな気分にさせてくれます。
時代が変わっても愛される料理には、私たちが潜在的に感じる懐かしさがあるのではないでしょうか。
今日は、とんかつとカレーで、カツカレーにしてみませんか?
取材撮影・執筆:Miyu Shimada
店舗情報
店舗名:とんかつ河金 千束(かわきん せんぞく)店
電話番号:03-3872-0794
最寄駅:つくばエクスプレス「浅草」駅より徒歩10分
郵便番号:111-0032
住所:東京都台東区浅草5-16-11
市区町村:台東区
町域:浅草5-16-11
営業時間:11:00~20:00
定休日:土曜日
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