大興製紙 工場

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5期連続の最終赤字

 大興製紙(株)(TDB企業コード:410012561、資本金1億円、静岡県富士市上横割10、代表:塩川好久氏ほか1名)は、1月15日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請した。

 申請代理人は綾克己弁護士(東京都千代田区大手町1-8-1、ときわ法律事務所、電話03-3271-5140)ほか4名。

 当社は、1950年(昭和25年)6月に設立した包装用、産業用クラフト紙、特殊紙の製造業者。米麦、製粉等の重袋用クラフト紙、ショッピングバッグ、角底袋など軽包装クラフト紙に加え、産業用特殊紙の開発にも注力し、ガラス保護紙やキッチン用薄紙、プリント基板クッション紙、ステンレス巻き取り紙など取り扱い品目を広げた。パルプから紙までの一貫生産を行なう独立系クラフト紙専業メーカーとして営業基盤を築き、全国の紙商社や紙代理店を得意先としていたほか、大手商社を経由して海外へも輸出して業容を拡大し、近時ピークの2009年3月期の年売上高は約153億2100万円を計上していた。

 しかし、大手クラフト紙メーカーとの競合などによりインバウンド需要に支えられていた角底袋など軽包装の売上が減少したほか、鉄鋼向けの需要も減少。加えて、電子機器向けのガラス合紙も国内液晶メーカーの不振により需要が落ち込んでいた。原料パルプ価格の乱高下と価格転嫁が遅れ、2020年3月期の年売上高は約121億7700万円にまで減少し、5期連続で最終赤字を計上。さらに、過年度における自家発電設備の増強や機械設備などの積極的な先行投資により年商規模近くの借入金を抱えていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により国内外で需要減少が続いていた。このようななか、新たに一般向けペーパータオルの販売を開始するも奏功せず、今後の受注や資金調達の見通しが立たないことから、今回の措置となった。

 負債は2020年11月末時点で債権者約310名に対し約140億800万円。

 なお、静岡県で負債100億円以上の倒産は、(株)AWH(旧商号:(株)淡島ホテル、TDB企業コード:410137341、沼津市、2019年12月破産、負債約400億円)以来となる。