アクロス福岡(福岡市)。九州最大級の繁華街・天神にある、国際会議場や音楽ホールを備えた複合施設だ。

そんなアクロス福岡が、「35年後には森になる」という投稿が、ツイッターで注目を集めている。福岡の中心地にある施設が、2055年には森になる......?

いったい、どういうことだろうか。


近代的な雰囲気(画像はアクロス福岡公式ホームページより)

これは1995年、25年前のアクロス福岡完成当時の写真だ。階段状の建物が近代的な印象を与える。

話題になったツイートによれば、アクロス福岡はこの完成当時から

「60年後には森になるらしい」

といわれていたとか。

しかし、この写真を見る限りではうっすらと緑はあるものの、「森」といった印象は全くない。

だが、それから23年経った2017年、アクロス福岡はどうなったかというと......


森だ...!(画像はアクロス福岡公式ホームページより)

なんと、木が青々と生い茂っているではないか。

これは確実に、「森」に近づいていっているような気がする。

Jタウンネットは20年7月16日、アクロス福岡のビル全体を管理するエイ・エフ・ビル管理を取材し、詳しい話を聞いた。

「九州の山に近づけている」

この森は「ステップガーデン」と呼ばれ、ビルの2階から14階までの天井部分に木が植えられている。いわゆる屋上緑化だ。

建物の南側に広がる天神中央公園の緑との一体化をコンセプトに作られたという。

担当者によれば

「当初は外来種も含め、様々な木を植えていました。しかし、現在は風や、鳥が運んできた種などから、より自然に近い形で新しい木も増えています」

とのこと。

「あと35年で森になる」という情報がツイッターで話題になったことについては、次のように話す。

「最初に60年で...と決めていたかどうかは分かりません。今もあと35年で、ということを目指しているわけではありません」

つまり、施設を森のように緑化していくというコンセプトがあることは事実だが、具体的な年数までは定めていないようだ。その上で担当者は、

「現在は、より九州の山の環境に近づけていくような方針になっております。また、秋の紅葉をもっと楽しんでいただけるように広葉樹も増やしているところです」

と、今後の展望を説明。また

「元々は人工土壌を使用していましたが、時が経ち、現在は腐葉土になっています。また、備え付けのスプリンクラーを使わなくても雨水だけで十分、緑は育っています。
50年、100年と経って、もしビルがなくなることがあっても、そのままどこかに移植できるような、自然な森を目指しております」

としていた。

すでに微生物や虫、鳥なども住んでいるそう。これからもステップガーデンは、どんどん自然に近づいていくのだろう。