最新ジムニーに2人乗りモデルがある!? 一風変わったジムニー5選

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とてもユニークなジムニーを紹介!

 軽自動車で唯一無二の本格的クロスカントリー4WD車のスズキ「ジムニー」は、1970年に誕生しました。優れた悪路走破性を誇り、デビュー以来、林業や土木の現場などの道具として、レジャー用途や普段使いの足としても愛され続け、現行モデルは2018年7月に発売された4代目にあたります。

国内外で販売されたユニークな「ジムニー」たち

 4代目は先代の登場から20年ぶりとなるフルモデルチェンジとあって、待ち焦がれていたファンだけでなく、優れたデザインによって新たなファンも獲得。

【画像】ブラジル製ジムニーがヤバいほどカッコイイ! ユニークな南米モデルを見る(20枚)

 発売から2年以上経ったいまも、納車までに1年もかかるほどの人気ぶりです。

 そんなジムニーには、これまで数多くのバリエーションが存在します。そこで、国内外で販売されたジムニーのなかから、ユニークなモデルを5車種ピックアップして紹介します。

●ブラジル製「ジムニー

国内モデルに比べ、派手に装飾されたブラジル製の先代「ジムニー

 4代目ジムニーはグローバルで販売することを想定して開発されましたが、これまでも海外でも人気があり、アジア圏や欧州、北米、南米などで派生車や現地生産車を含め、数多く販売してきました。

 なかでもブラジルではスズキと提携した現地法人によって、2008年にアルコール燃料対応モデルを発売、2012年には現地生産のブラジル製ジムニーが登場しました。

 3代目ジムニーをベースにしたブラジル製ジムニーは、最高出力85馬力の1.3リッター直列4気筒エンジンを搭載し、4つのバリエーションを展開。

 もっともワイルドでオフロード車らしい外観の「フォレスト」は、角型オーバーフェンダーや力強いデザインのバンパー、渡河時に威力を発揮するシュノーケルに大径オフロードタイヤが装着されるなど、見た目はまるでカスタマイズされたジムニーのようです。

 現在、ブラジルでは現行の「ジムニーシエラ」に相当するモデルと、先代ジムニーが併売されています。

●マルチスズキ「ジプシー」

すでに生産を終えたロングボディの「ジプシー」

 スズキは1980年代初頭にインドへ進出して、現地法人のマルチスズキを設立。いまではインドを代表する自動車メーカーのひとつとなっています。

 当初、マルチスズキの主力車種は軽自動車をベースにした小型車で、かつて、1998年まで販売していた2代目「ジムニー」をベースとした派生車「ジプシー」が、生産・販売されていました。

 ジプシーは1リッターエンジンを搭載した登録車の「ジムニー1000」をベースに、ラダーフレームを長く伸ばし、2ドアのボディもロングかつハイルーフに変更されたワゴンタイプのボディを採用。

 トラックのようにも使えるオープンボディの「ジプシー ソフトトップ」もラインナップされていました。

 エンジンは1.3リッター直列4気筒を搭載し、装備は必要最低限となっており、インドでは日本円で約100万円という低価格で販売されたことでヒットを記録。

 しかし、安全装備の義務化などの法改正により2019年に生産を終了し、後継車はありませんでした。

●スズキ「サムライ」

アメリカで人気を博した「サムライ」

 ジムニーは2代目から本格的な海外進出を果たし、1985年にスズキ「サムライ」と名付けられ、北米や欧州に輸出が始まりました

 とくにアウトドアレジャーが盛んなアメリカでは、それまでに無いコンパクトなクロスカントリー4WD車として注目され、大学生や若い世代から絶大な人気を獲得。

 サムライのフレームや車体はジムニーと共通ですが、エンジンは1.3リッターを搭載し、後に「ジムニー1300」としても国内で販売され、現在のジムニーシエラの元祖といえるモデルです。

 こうして高い人気を誇っていたサムライですが、1980年代の終わりに「転倒事故が多発している」と告発され、リコール騒動にまで発展。

 結局、サムライに構造上の欠陥は無く、路面状況や運転方法が原因の転倒と証明されましたが、安全性に対する規制強化などがあり、1995年には北米市場から撤退してしまいました。

 なおスズキは2012年に、北米市場における4輪自動車の販売から撤退しているので、4代目ジムニーは北米には上陸していませんが、一部の日本車マニアから注目される存在となっています。

クロカン車なのに2WDや2シーターがある!?

ジムニーL/ジムニーJ2

女性向けにファンシーなイメージとした2WDの「ジムニーJ2」

 前述のとおり、3代目ジムニーは20年間も販売していたこともあり、数多くの限定車や特別仕様車が存在しました。

 なかでも、とくにユニークな派生車として2WDモデルが販売されたことがあります。

 先代ジムニーの2WDは2種類が販売されましたが、1台は2000年に発売された「ジムニーL」、もう1台は2001年に発売された「ジムニーJ2」で、どちらもフロントデフとトランスファーを排除して駆動方式はFRです。

 ジムニーLの外観は4WDのジムニーと変わらず、一見しても見分けがつきませんでした。装備は上級グレード並に充実し、ルーフレールは装備しておらず、カラーリングは専用のパールホワイトのみ。

 一方、ジムニーJ2は専用のボンネットフード、フォグランプ内蔵の専用フロントバンパー、メッシュタイプの専用フロントグリルを採用し、さらに16インチから15インチタイヤにサイズダウンしたことで、35mm車高が下げられています。

 この2モデルは女性ユーザーをターゲットに販売され、とくにジムニーJ2はパステルカラーのカジュアルなカラーリングを設定していました。

 どちらのモデルとも短命に終わり、現在は中古車市場でも滅多にお目にかかれません。

ジムニー ライトコマーシャル・ヴィークル

欧州で発表された2シーターの商用「ジムニー

 現行モデルのジムニーシエラは、すでに海外で新型ジムニーとして販売され、注目されていますが、早くも欧州では2020年9月8日に、日本では販売されていない派生車が登場しました。

 派生車は「ジムニー ライトコマーシャル・ヴィークル」で、その名のとおり商用車です。

 室内は2シーター化され、後席部分はすべて荷室となっており、前席の後ろには格子状の金属製パーテーションが設置されています。

 荷室は863リッターの大容量で、リアシートを畳んだ状態のジムニーシエラよりも33リッターほど上まわり、実用性向上のためにフラットな床を採用。

 外観はジムニーシエラの廉価グレード「JL」に準じており、エンジンなどのスペックも変わりません。

 欧州ではこうした2シーターの商用グレードは珍しい存在ではなく、イギリスでは税金も優遇されているため、トヨタ「ランドクルーザープラド」などでも商用モデルが設定されています。

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 本文中にあるとおりインドのジプシーは生産を終えていますが、どうやら5ドア版のジムニーが後継車として計画されている噂があります。

 すでにネット上にはインドで撮影されたと思われる5ドアモデルのスクープ写真が出まわっていますが、信憑性は不明です。

 国内ではバックオーダーを抱えている状況なため、派生車やマイナーチェンジが出るのはもう少し後になりそうですが、まだまだジムニーから目が離せません。