ソフトバンクとドラフトの面白い法則。1位を外せば2位と育成が大当たり⁉
ソフトバンクは日本シリーズ4連覇するほど強いのに、ドラフト1位で今年働いた選手は東浜巨(2012年ドラフト1位)ぐらい。育成出身選手は、千賀滉大、石川柊太、甲斐拓也、周東佑京など、次々に活躍しているが......。
ソフトバンクのドラフトでまず頭に浮かぶのが、ここ数年は「1位指名」した選手と縁がないということだ。つまり、最初の「入札」で指名した選手が他球団と重複し、クジに敗れて獲り逃す......。
2017年から今年のドラフトまで、4年連続で1位指名した選手を抽選で外している。そんなソフトバンクのドラフトをよくよく調べてみると、ある面白い"法則"と呼べそうな事実を見つけた。
1位指名を外した年は、必ず2位でチームの屋台骨を支えることになる"逸材"を獲得しており、さらに育成ドラフトでものちにアッと驚く選手を指名しているのである。

ソフトバンクの守護神・森唯斗は2013年にドラフト2位で指名され入団した
斎藤佑樹(早稲田大→日本ハム)を外した2010年は、2位で柳田悠岐を獲り、育成ドラフトでも千賀、甲斐、さらに今シーズン故障した今宮健太の代役として奮闘した牧原大成も指名している。
松井裕樹(桐光学園→楽天)、外れ1位で杉浦稔大(国学院大→ヤクルト/現・日本ハム)を逃した2013年は、2位で森唯斗、育成で石川柊太を獲得した。森はセットアッパーから絶対的守護神となり、石川も今季11勝をマークし最多勝に輝くなど、チームになくてはならない存在になった。
2017年は、清宮幸太郎(早稲田実業→日本ハム)、安田尚憲(履正社→ロッテ)の高校生スラッガーを次々と外し、ならば......と路線を変更して本格派右腕の馬場皐輔(仙台大→阪神)を指名するも3連敗。それでも2位で高橋礼をしっかりと指名している。
また育成でも、ここまで一軍で10勝を挙げている左腕の大竹耕太郎に、今季ウエスタンリーグで本塁打王と打点王の二冠に輝いた次代の大砲候補・砂川リチャード。さらに、今季パ・リーグの盗塁王を獲得した周東もこの年の育成選手だ。
では、近年のドラフトはどうか。
2018年のドラフトでは、小園海斗(報徳学園→広島)、辰己涼介(立命館大→楽天)を外し、東洋大の長身右腕・甲斐野央を1位指名で獲得した。この時の2位指名が、三菱重工広島の右腕・杉山一樹だ。
2年目の今季、杉山は一軍で11試合に登板(16回2/3)し22三振を奪うなど、高いポテンシャルを発揮しつつある。最速157キロのストレートがコントロールできるようになれば、間違いなくチームにとって不可欠な存在になるはずだ。
そして2018年の育成組からは、重田倫明(国士舘大)に注目している。ヒジの故障で大学時代はほとんど投げていないが、プロ入り後は順調に回復し、三軍で安定した投球を続けている。芯でとらえても打球が失速してしまうほど破壊力を帯びた速球で、まずはウエスタンで実績を挙げることだ。
2019年のドラフトでも、松田宣浩の後釜にと見込んだ石川昂弥(東邦→中日)を1位で指名したが、またしてもクジで敗れた。結果、1位でJ R西日本の外野手・佐藤直樹を獲得し、2位で東海大の強肩捕手・海野隆司を指名した。
海野は1年目、春先にヒジを痛めて出遅れたが、ウエスタンリーグで経験を積んだ。肩、ヒジのコンディションが万全なら、甲斐以上の送球スピードを感じる鉄砲肩だ。2番手捕手としてチームの精神的支柱だった高谷裕亮がヒザの手術を受けたことで一軍に昇格し、巨人との日本シリーズでもベンチ入りを果たした。チャンスは目の前にやって来ている。
そして今年のドラフトでは、佐藤輝明(近畿大→阪神)をまたまた逃してしまったが、2位で高校球界有数の大砲候補・笹川吉康(横浜商)を獲得した。
今夏、神奈川の独自大会で横浜スタジアムのライト中段に放り込んだ弾道は、柳田悠岐を彷彿とさせる。本格化するにはまだまだ時間を要するだろうが、球界屈指のスラッガーになる可能性は大いにある。
昨年、今年と合わせて15人獲得した育成ドラフト組はまだ未知数だが、これまでのようにアッと驚く"逸材"が現れたとしたら......。
ドラフトとはすべて結果論である。ドラフト制度が始まって今年で55年。これだけ長く続いている制度ならば、そのなかからある種の「傾向」や「法則」があっても不思議ではない。だからどうだ......という話ではないが、こういう視点でチームを見るのもたまにはいいものだ。
