井上尚弥を超える評価を得た日本人とは…【写真:荒川祐史】

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米専門メディアが最強王者格付け「CFC」を発表、井上以上の評価を受けた日本人とは

 ボクシングの米専門メディア「ボクシングシーン.com」では、最強王者を格付けする「チャンプ・フォー・チャンプ(CFC)」という特集を展開している。WBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が9位に選出される中、WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(BMB)がモンスターを超える4位の評価を受けた。

「パウンド・フォー・パウンド(PFP)にあらず。2020年のCFC。現在のタイトル保持者トップは」と題し、“王者の中の王者”を特集した。同一階級の世界戦回数と対戦相手の強さを評価。1年2か月で5度の防衛に成功したWBO世界スーパーバンタム級王者エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)を例に挙げ、前王者アイザック・ドグボエ以外に猛者と戦っていないことから、ランク外となった経緯を紹介している。

 階級別のCFCではバンタム級トップに選出された井上だが、全階級の王者の中では9位という評価だった。寸評では「もしも、ここまでのキャリアやWBAの下位タイトル戦も含まれるなら、イノウエはもっと上位に余裕で選出されていただろう」と記されている。

 3階級制覇王者のモンスターは、バンタム級で現在4戦全勝。だが、WBA正規王座をかけたジェイミー・マクドネル(英国)戦とワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ初戦のフアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦は、正規王座より上に位置づけられるスーパー王座が存在したため、CFCではカウントされず。採点対象が2試合とされ、9位にとどまった。だが、評価は依然として絶大だ。

「IBFのベルトをかけたエマヌエル・ロドリゲスと、ノニト・ドネア相手のWBAタイトルマッチの勝利は凄まじいスタートだ。ウイルスでシャットダウンされる前には、イノウエはジョンリエル・カシメロとさらなる統一戦を行う予定だった。どんなチャンピオンからもこれ以上を望むことはできない」

 強者との対戦を選び続けるモンスターの流儀を絶賛。さらに「彼は4連続でバンタム級トップ10の実力者を倒してきているのだから、驚きはない。(海外)遠征ができるようになり、そしてこの支配力が1年間続いて、依然としてバンタム級に留まっているとすれば、イノウエはトップの座に向かうだろう」と分析している。新型コロナウイルスの感染拡大が収まれば、CFCトップの座は見えてくるようだ。

“井上超え”の評価を手にした日本人王者に注目「日本の108ポンドの巨人」

 そして、日本史上最高の呼び声高い井上よりも、高評価を手にした日本人チャンプがいる。WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(BMB)が4位に選出された。寸評ではこう記されている。

「日本の108ポンド(48.9キロ)の巨人は2017年にガニガン・ロペスとのタイトルマッチを制した後、見事に連勝を重ねている。防衛戦7試合のうち、4試合はトップ10以内に評価される相手からだ」

 ペドロ・ゲバラ(メキシコ)、ミラン・メリンド(フィリピン)ら元タイトル保持者へ勝利も評価ポイントとなっているようだ。寸評では今後の鍵として、WBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人(ワタナベ)との日本人同士の統一戦を挙げており、「現在の王者の中で、ランクを急上昇される最高のチャンスになる」と指摘している。

 現役日本人世界王者で最多7度の防衛を誇る寺地。「同一階級の世界戦回数と対戦相手の強さ」というCFCの基準においては、軽量級ながら海外で高評価を受けているようだ。

 CFCトップ10は以下の通り

1位 サウル・アルバレス
2位 ワシル・ロマチェンコ
3位 エロール・スペンス・ジュニア
4位 寺地拳四朗
5位 ミゲル・ベルチェット
6位 タイソン・フューリー
7位 ジョシュ・ワーリントン
8位 ジョシュ・テイラー
9位 井上尚弥
10位 アルツール・ベテルビエフ(THE ANSWER編集部)